ライフハック 障害者におすすめの視線入力装置3選!値段や購入時の補助金制度についても解説

障害者におすすめの視線入力装置3選!値段や購入時の補助金制度についても解説

車椅子でデスクワークをする外国人の女性

言語障害がある障害者の方が、少しでも生活を快適に過ごせるように、さまざまな仕組みが取り入れられています。

かつては、筆談などが用いられていましたが、最近ではデバイスを用いて、より簡単にコミュニケーションが取れる仕組みが登場しています。

中でも、福祉器具の1つである視線入力装置は、意思の表出が困難な障害者の方でも意思表示できるため、重要なテクノロジーの1つです。

では、視線入力装置にはどのようなものがあるのでしょうか?

本記事では、障害者に対して特におすすめしたい視線入力装置を紹介するとともに、購入価格や購入時の補助金制度についても解説します。

視線入力装置を導入しようと考えている方にとって必見の情報が満載ですので、ぜひ参考にしてください。

1.視線入力装置とは?

車椅子でパソコン作業をする男性

視線入力装置とは、人間の目の動きを感知してパソコンやタブレット端末などを操作できる装置のことです。

通常、パソコンやタブレット端末を操作するためには手や指の動作が必要です。

ただし、障害者の場合は手が不自由などの理由でデバイスを操作できない場合があります。そこで、手や指を使用するのではなく、目の動きで操作できる視線入力装置が誕生したのです。

視線入力装置は意思伝達装置の一種であり、意思伝達装置としては、1985年に発売され現在でもシリーズが継続している「トーキングエイド」が有名です。

視線入力装置は、誰でもより使いやすい意思伝達装置として注目を集めています。

視線入力装置で視線をどのように検出するのかについては、さまざまな方式がありますが、代表的な方式として、赤外フィルタを用いる方法が有名です。

これは、赤外光を光源として取り込んだ眼球の画像より、瞳孔の中心点と角膜反射点の中心点を抽出します。そして、2つの特徴点の相対位置から視線を求めているのです。

ほかにも、目の瞬きを使用して操作する装置も多く見られるなど、種類や方式などによって使用感が大きく異なるのです。

視線入力装置のタイプには、大きく分けて以下の2種類があります。

  • メガネなどの人体に装着する接触タイプ
  • ディスプレイなどに取り付ける非接触タイプ


福祉器具である視線入力装置には、以下のソフトウェアがあります。

  • 意思伝達用
  • 訓練用(学習用)
  • 計測用(研究用)


