1.車椅子で乗れる福祉車両には2種類ある
福祉車両は主に、「自操車」と「介護車」の2つの種類があります。
自操車は、手や足が不自由な方でも運転できるよう、運転補助装置を取り付けた車です。
一方介護車は、車の乗り降りに負担を感じている方をサポートするもので、介護される方だけでなく、サポートする方にとっても優しい車です。
福祉車両は、トヨタ・日産・ホンダ・スズキ・ダイハツの主要5メーカーから合計30種類以上が発売されています。 価格は新車で約200万円〜500万円、車椅子のまま乗れる「乗り入れタイプ」が中心で、軽自動車から大型ミニバンまで選択肢の幅が広いのが特徴です。
ただし、ご家族の人数・車椅子のサイズ・運転される方の身長・自宅の駐車場のスペースによって、選ぶべき車種は大きく変わります。販売店で言われるがままに購入してしまい、「スロープが急すぎて介助が大変」「室内が狭くて長距離移動が辛い」といった後悔の声も少なくありません。
この記事では、車椅子ユーザーとそのご家族・介助者に向けて、①トヨタ・日産・ホンダ・スズキ・ダイハツの13車種を価格と特徴で比較、②選び方の5つのチェックポイント、③購入時に使える減免制度・助成金、④試乗・購入の流れを、福祉用具にm精通した一般社団法人Ayumiが2026年最新版で整理しました。
1-1.車椅子から座席シートへの「移乗タイプ」

1-2.車椅子のままの乗れる「乗り入れタイプ」

車両後方にある扉に設けられたスロープやリフトを使い、車椅子ごと乗り降りできます。
今回は、車椅子のまま乗れる「乗り入れタイプ」のおすすめ福祉車両を、車種別に紹介します!
2.【普通車】車椅子のまま乗れるおすすめの福祉車両7選

2-1.トヨタ シエンタ
トヨタ・シエンタは、コンパクトなボディに3列シートを備えたミニバンです。
仕様は3タイプあり、もっともスタンダードなものがタイプⅠです。リアに手動式のスロープを備え、車椅子利用者は助手席後ろの2列目部分に乗車します。介助者も隣の席に座ることができますから、安心して乗車できます。
タイプⅡは、1.5列目に車椅子を固定でき、運転席から手が届くため、車椅子を利用するお子様にも向いています。
タイプⅢは、バックドアを開けると同時に車高が降下し、ショートスロープが展開。 省スペース&短時間での乗降を実現します。 (タイプⅢは車椅子の利用に慣れているデイサービスや介護施設などの法人向け仕様)
2-2.トヨタ ヴォクシー
ヴォクシーの福祉車両も、 タイプⅠとタイプⅡの2種類を展開しています。 タイプⅠには「車いす1名仕様」と「車いす2名仕様」があり、タイプⅡはシート3列目に車椅子ユーザーが乗車するレイアウトです。2-3.トヨタ ノア
ミニバン車であるトヨタのノアも、福祉車両を展開しています。 車椅子にベルトをかけて使う「引き出し式スロープ」は、介助者のことも考えられたシンプルな操作が魅力です。リクライニング機能付きの車椅子や電動車椅子など、多様な車椅子に対応しており、タイプⅠを選択すれば、ストレッチャーでも乗り込めます。参照:ノア 福祉車両|トヨタ
2-4.ホンダ フリードクロススター
ホンダ フリードクロススターの「車いす仕様車」は、5名乗りの「フリードクロススター」がベースとなっており、車椅子利用者が乗車する場合は、5名+車椅子1名の6名乗りとなります。2-5.ホンダ ステップワゴン 車いす仕様車
「ホンダ ステップワゴン 車いす仕様車」は、余裕のある室内空間と充実した装備により、車椅子を利用する人も介助する人も、みんなに安心と自由を提供することを目指した一台です。
車椅子の乗車位置は2列目、3列目、または2列目と3列目の両方から選ぶことができ、あらゆるタイプの車椅子に対応しています。さらに3列目シートは、肩口のストラップを引くだけで簡単に床下格納できる「マジックシート」にもなっているので、フラットな乗車スペースを素早く簡単に作れてとっても便利です。
また、電動ウインチ(ベルトの巻き取り装置)を標準装備しているほか、テールゲート(バックドア)の開く角度を記憶させることができるパワーテールゲートも搭載。後方に障害物がある場所などでも、安心して使用することができます。
車内はフローリングフロアを採用しており、美しい見た目ながら掃除もしやすい設計です。運転席・助手席・後席の3つのゾーンで温度設定可能なトリプルゾーンコントロール・フルオートエアコンを搭載していますので、車内環境は抜群です。
2-6.日産 セレナ
日産 セレナの福祉車両は、スロープを使って乗り降りできる「スロープタイプ」と、電動リフターを使って乗り降りできる「リフタータイプ」の2種類が用意されています。
スロープタイプは3列シートが基本となっており、車椅子利用者が2列目に乗車する「車いす1名セカンド仕様」と、3列目に乗車する 「車いす1名サード仕様」があります。さらには2列目と3列目に車椅子利用者が乗車できる「車いす2名仕様」などもあり、バリエーション豊富なのが魅力です。
