「自動車燃料費助成」とは?障害者手帳でガソリン代が補助される対象者や申請方法について解説!

「自動車燃料費助成」作成依頼№20

車を利用する障害者の方にとって毎月のガソリン代の支出は、家計にとって大きな負担ですよね。

特に、最近では世界情勢の不安定さや円安などの影響で燃料費は高騰し続けているのが現状です。

そこで、車を利用する障害者の方のために「自動車燃料費助成」という制度があります。

自動車燃料費助成は、簡単にいうとガソリン代の一部を補助してくれる制度です。

今回は、自動車燃料費助成の対象者や申請方法について解説していきましょう。

1.障害者手帳でガソリン代が補助される「自動車燃料費助成」とは?

自動車燃料費助成とは、障害者の社会活動を促進することを目的に外出にかかる自動車燃料費の一部を助成する制度です。

主に、障害者手帳や療育手帳を所有している方を対象に、ガソリン代にかかる経済的負担を軽減してくれます。

ガソリン代の一部をどのように補助するのかというと、給油の際に自治体から発行された

「ガソリン券(自動車燃料券)」を給油時に提示することで、ガソリン代が割引になります。

また、自治体によっては口座振り込みでの現金支給の場合もあり、補助方法はさまざまです。

自動車燃料費助成は、車を利用する障害者の方にとっては移動手段の下支えとなる制度だといえるでしょう。

自治体によっては制度がない場合もありますので、お住まいの地域にてご確認ください。

2.自動車燃料費助成の対象者

2-1.比較的重度の障害者が対象


自動車燃料費助成の対象者になる障害者は、自治体の基準によって異なりますが比較的重度の方が対象です。

例えば、埼玉県ふじみ野市の場合自動車燃料費助成の対象になる障害者は以下の通りです。

  • 身体障害者手帳の1級または2級をお持ちの方
  • 療育手帳のマルAまたはAをお持ちの方
  • 精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方

引用元:障害者自動車燃料費の助成|ふじみ野市

ふじみ野市では、身体障害者手帳1・2級や療育手帳でも重度のA判定、精神障害者手帳は1級と比較的重度の障害者の方が対象になっています。

次に、千葉県浦安市の対象となる障害者の要件を見ていきましょう。

  • 身体障害者手帳1級・2級・3級(視覚障がいに限る)をお持ちの方
  • じん臓機能障害で手帳があり人工透析を受けている方
  • 児童相談所または知的障害者更生相談所において最重度または重度の知的障がいと判定を受けた方
  • 精神障害者保健福祉手帳1級・2級・3級をお持ちの方

引用元:自動車燃料費助成|浦安市

浦安市では、身体障害者1・2級と、視覚障害者の方だけに限り3級でも対象になっています。

また、精神障害者は1〜3級までとふじみ野市と比較して幅広い方が自動車燃料費助成の対象者です。

上記のように、自治体によって対象となる障害者は異なっているので、まずお住まいの地域のホームページや問い合わせにて自分が対象者であるか確認することをおすすめします。

2-2.障害者の扶養・同居家族も利用できる


自動車燃料費助成の対象者は、障害者本人だけでなく扶養・同居家族でも利用できます。

なぜなら重度障害者の方は、自ら運転できないことも多いからです。

そのため、障害者と同居しているまたは扶養している家族が自動車燃料費助成を利用しても問題ありません。

ただし、あくまで障害者の移動のために自動車燃料費助成を利用して給油する時が対象になります。

2-3.補助が受けられる利用と所得制限について


自動車燃料費助成には、利用する条件と所得制限が設けられています。

利用する条件は、先ほどの自治体が定めた障害者手帳や療育手帳の等級に当てはまっているかどうかと「在宅」であることが条件です。

そのため、対象の障害者に当てはまっていても施設に入所している障害者の方や入院中の場合は、申請ができないので注意しましょう。

また、所得制限については以下の通りです。

扶養人数収入額(年収)所得額
0人5,180,000円3,604,000円
1人5,656,000円3,984,000円
2人6,132,000円4,364,000円
3人6,604,000円4,744,000円
4人7,027,000円5,124,000円
5人7,449,000円5,504,000円


