NTT東日本やNTT西日本で有名なNTTグループが、聴覚障害者や言語障害者向けの方のコミュニケーションツール「電話お願い手帳」を提供していることをご存知でしょうか?このツールを知っていると、いざという時に様々な事案に対処することができます。
障害福祉サービスで働く現役の介護福祉士が、わかりやすく解説します。
目次
1.聴覚障害者と言語障害者の多くの人が抱える悩み
聴覚障害者の悩み
NHK福祉情報サイトハートネットによると、聴覚障害者100人に聞いた「悩みの傾向」は、下記のような結果でした。
1位は「情報が入ってこない」55%
2位に「情報が伝えられない」34%
3位に「誤解が多い」11%
特に「110番や119の緊急時に電話ができない」「声で伝えられない」ことが、最大の悩みだという声もありました。
参照:これだけは知ってほしい!聴覚障害のある人たちの悩み|NHK
言語障害者の悩み
聴覚障害者と同様、言語障害者にもうまく聞くことができなかったり、話すことができなかったりと、コミュニケーションがうまく取れない方が多いようです。
2.「電話お願い手帳」はどんなアプリ?
電話お願い手帳とは、NTTグループが提供している聴覚障害者や言語障害者・高齢者向けのコミュニケーションツールです。外出先でも、自分の意思やお願いしたいことを近くの人に伝えられるように、1983年から「電話お願い手帳(冊子版)」を無料配布しています。
そして、スマートフォンの普及に伴ってWeb版・アプリ版が開発され、2016年に提供が開始されました。現在、iPhoneやAndroidどちらでも使うことができます。
参照:「電話お願い手帳」アプリ版をご利用ください!|NTTグループ
3.「電話お願い手帳」はここが優れている!
電話お願い手帳の優れている点は、聞くことや話すことが苦手な人でも「今私が何に困っているか」を、視覚的に伝えることができるという点です。
アプリ版はスマートフォンを操作するだけで良いため、ペンで文字を書く必要がありません。緊急でお願いをしたい時などは、普段なら書ける文字がうまく書けないことも考えられますので、相手のために読みやすい字を書かなくてもいいという点も、優れているといえます。
それから、各項目ごとにあらゆる状況を想定した選択肢が用意されているため、自分で文字を書く場合と比較すると、意思を伝えるまでにかかる時間も短縮できるでしょう。
アプリ版は、無料でダウンロードすることが可能です。Web版に関してはダウンロードも不要なので、Google検索などで「電話お願い手帳」と検索して出てくるページから、すぐに利用することができます。
4.知っておきたい!「電話お願い手帳」の使い方
実際に「電話お願い手帳」のアプリを使って使い方を解説します。
こちらが、電話お願い手帳のアプリ版の画面です。左から「今何を伝えたいか」を簡単に選択することができます。
1つ目の使い方として、110番通報をお願いしたい時の使い方を紹介していきます。
まず「緊急」の項目から「110番へ電話をかけてください」を選択すると、中央の画面に移り、何があったか・さらに具体的な内容・時間・場所を選択することが可能です。最後に「お願い画面を表示」をタップすると、右の画面が表示されます。
このように、自分の言葉で伝えられなくても「電話お願い手帳」が代弁してくれる仕組みになっています。
次に、「お願い」の項目から、知人等に電話をかけてほしい場合の使い方です。
左の画面で「電話をかけてください」を選択し、中央の画面で自分の名前・相手の名前・相手の電話番号・伝えて欲しい内容を入力します。最後に右の画面が表示され、自分の状況・電話で伝えて欲しい内容を、丁寧な文章で伝えることができます。
実際に私も使ってみましたが、文字やボタンの表示も大きく、操作しやすいように設計されていて、とても使いやすかったです。また、漢字にはふりがなが振られていて、使用者や相手が子どもであっても、スムーズに内容が伝えられるようになっていました。
5.最後に
電話お願い手帳は、聴覚障害者や言語障害者向けのコミュニケーションツールであり、自分が伝えたい内容を、相手に視覚的に伝えることができます。アプリでも使うことができるので、手帳として持ち歩く必要がなく、スマートフォンで手軽に使うことが可能です。
聴覚障害や言語障害者の悩みを、少しでも減らすツールとしてご活用ください。聴覚障害のある方はAyumiがおすすめする補聴器5選の記事もご覧ください。