自立支援医療制度とは|対象者・自己負担1割になる仕組み・申請方法を完全解説

公開: 2023/11/30更新: 2026/5/263172 views
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自立支援医療とは、心身の障害がある方に対して通院にかかる自己医療費を公費負担で軽減する制度です。

自立支援医療制度を使えば、対象となる医療費の自己負担が原則1割になります。

精神障害のある方の通院医療(精神通院医療)、身体障害のある方の手術等(更生医療)、障害児の医療(育成医療)の3区分があり、所得に応じて月額の自己負担上限額も設定されているため、継続的な医療が必要な方の経済的負担を大きく軽減できます。

ただし、対象となる病院・薬局は事前に指定された医療機関に限られ、有効期限(原則1年)ごとに更新申請が必要です。「指定医療機関以外で受診したら3割負担になった」「更新を忘れて自己負担が増えた」というケースもあるため、制度の使い方を正しく理解しておくことが重要です。

今回は、自立支援医療制度の対象者や申請方法、利用する際の注意点などをわかりやすく解説していきます。
また、実際にこの制度を利用している筆者の経験談も記載しているので、参考にしてみてください。

1.自立支援医療とは?

自立支援医療とは、冒頭でも触れた通り、障害者の通院や治療にかかる医療費の自己負担額を軽減するための公費負担医療制度です。

従来の公費医療負担制度では、更生医療・育成医療・精神通院医療の3つに分かれていて、それぞれの負担額や所得による上限が異なっていました。

そのため、障害の種類や制度間の格差によっては、均一性がとれていないのが問題となっていました。

そこで、平成18年4月1日から障害者自立支援法に基づき、障害者の種別を超えて公費医療負担制度を一元化し自己負担額を原則1割として、世帯所得に応じて月額上限を設ける自立支援医療制度が施行されました。

自立支援医療制度は、公費負担割合が1割に統一されたことで障害者の医療費の公平性と長く通院できる安定性を求めた制度です。

2.自立支援医療の種類や対象疾患について


自立支援医療は、医療費が原則1割負担と共通化されていますが、対象となる障害や疾患は以下の3種類に区別されています。

ここでは、自立支援医療の種類や対象となる代表的な疾患についてみていきましょう。

2-1.精神通院医療


精神通院医療は、​​精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患をお持ちの方で、通院による精神医療を継続的に必要としている方が対象です。

また、外来による通院以外にもデイケアや訪問看護などにも利用できます。

ただし、精神通院医療は入院費や精神通院以外の医療費は適用外なので、注意しましょう。

精神通院医療の対象者となる代表的な疾患・障害例は、以下の通りです。

  • 統合失調症
  • うつ病
  • 躁うつ病
  • 薬物などによる中毒・依存症
  • 知的障害
  • 発達障害
  • アルツハイマー型認知症
  • PTSDなどのストレス障害
  • てんかん



上記の疾患が代表的な病名で、さらに​​統合失調症やうつ病など長期で治療が必要だと認められた場合は「重度かつ継続」の対象者となり、​​市町村民税課税世帯の方は、通常とは別に負担上限月額を定めて負担を軽減することができます。

参考:自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省

2-2.更生医療


更生医療は、身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の方で、手術や治療などの方法でその障害を確実に除去・軽減の期待ができる障害者が対象になります。

更生医療の対象となる疾患・障害例は、以下の通りです。

  • 視覚障害
  • 肢体不自由
  • 聴覚・平衡機能障害
  • 心臓機能障害
  • 小腸機能障害
  • 音声・言語・そしゃく機能障害
  • 免疫機能障害(HIVや白血病など)



例えば視覚障害の場合は、白内障の水晶体摘出手術、聴覚障害の場合は鼓膜形成手術などの治療が対象となります。

また、心臓や小腸など臓器に関する内部障害の治療についても更生医療の対象です。

ここで紹介した障害は、あくまで医療例であり更生医療の対象となるかどうかは、障害状況や治療方針によっても変わります。

疾患や治療例に該当しても、必ずしも更生医療の対象になるとは限らないので、注意しましょう。

2-3.育成医療


育成医療は、児童福祉法第4条第2項に基づき身体に障害のある18歳未満の児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる方が対象です。

