あなたは車椅子専門美容師を知っていますか?
今回は車椅子専門美容師として活躍されている方司音さんを取材させていただきました。
他にも、訪問ヘルパーやアーティストの個展準備、バリアフリー化を取り入れた町おこしなど、多岐にわたって活躍されています。
車椅子専門美容師という職業を作った背景や、そんな方司音さんが目指す未来に迫りました。
バリアフリーに興味がある方やご自身の進路に悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.方司音(ホシオ)さんってどんな人?
関東を中心に訪問カットサービスを提供されている方司音さんですが、SNSでも精力的に活動を発信されています。
美容師だけでなく、訪問ヘルパーやイベント運営、今後はカフェの運営予定もあるそうで、職業に縛られず面白いと感じたものに取り組んでいきたいと話します。
そんな方司音さんですが、初めから美容師を目指していたわけではありませんでした。
4歳から16歳までピアノを習い、高校ではバンド活動をしていました。その影響で高校卒業後は音楽の専門学校へ進学し、後にプロのレコーディングスタジオに就職しました。
そこにはテレビで見るようなアーティストも収録に訪れていたそうで、何より先輩たちに可愛がって貰えたことがとても楽しかったといいます。
一方、このままでいいのかと不安もあったそうです。次第に手に職を付けている技術職に憧れていきました。
その頃、方司音さんには片思い中の美容師さんがいました。自分も美容師になれば同じ目線で話ができるかもしれないと、通信制の美容学校を探し、美容師になることを決心したそうです。
しかし、学校への受験条件は、サロンで働いていることでした。もちろん美容室で働いた経験はありません。ですが、持ち前のバイタリティでレコーディングスタジオ近くの美容室へ飛び込んだといいます。
驚くことに、そこは超一流のサロンだったのです。「ここで働かせてください」と勢いで言ったものの、後日連絡があり、見習いから始めて見事採用となりました。
そして、ここから今の活動のきっかけとなる2つの出会いがありました。
2.方司音(ホシオ) さんを変えた出会い
美容学校を卒業後は、美容師としてサロンで働いていました。
仕事で頻繁に香港へ行く機会があり、せっかくだったら友人を作ろうとFacebookを用いて現地の人と連絡をとったといいます。
回数を重ねるうちに友人も増え、食事をしながらお互いの人生観まで深いコミュニケーションもとれるようになりました。
その中でこんな質問がありました。
「僕の夢は大好きなアメリカの街で、家を建てて家族と週末はバーベキューをして、ゆっくり過ごすこと。日本人はなぜ将来の夢を聞くと職業で答えるの?」
香港の友人はライフスタイルを重要視していて、仕事はあくまで手段と捉えていました。これに方司音さんはかなりの衝撃を受けたといいます。
その後、自身の人生について模索していく中で、友人のお母さんと話す機会がありました。
その方は、以前Ayumiでも取り上げた「こころMojiアーティストの浦上さん」をプロデュースされています。東京オリンピック・パラリンピックに向けてアートに取り組む浦上さんについて教えてもらい、浦上さんのことがとてもカッコよく見えたそうです。
(浦上さんの記事はこちら)
そこで、そのお母さんから「選手村で髪の毛を切ってみたら」と提案を受けたのです。
少し前に、家で塞ぎ込んでいた友人の髪をカットしたところ「少し元気が出た」と喜んでくれた経験がありました。
提案を通して自分のカットで人を喜ばせられるかもしれないと思い、その瞬間にボールペンで「車椅子専門美容師 方司音」と手書きの名刺を配ったことが、今の活動のきっかけです。
3.何故ヘルパーとしても活動をするのか?
方司音さんは現在、週2日ほど訪問ヘルパーとして介護の仕事をしています。
車椅子専門美容師として活動を始めたものの、これまで障害や福祉の世界とは無縁だったといいます。
そこで初めに、2週間方司音さん自身が車椅子で生活をしてみました。外出先でのバリアフリー状況や、車椅子の仕組みを直に感じたことで、視点が大きく変わったそうです。
訪問カットをする際、もし介護が必要な場合でも、介護資格と経験があればお客様に安心していただけるとの思いで始めました。
実際の施術の際も、お客様の障害や身体の状態をしっかりとヒアリングしたうえで、負担が少なくなるように行なうため、経験が役に立っているそうです。
また、直に在宅介護を見る中で、これまでとは大きく目線が変わったといいます。日々の生活の中でのバリアに直面した際、利用者さんやスタッフと意見を言い合い、新たな視点が生まれることもあります。
今は福祉に関わることが楽しく、毎日が新鮮だそうです。
4.今後の挑戦に迫る!
自分が美容師をする意味を考えたとき、髪を切る行為自体が好きなわけではないと結論に至ったとのことです。
ただ、お客様の期待に応えることに楽しさを感じていたことから、人に喜ばれることをするのが好きだと気づきました。
そこでサロンワークをやめ、喜ばれること、期待に応えられることを意識して活動しています。
髪を切って、ヘルパーもして、カフェでも働き、まちおこしをして、アーティストのお手伝いもする、といったように、形態は様々ですが、喜ばれることをやっていきたいといいます。
また、活動を大きくするために今後挑戦したいこととして、起業を挙げられました。これには方司音さんが目指す社会が大きく関わっています。
5.方司音(ホシオ)さんが目指す社会
「生き方を選べるようにしたい」ということが、方司音さんが起業を目指す理由の1つです。
障害当事者と関わる機会が増えて、仕事が限られていると感じている友人を沢山見てきたことで、「できる・できないではなく、やりたい・やりたくないかを選んでほしい」と考えているとのことです。
また、生き方を選ぶためにはお金が必要で、その手段が仕事であり働き方という考えから、今後はお金を稼ぐ経験を得て活動の幅を広げられるような、チャンスを提供できる会社を作りたいといいます。
「まだ生きづらい思いをしている人たちが、活躍できる場所を広げられる社会にしていきたい」
その言葉には、車椅子専門美容師として美容のバリアフリーから社会のバリアフリーへ踏み出そうとする決意を感じました。
6.最後に
今回の記事はいかがだったでしょうか?
筆者は取材を通して、方司音さんの他業種でも挑戦したいと思ったら一流の環境に飛び込む行動力に驚かされました。また人生観を学べることが多く、とても楽しい時間になりました。
方司音さんは、関東圏を中心に訪問カットを提供されています。サービス区域対象外の方でも対応可能な場合がありますので、まずは相談してみることをおすすめします。
また、少しでも気になった方はぜひSNSをチェックしてみてください。
Instagram:https://www.instagram.com/sean5195025/
Twitter:https://twitter.com/hoshi_cut