リフタータイプは、電動リフターに任せて車椅子利用者を乗降させられるので、介助者の負荷が圧倒的に少なくなります。
車内は広々とした設計ですから、足を曲げられない車椅子利用者やリクライニグ車椅子も問題なく広々と乗車可能です。
参照:セレナ|日産
2-7.日産 NV200バネット
日産 NV200バネットの「車いす仕様車」は、コンパクトなボディサイズと優れた小回り性能が魅力の一台です。
用途に合わせて「車いす1台仕様」と「車いす2台仕様」を選ぶことができます。車いす1台仕様は3列目シートをなくした「専用サードシートレス仕様」となっており、車椅子を載せた状態でも手荷物などを置けるゆとりのあるスペースが確保されています。
また、車椅子利用者が2名乗れる車としては「日本でいちばん小さい」と言われており、コンパクトな福祉車両として注目を集めています。
※2025年11月現在 日産調べ。
3.【軽自動車】車椅子のまま乗れるおすすめの福祉車両4選
3-1.ホンダ N-BOX スロープ仕様
ホンダ N-BOXのスロープ仕様は、「介護はもちろん、普段もしっかり使える」をコンセプトに、車椅子利用者と介助者の両方が笑顔になれる生活を目指して開発されました。
N-BOXスロープ仕様の最大の特徴は、普段は荷室の床として、引き出せば車椅子乗降用のスロープとして使える「スーパーフレックススロープ」です。スロープを収納すればフラットな荷室になるので、日常の買い物などにも活用できます。
車椅子利用者の乗車スペースには専用の3点式ELRシートベルトがあるほか、サイドポケットやドリンクホルダーなども備え付けられています。車椅子利用者はドライブ中も楽しく快適に過ごせることでしょう。
3-2.スズキ スペーシア 車いす移動車
「スズキ スペーシア 車いす移動車(WITHシリーズ)」は、「シンプルな操作で、乗せ降ろしもラクラク」を特徴とし、介護だけでなく日常の使いやすさも追求した軽自動車の福祉車両です。
前倒しできるテールゲート一体型スロープ が採用されており、車椅子を使わないときはリヤスペースへフラットに格納できます。日常の買い物などの際に荷物を載せやすく、普段使いの利便性も高いです。
乗り降りをアシストする電動ウインチやと、ワイヤレスリモコンが全車で標準装備されており、介助する人にも優しい設計で多くの人から支持されています。
3-3.スズキ エブリイワゴン車いす移動車
「スズキ エブリイワゴン 車いす移動車(WITHシリーズ)」は、開放感あふれる快適な乗車空間と介助の負担を軽減する実用的な装備を兼ね備えた福祉車両です。
車内はゆとりのあるスペースがしっかり確保されており、ゆったり快適なドライブが楽しめるでしょう。左右分割式のリヤシートを採用しているため、使い方に合わせたシートアレンジが可能なのも魅力です。
さらに、介助者の負担も軽減するため、テールゲート一体型スロープや電動ウインチ、手元で操作できるワイヤレスリモコンなどが標準装備されています。スムーズな乗り降りをサポートする「電動オートステップ(後席左側)」をオプションで追加することもできるので、生活に寄り添ったカスタマイズを楽しんでください。
3-4.日産 NV100クリッパー リオ
日産 NV100クリッパー リオ チェアキャブは、「大きな車いすが乗せられる、小さな車いす仕様車」をコンセプトとした福祉車両です。
軽自動車というコンパクトサイズでありながら、リクライニング車椅子でも余裕を持って乗車できる、ゆとりある車内空間が確保されています。車椅子と一般シートが並んで座れる設計になっているので、合計で4名が乗車可能です。スロープの耐荷重は、200kgを備えているので、重量のある車椅子や介助が必要な場面でも安心して使用できますよ。
さらに、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報といった、先進安全機能も全グレードに標準装備。安心感が高いのも、選ばれ続けている理由でしょう。
4.【ワンボックス車】車椅子のまま乗れるおすすめの福祉車両2選
4-1.トヨタ ハイエース
ワンボックスカーであるトヨタ のハイエースにも、車椅子利用者が乗車できるモデルがあります。
ミニバンにくらべてフロアが高い位置にあるので、乗降用の電動式のリフトが装備されているのが特徴です。
ボディサイズや車内レイアウトが豊富に選択でき、大型車椅子2台やストレッチャーも余裕もって乗車できます。最大で10名の乗車が可能ですから、大人数でのおでかけも安心です。
4-2.日産 キャラバン
日産 キャラバンの車いす仕様車(チェアキャブ)は、ビジネスからプライベートまで幅広いニーズに応える本格的な福祉車両です。
リモコン操作で昇降する全自動リフター付きで、乗り降りをサポートする専用装備が満載の「送迎タイプ」もあります。
クラストップレベル※の室内長を誇り、ドライブ中も快適な過ごすことができます。
※全幅1,700mm 以下(5ナンバー幅)の車椅子仕様車(2025年7月現在 日産調べ)
5.後悔しない福祉車両の選び方とは?
