障害のある人にとって、「着る服を選ぶ」という行為は単なる楽しみではありません。ファッションは通常、自分を表現する大切な手段ですが、身体が動かしにくいなどの理由から、着たい服を諦めているという人も少なくありません。本記事では、障害があっても着やすい「インクルーシブウェア」を展開するアパレルブランドをご紹介します。
1.障害者にとってのファッションの「3つの壁」
1-1.機能面での壁
障害者にとってのファッションの「機能面の壁」は、手の筋力が弱くボタンを留められない、四肢を自由に動かせず袖を通すのが難しいといった、物理的な「着脱」の困難さを指します。寝たきりの人や車椅子利用者など、座っている(寝ている)時間が多い人には、服の縫い目が「床ずれ」の原因になってしまう可能性もあります。
1-2.デザイン面の壁
「デザイン面の壁」は、服の見た目などを差します。「介護用」や「障害者用」としてこれまで販売されてきた服は、機能性を重視するあまり、着たくなるようなおしゃれさには欠けていました。障害者は「これを着たい」という気持ちよりも「着れるかどうか」でしか判断することができなかったのです。
1-3.心理面の壁
着替えに時間がかかることや、介助者に迷惑をかけたくないという思いから、「介助者が着せやすい服を選ぼう」という思考に至り、ファッションへの意欲をなくしてしまう人も多いです。
これら3つの壁を破壊するために生まれたのが、障害の有無や年齢・体形にかかわらず「誰でも楽しめる」インクルーシブファッションというものです。
2.【最新】おすすめのインクルーシブファッションブランド13選
2-1.SOLIT!
SOLIT!は、「多様な人も、地球環境も、誰もどれも取り残さない」を掲げるオールインクルーシブなアパレルブランドです。機能性とデザイン性を両立させた洋服が特徴で、世界的なデザイン賞を受賞するなど、高い評価も得ています。
2-2.ベルメゾン×キヤスク
ベルメゾン×キヤスクは、通販大手のベルメゾンとお直しサービスのキヤスクがコラボしたインクルーシブなシリーズで、人気の既製服にスナップボタンやファスナーを用いるなど、病気や障害があっても着やすい・着せやすい工夫が施されており、手頃な価格で購入できるのも大きな魅力です。
参照:ベルメゾン×キヤスク
2-3.UNITED CREATIONS 041
UNITED CREATIONS 041は、有名なアパレルブランド「ユナイテッドアローズ」内のプロジェクトで、「ひとりのニーズ」に深く向き合うことで、より多くの人に喜ばれる服が生み出されるという考えのもと、寝たまま着られる本革ライダースや、床ずれに配慮した縫い目のないパンツなど、ファッションの限界に挑戦しつづけています。
2-4.Play fashion for ALL
Play fashion for ALLは、GLOBAL WORKやLOWRYS FARMといった人気ブランドを数多く手掛けるアダストリア社のプロジェクトで、自社の人気ブランドのアイテムの中から「誰もが着やすいアイテム」を提案しています。「障害者用」としてではなく、トレンドの服を当たり前に楽しむための活動は、数多くのアパレルブランドを抱える大手ならではのアプローチです。
2-5.OHK
OHKは、理学療法士の発案から生まれた、片手で着られる機能性とインド綿の心地よさを両立させたブランドです。専門家の知見に基づき、麻痺がある方でも美しく装えるデザインを追求していて、年代を選ばないシンプルなデザインが多くの人に好評です。
参照:OHK
2-6.裏表のない世界
裏表のない世界は、人気ブランド「フェリシモ」が手掛ける「そのままでたのしい、そのままがたのしい暮らし」をテーマにしたプロジェクト「オールライト研究所」から生まれたブランドで、裏表も前後も、すべての着こなしが正解という画期的なコンセプトを持ち、視覚障害者や、服の向きを気にするストレスをなくしたい人から高い評価を得ています。
参照:裏表のない世界
2-7.Through sleeve
Through sleeve は、「片手でらく~に着れるシャツ」に特化したブランドで、マグネットボタンや袖口ゴムなど片手でも着やすい工夫がなされているのが特徴です。見た目は「普通のきれいめなシャツ」であることにこだわり、おしゃれさも妥協しません。
2-8.carewill
carewillは、「服の不自由を解決する」をミッションに掲げているアパレルブランドで、アームスリングケープや車椅子用レインウェアなど幅広いアイテムを展開しています。4年連続でグッドデザイン賞を受賞しているほか、医療・介護の視点を取り入れた製品が多く、信頼性の高いブランドです。
2-9.Three Rivers
Three Riversは、片手や不自由な手でも簡単に扱える工夫を凝らしたシャツを販売しているアパレルブランドで、「楽勝ボタン」などの小さなアイデアで日常の「難しい」を「自信」に変えることを目指しています。
参照:Three Rivers
2-10.【こども服】ima
imaは、こども服のインクルーシブアパレルブランドで、「着る人にも着せる人にも優しい」をコンセプトに商品を展開しています。後ろが全開するアウターや、サイドがガバッと開く「ワニパンツ」など、補装具や車椅子を使用するお子様の着替えをぐっとスムーズにします。
参照:ima
2-11.【こども服】アルトタスカル
アルトタスカルは、「おしゃれバリアフリー」を掲げるインクルーシブなこども服ブランドで、医療的ケア児などもファッションを楽しめるアイテムが揃っています。人気キャラクターとのコラボアイテムもあり、これまで選択肢が少なかった障害児や医療的ケア児も、一緒にファッションを楽しめると多くの保護者に支持されています。
参照:アルトタスカル
2-12.【ハレの日】羽衣スタイル
障害者のハレの日を支えるブランドもあります。たとえば、羽衣スタイルは、車椅子に座ったままたった10分で着付けができる振袖・袴のレンタル専門店です。特別な日の装いをあきらめていた人も、座ったまま、あるいは寝たままで本格的な着物を楽しむことができます。
参照:羽衣スタイル
2-13.【ハレの日】W2-Dress
おめでたい結婚式の日も、ウェディングドレスを諦める必要はありません。W2-Dressは、座ったままで簡単に着付けができる車椅子用ウェディングドレスブランドです。既製ドレスのリメイクも可能ですから、自身の好みに合うわせてドレスを持ち込むのもおすすめです。
参照:W2-Dress
車椅子利用者におすすめのウェディングドレスブランドは下記の記事でもさらに詳しくご紹介しています。気になる人は、ぜひこちらもご覧ください。
参照:車椅子でも着られるウェディングドレスブランド2選!関連アイテムや式場選びのポイントも紹介
3.着たい服をあきらめない!「お直し」という新しい選択肢
「インクルーシブブランドから選択するのも良いですが、今持っているお気に入りの服や、街で見かけた素敵な服を、自分の身体に合わせてカスタマイズ(お直し)する方法もあります。
たとえば、身体の不自由に合わせてオンラインで服のお直しができるサービス「キヤスク」では、袖をファスナー開きにしたり、ボタンをマグネットに変えたりといった個々のカスタマイズが可能です。サービスはすべてオンラインで完結しますので、重たい服を持って外出する手間も省けます。
参照:キヤスク
4.まとめ

ファッションは単に身体を覆うものではなく、自分のアイデンティティを表現する重要なツールです。「好きな服を着る」ということは、自分らしさを取り戻し、社会と繋がる大きな力となります。
ここ最近では、多くのブランドが障害者とファッションの壁を壊し始めています。これらをうまく活用しながら、おしゃれを楽しむ毎日を送りましょう。