参考:ガソリン券(自動車燃料費の助成)|東京都北区


基本的に所得制限は本人の所得に基づいて判断しますが、20歳未満の未成年の場合は保護者(扶養義務者)の所得に応じて決まります。

上記の所得制限を超える場合は、自動車燃料費助成の対象にはなりません。

なお、上記の所得額は収入額(年収)から一般的な控除額を差し引いた金額なので、世帯状況によって各種控除が受けられる場合があります。

差し引くことができる各種控除例は、以下の通りです。

  • 所得者本人の雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 寡婦控除
  • 勤労学生控除
  • 控除対象配偶者
  • 扶養親族の障害者控除
  • 特別障害者控除
  • 配偶者特別控除額


参考:自動車燃料費の助成|目黒区


上記の控除対象に当てはまる場合は、所得額を減額できるので所得制限で申請できないと諦める前に、まずは自治体の窓口で相談してみることをおすすめします。


3.自治体ごとのガソリン代支給方法や金額の違いについて

自動車燃料費助成は、自治体によってガソリン代の支給方法や金額が異なります。

ガソリン代の支給方法は、冒頭でも解説したガソリン券(自動車燃料券)や福祉燃料券と呼ばれる割引券のようなもので配布されるのが一般的です。

しかし、自治体によっては指定口座への現金支給という形で実施しているところもあります。

また、東京都三鷹市のように使用したガソリン代に応じて支給する自治体もあります。

1リットルにつき50円単位で、1カ月の上限が50リットル。各月の使用量に応じて算定した金額を助成します。

引用元:三鷹市心身障がい者自動車等燃料費助成|三鷹市

支給金額も自治体によって、以下のように金額が大きく異なります。 

  • 新潟市・・・年額10,000円
  • 郡山市・・・年額15,000円
  • 墨田区・・・年額最大30,000円


参考:自動車燃料費助成|新潟市
参考:重度心身障害者タクシー料金・自動車燃料費の助成|郡山市
参考:墨田区心身障害者福祉タクシー料金・自動車燃料費助成事業実施要綱|墨田区

上記のように、障害者手帳でのガソリン代の支給金額は自治体によって差があるのが特徴です。

また、墨田区は移動機能障害1級又は腎臓機能障害1級に該当する場合、通常の助成額に1万円を加算する要項を設けています。

参考:墨田区心身障害者福祉タクシー料金・自動車燃料費助成事業実施要綱|墨田区


4.障害者手帳によるガソリン代割引の申請方法について

4-1.申請に必要なもの


自動車燃料費助成の申請に必要な書類は、以下の通りです。

  • 身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳
  • 自動車検査証
  • 自動車燃料費助成申請書
  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 印鑑
  • 委任状(本人以外の代理人が申請する場合)



口座振込の場合に必要なもの

  • 助成対象となるガソリン代の領収書
  • 障がい者本人名義の通帳もしくはキャッシュカード
    (対象者が障害児もしくは知的障害者の場合、保護者名義も可)



口座振込の場合は、別途領収書や口座番号がわかる通帳やキャッシュカードが必要になります。

上記で記載した必要書類に関しては一例で、自治体によって異なるので、お住まいの地域のホームページにて確認することをおすすめします。

また、本人以外の家族が申請する場合は委任状や代理で申請する者の身分証明書などが必要になるので忘れずに持参しましょう。

4-2.申請の手順


市町村の社会福祉課窓口にて、申請を行います。

自動車燃料費助成申請書や委任状は、自治体のホームページからもダウンロード可能ですが窓口でも入手できるので申請時に記入しても問題ありません。

申請後は、審査が行われ決定通知書が郵送されます。

4-3.変更手続きについて


住所や登録車両の変更手続きを行う場合は、申請手続きと同じように市町村の窓口にて申請します。

また、タクシー券や他の移動支援制度から自動車燃料費助成の切り替えを行う場合も、変更手続きが必要です。

4-4.申請月によっては減額される場合もあるので注意


自動車燃料費助成は、自治体にもよりますが申請する月によって補助される金額が異なります。

例えば、埼玉県鴻巣市では申請した月によって給付されるガソリン券は、以下のように変動します。

申請月支給枚数(支給額)
4月12枚(8,400円)
5月11枚(7,700円)
6月10枚(7,000円)
7月9枚(6,300円)
​​8月8枚(5,600円)
9月7枚(4,900円)
10月6枚(4,200円)
11月5枚(3,500円)
12月4枚(2,800円)
1月3枚(2,100円)
2月2枚(1,400円)
3月1枚(700円)