対象となる疾患や障害は更生医療と同じですが、育成医療の場合は身体障害者手帳は条件に含まれていないのが特徴です。

育成医療は主に先天性の障害や疾患など、このまま放置すると将来障害が残るのを防ぐことを目的としています。

ちなみに、育成医療以外にも18歳未満の障害児が受けられる手当制度やお金について、さらに詳しく知りたい方は

の記事も参考にしてみてください。

参考:



3.自立支援医療には所得と「重度かつ継続」に応じた自己負担額上限が設けられている

自立支援医療の自己負担額は原則1割ですが、所得の低い世帯や継続的に負担額が発生する「重度かつ継続」の対象になる障害者の方は、医療費の自己負担額が増えないように月額上限が設けられています。

月額の上限額の区分については、以下の通りです。

所得層所得区分所得区分概要月額自己負担上限「重度かつ継続」に該当する場合の負担上限
一定所得以下生活保護世帯生活保護世帯0円0円
市町村民税非課税世帯①​​本人又は障害児の保護者の年収80万円以下2,500円2500円
市町村民税非課税世帯②​​本人又は障害児の保護者の年収80万円以上5,000円5,000円
中間所得層所得税非課税​​​​市町村民税 33,000円未満(年収約290~400万円未満)​​総医療費の1割又は高額療養費(医療保険)の自己負担限度額
(※1育成医療は令和9年3月31日まで経過措置対象で上限額あり)
5,000円
所得税30万円未満市町村民税 33,000円以上235,000円未満(年収:約400~833万円未満)10,000円
一定所得以上所得税30万円以上​​市町村民税 235,000円以上(年収約833万円以上対象外20,000円(※2令和9年3月31日まで経過措置)

参考:自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み|厚生労働省
参考:自立支援医療|東京都福祉局

補足として※1の中間所得層の方で、育成医療を利用される方については、高額治療継続者(「重度かつ継続」)以外の方でも令和9年3月31日まで​​経過措置として以下のように負担上限月額が設定されています。

所得税非課税・・・5,000円
所得税30万円未満・・・10,000円

また、※2の一定所得に当たる所得税30万円以上の方は、原則として自立支援医療の対象外ですが「重度かつ継続」に該当する場合は令和9年3月31日まで​​経過措置として、月額上限が20,000円に設定されています。

4.自立支援医療の申請方法

4-1.申請に必要な書類


自立支援医療の申請に必要な書類(※精神通院医療の場合)は、以下の通りです。

  • 自立支援医療費支給認定申請書
  • 自立支援医療診断書※主治医の診断書(申請日から3ヶ月以内のもの)
  • 同意書兼世帯状況申出書
  • 健康保険情報のわかるもの(国民保険の場合は同一世帯分)
  • マイナンバーカード
    ※上記書類のほかに印鑑も必要です。



自立支援医療費支給認定申請書は、各自治体のホームページからダウンロード可能です。

また、プリンターやインターネット環境がない方は市町村の窓口でも申請書を入手することができます。

医師の診断書は、各自治体が指定した書式にて主治医に作成してもらいます。

自立支援医療の申請に使用できる診断書は、発行から3ヶ月以内のものに限るので注意しましょう。

また、診断書の発行は健康保険の対象外なので10割負担になります。

「高額治療継続者(重度かつ継続)」として申請する場合は、別途で意見書を添付してもらう必要があります。

同意書兼世帯状況申出書とは、本人の収入及び世帯収入を調査するための同意書です。

こちらも、市町村のホームページからダウンロードするか、または窓口でも入手できます。

健康保険情報のわかるものとは、下記のいずれかを指します。
(自治体により異なりますので、お住まいの自治体のホームページ等でご確認ください。)

・従来の健康保険証
・資格確認書、または資格情報のお知らせ
・マイナポータル内の健康保険証情報がわかる画面を印刷したもの


また、マイナンバーカードは市町村によって異なりますが、身分を証明するものとしては一番有効なので持参していくのが望ましいです。マイナンバーカードを持っていない方は、個人番号が記載された通知カードや障害者手帳、運転免許証など身分が証明できるものを持参しましょう。

参照:東京都 福祉局 | 保険証廃止に伴う「自立支援医療(精神通院医療)」の申請等の変更について
参照:自立支援医療(精神通院医療)について|東京都 福祉局



4-2.申請の流れ


自立支援医療の申請の流れは、以下の通りです。

  1. 病院が「指定自立支援医療機関」であるか確認
  2. 主治医に診断書作成を依頼
  3. お住まいの市町村の窓口(社会福祉課など)で必要書類に記入し、申請
  4. 申請が承認されると「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」が発行される