福祉車両選びで後悔しないためには、シートベルトの有無や頭上の余裕など、使う人の生活を加味しなければなりません。後悔しないための選び方のポイントを、次に詳しく解説します。
5-1.シートベルトが使えるか
車椅子のままで乗車する場合、既存のシートベルトは使えないこともあります。
車椅子の固定器具がきちんと備わっているか、車椅子利用者用のシートベルトが装備されているかを、しっかりとチェックする必要があるでしょう。
5-2.頭上に余裕があるか
車椅子のまま乗車する際は、頭上に余裕があるかどうかも大切です。大きい車椅子を使用している場合や座高の高い車椅子利用者が乗車する場合、頭上が狭くなってしまうことがあります。ドライブ中に頭が窮屈だと不便なので、天井スペースに余裕があるかは必ずチェックしておきましょう。
5-3.車椅子の乗り入れ位置はどうか
福祉車両を選ぶ際は、車椅子利用者が実際に乗車する位置も確認しなければなりません。
乗車中も介助が必要な場合は、隣に介助者が座れるかどうか、運転席から手が届く位置かどうかなどを確認する必要があるでしょう。
5-4.試乗できるか
今はネット上で仕様を確認できたり、 口コミを見ることもできますが、福祉車両を選ぶ際は実際に試乗してみることも大切です。
室内の広さや視界の開け具合など、実際に乗ってみることで分かってくることがたくさんあるためです。
6.福祉車両の減免税制度や助成金をまとめて紹介!

福祉車両を購入する際や乗車する際は、自治体の減免税制度や助成金制度が適用される場合があります。(自治体によっては制度がない場合もあります。)
福祉車両にかかわる制度は、以下の6つが代表的です。
①自動車税環境性能割・種別割の減免
②消費税非課税
③市町村の補助金
④社会福祉協議会の低金利融資
⑤高速道路料金の割引
⑥その他
制度の概要や対象となる人をそれぞれ簡単に解説していきます。
①自動車税環境性能割・種別割の減免
障害者等の方のために使用する自動車が減免や免除となる制度です。
都道府県ごとに条件や申請方法が違いますので、事前に必ずお住まいの都道府県で確認してください。
②消費税非課税
多くの車種の福祉車両では、車両本体およびオプション品や修理費の消費税が非課税となります。
ただし、一部の福祉車両は非課税にならないものもあるので、事前に必ず非課税車両かどうかを確認しておきましょう。
ただし、一部の福祉車両は非課税にならないので必ず非課税対象かどうか確認しましょう。
③市町村独自の補助金
福祉車両に改造する場合や、改造した福祉車両を購入する場合に、市町村によっては10~30万円の補助金や助成金が受けられる場合があります。条件等は市町村によって異なりますから、気になる方はぜひ一度調べてみてください。
④社会福祉協議会の低金利融資
各都道府県の社会福祉協議会では、福祉車両への改造や福祉車両の購入にかかる費用を貸付してもらえる制度があります。
お住まいの都道府県の社会福祉協議会を確認してみてください。
⑤高速道路料金の割引
障害者本人が運転する場合や、介助者が障害者を乗せて運転する場合、有料道路の割引を受けることができます。ETCでも現金でも、どちらでも使うことができますから、有料道路をよく利用するなら事前の申請を忘れずに行いましょう。
有料道路の割引制度については、以下の記事でも詳しく解説しています。
⑥その他
上記でご紹介した以外にも、駐車禁止規定の適用除外、自動車用燃料費の助成、カーフェリー旅客運賃の割引などさまざまな優遇措置があります。
以下の記事では自動車燃料費助成制度についてさらに詳しく解説しています。ぜひこちらもあわせてご覧ください。
参照:ガソリン代に障害者割引は適用される?自動車燃料費助成制度の対象者や申請方法
参照:駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の申請手続き及び使用方法について|警視庁
7.最後に
今回は、車椅子のまま乗ることができるおすすめの福祉車両や使える制度について紹介しました。
車は決して安くない買い物となるのですから、自分に合うものをじっくり吟味したいですよね。
購入の際は、本記事でご紹介した助成制度や補助金制度を活用して、賢く購入してください。
あなたが快適なマイカーライフを手に入れられるよう、心からお祈りしています。