参考:令和4年度からの福祉タクシー利用券・自動車燃料費助成券の交付について|鴻巣市


また、振り込みでの支給は申請月が決められている場合が多いので、お住まいの地域ではどのような支給要件なのか確認しておくのがよいでしょう。

5.障害者手帳のガソリン代割引を利用する上での注意点


5-1.福祉タクシー券との併給は不可


多くの自治体では、障害者手帳での福祉タクシー券と自動車燃料費助成券の併給は不可です。

そのため、どちらか一方の制度を選択する際には、ライフスタイルやその土地の交通事情を考慮して選びましょう。

ただし、神奈川県箱根町のように併給可能な自治体もあります。

1.福祉タクシー利用券

  • 利用券(1枚500円)交付による運賃の助成
  • 年間の交付枚数は5から60枚(人工透析者は年間13から156枚)

2.自動車燃料費助成
  • 助成券(1枚1,000円分)交付による燃料費の助成
  • 年間の交付枚数は2から14枚(人工透析者は年間3から36枚)

※両券を併給する場合は、各券の交付枚数の1/2を交付

引用元:在宅重度障がい者等福祉タクシー利用券および自動車燃料費助成券の交付|箱根町


5-2.利用できるガソリンスタンドかどうか給油前に確認する


自動車燃料費助成は、申請した市町村内の指定されたガソリンスタンドで利用できます。

そのため、給油前にガソリンの補助が受けられるかどうか確認しましょう。

自治体によっては、自動車燃料費助成が利用できるガソリンスタンドの一覧が記載された紙を配布する場合もあります。

また、ガソリン券はハイオクガソリン・レギュラーガソリン・軽油のみ利用可能なので、洗車やオイル交換などは助成対象外です。

5-3.登録車両以外の車への給油は対象外


自動車燃料費助成の申請時には、給油する車両を車検証に基づいて1台登録します。

給油時にガソリンスタンドの従業員の方が、障害者自動車燃料券に印字された車両のナンバーと実際に給油する車両のナンバーが一致しているかの確認を行います。

そのため、事前に登録された車両以外への給油は助成券の対象外です。

6.自動車燃料費助成の他に障害者が受けられる自動車関連の割引制度


障害者の方は、自動車燃料費助成の他にも自動車関連で受けられる割引制度があります。

下記は、自動車関連の障害者割引・助成制度の一例です。

  • 有料道路における障害者割引
  • 自動車税の免除
  • 身体障害者用自動車改造費助成
  • 自動車運転免許取得費用の助成



有料道路とは高速道路のことを指し、要件を満たすことで利用料金が50%割引になります。

有料道路における障害者割引について、さらに詳しく知りたい方についてはこちらの記事を参考にしてみてください。


他にも、自動車税の免除や自動車を車椅子が乗り入れしやすいようにする改造費の助成、障害者の方が運転免許を取得する際の費用の助成など、さまざまな制度があります。

上記のような制度を自動車燃料費助成と併せて活用すれば、自動車にかかる負担をさらに軽減することができるでしょう。

7.最後に



今回は、障害者手帳をお持ちの方のガソリン代を補助する「自動車燃料費助成」について対象者や申請方法を解説してきました。

自動車燃料費助成は、車を所有している障害者の方にとってはガソリン代の一部が割引される嬉しい制度です。

ただ、自治体によって対象者になる要件や支給される金額は異なるので、まずはお住まいの市町村の窓口に相談することをおすすめします。

ぜひ、障害者手帳で受けられる自動車燃料費助成を有効活用して、家計の負担を少しでも減らしましょう。

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