まずは、病院が自立支援医療制度に適用しているかどうかを確認してから、主治医に診断書の作成を依頼します。

診断書の形式は、自治体によって異なるので事前に市町村窓口やホームページで確認しましょう。

申請時には、各自治体が定めた「指定自立支援医療機関」から通院する病院や薬を処方する薬局を指定し必要事項などを記入します。

申請が承認されると「自立支援医療受給者証」と月額の自己負担上限を管理するための「自己負担上限額管理票」が発行されます。

自己負担上限額管理票に記入された金額が月額上限に達すると、それ以上の医療費は公費負担になるため支払いは発生しません。

5.自立支援医療を利用する際の注意点

5-1.あらかじめ指定された医療機関・薬局でしか利用できない


自立支援医療は、あらかじめ決められた医療機関・薬局でしか利用できません。

例えば、自立支援医療の申請時に指定していない病院を受診しても、窓口では1割にならず通常の3割負担です。

また、自立支援医療とは関係のない疾患や障害で受診しても適用外となるので注意しましょう。

5-2.会計前に毎回書類を提出する必要がある


自立支援医療を利用するには、会計前に「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」を毎回提出する必要があります。

書類の提出を忘れると、1割負担にはならないので忘れずに持っていくようにしましょう。

万が一忘れた場合には、病院の窓口で相談し後日受給者証を確認しての支払いになるか、自治体に払い戻しの申請を行います。

自治体の払い戻し申請の際には、領収書が必要なので必ず医療機関からもらうようにしてください。

5-3.有効期限がある(更新が必要)


自立支援医療には、最長で1年間の有効期限があります。

また、更生医療の支給認定期間は原則3ヶ月ですが、治療の経過や病状の妥当性を判断した上で最長1年まで延長することが可能です。

有効期限が近づくと、お住まいの市町村から申請時に記入した住所宛てに郵送で更新のお知らせが届きます。

5-4.更新は申請後約2ヶ月程度かかる


自立支援医療の有効期限は、最長1年ですが更新をすることで継続して自己負担を軽減できます。

更新には、新規申請と同じように必要書類をそろえて市町村窓口にて手続きを行います。

医師の診断書については、継続の場合2年に1度の提出が必要です。

更新は、申請後約2ヶ月程度とかなり長期間の時間を要します。

更新手続きについては、有効期限の3ヶ月前から申請できるのでなるべく早めに申請するようにしましょう。

5-5.診療までに新しい受給者証が届かなかった場合の対処法


新しい受給者証が届くまでは、自立支援医療申請の控えを窓口で提示しましょう。

自立支援医療が承認されるまでは、約2ヶ月かかります。

その間、自治体の窓口で申請控えが発行されるので、医療機関や薬局によっては医療費の請求を受給者証交付後にまとめて徴収するようにしているところが多いです。

つまり、新しい受給者証が届くまでの間は、医療費の支払いが繰り越しされる仕組みです。

6.自立支援医療(精神通院医療)を利用している筆者が伝えたいこと


この記事を書いている筆者は、自立支援医療制度(精神通院医療)を実際に利用している当事者です。

私がこの制度を知ったのは、精神科に通院して3年ほど経ったころでした。

制度自体は知っていましたが、なんとなく「申請が面倒くさそう」「3割が1割負担になってもあまり変わらないのではないか」と思って申請していませんでした。

しかし、いざ申請しようと決意して動き出すと、市役所の窓口の方が丁寧に説明してくださったおかげで意外とスムーズに申請することができました

そして、現在では経済的負担はかなり楽になったことを実感しています。

頻繁に通院している方であれば、なおさら自立支援医療で受けられる恩恵は大きいです。

まずは、医師に相談して自身の障害や疾病が自立支援医療の対象になるか相談することをおすすめします。

7.最後に


今回は、自立支援医療の対象者や詳しい制度内容について解説しました。

自立支援医療は、継続的にかかる医療費を大幅に軽減してくれるのがメリットです。

これは経済的負担を軽減することで、治療や療養に専念しやすくなる制度といえます。

今回の記事を参考に「自立支援医療制度」を利用したいと思われた方は、ぜひ申請を検討してみてはいかがでしょうか?

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