また、各ソフトウェアによって使用感やターゲットとなる年齢が異なるため、最適なソフトウェアを採用した視線入力装置を選択しましょう。

2.視線入力装置の値段や補助金制度について

タブレットを操作する子供の手元

視線入力装置は、かつては100万円を超える装置も多くあり、誰でも手軽に導入できるものではありませんでした。

現在は、福祉器具に対してもさまざまなテクノロジーが採用されるようになり、ローコストで導入できる視線入力装置も増えています。

パソコンやタブレット端末などのデバイスが既に手元にあり、視線入力装置を取り付けるだけのものであれば数万円程度で購入可能です。

一方で、パソコンやタブレット端末を含めた一体型の視線入力装置の場合は、20万円を超える値段のものも少なくありません。

このような値段の高い視線入力装置の導入をサポートするため、視線入力装置の購入費用を軽減できる補助金制度があります。

補装具費支給制度の申請方法は、まず障害者または障害児の保護者が市町村長に申請します。

そして、身体障害者更生相談所などの判定または意見に基づく市町村長の決定に従い、補装具費の支給を受けることが可能です。

利用者負担は、原則として定率1割負担で、世帯の所得に応じて負担上限月額が決定されます。

なお、障害の度合いや世帯の所得により負担額が変化するため、詳細は自治体に問い合わせましょう。

参照:補装具費支給制度の概要|厚生労働省


3.障害者におすすめの視線入力装置3選

タブレット

視線入力装置にはさまざまな種類があり、値段や機能も千差万別です。

そこで、特におすすめしたい視線入力装置として、以下3つを紹介します。

  • マイトビーI-16
  • トビーTDパイロット
  • PCEye5


それぞれの特徴を含めて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

3-1.マイトビーI-16

マイトビーI-16は、視線入力装置とWindowsタブレットの一体型装置です。

よって、別途デバイスを用意することなく視線入力装置を導入できるメリットがあります。また、Windowsベースのタブレットであり、使いやすさも重視されています。

マイトビーI-16を使用すれば、会話だけでなく操作の大半を視線だけで対応可能です。

自分の身体の状態に合わせて、オリジナルのコミュニケーション画面を簡単に作成できるトビー・コミュニケーター5があり、さらに使いやすく設計されています。

マイトビーI-16は、向かい合う形で自然な会話を楽しめるように、装置の背面に会話を表示できる液晶画面があるなど、細かな配慮がある点も魅力的です。

また、一体型で軽量なデザインを採用しており、ベッドと車いすとの間を簡単に移動できます。

フロアスタンドやアームへの設置も容易であり、さまざまなシーンで活用しやすい視線入力装置としておすすめです。

参照:一体型視線入力装置 マイトビー I-16|株式会社クレアクト


3-2.トビーTDパイロット

トビーTDパイロットは、マイトビーI-16と同じく株式会社クレアクトが販売している視線入力装置です。

トビーTDパイロットはiPad Proをベースとしたデバイスであり、Apple製品を使い慣れた方に特におすすめです。

トビーTDパイロットには、日常生活で頻繁に使用する会話文や、キーボードで書いた文章を読み上げられるアプリ「TDスナップ」が搭載されています。

TDスナップは、見ると吸着するような感覚で視線入力をサポートする機能があり、目の疲労軽減効果があります。

外出先で使用することを想定して、屋外でも安心して会話やアプリ操作できるように、外光に強い設計となっているのも便利です。

さらに、水滴にも強い特徴があり、車椅子に専用アームで設置して外出先で使用するのも良いでしょう。

トビーTDパイロットの裏側には、パートナーウインドウが存在します。

これは、書いた文章や選択したフレーズを表示できるウィンドウであり、読み上げをしなくても相手に伝えられる便利な機能です。

大音量出力が可能なスピーカーが付いている点も魅力的であり、トビーTDパイロットには確実に相手に伝える機能が多く備わっています。

参照:iPad組込み型 視線入力装置 トビーTDパイロット|株式会社クレアクト


3-3.PCEye5

普段使用しているパソコンやタブレット端末を視線入力装置として活用したい場合、PCEye5の導入がおすすめです。

ノートパソコンやWindowsタブレットなどのデバイスにPCEye5を取り付けて、専用ソフトをインストールするだけで、容易に視線入力装置として活用可能です。

設定も簡単で、利用するデバイスのモニターより下の部分を見るだけでメニューが表示されて、視線入力準備をおこなえます。

描画やゲーム、療育ソフトの使用時などには左クリックの連続操作が必要となりますが、PCEye5では簡単におこなえるので便利です。

TDコントロールにより、Windows用のソフトウェアを容易に視線で操作できるように設定できる点も魅力的です。

ほかにも、創造的なゲームを通じてコミュニケーションスキルを養えるマジックアイFXなど、さまざまな障害を抱えた方でも利用しやすい視線入力装置となっています。

参照:視線入力装置トビーPCEye5|株式会社クレアクト 


4.視線入力装置と合わせて使いたい「意思伝達装置」と「ソフトウェア」

タブレットで家の間取りを確認する夫婦

意思伝達装置とは、重度の肢体不自由や音声言語機能障害を抱える方が、意思表出をおこなうために使用するコミュニケーション機器のことです。

制度上の名称は重度障害者用意思伝達装置とも呼ばれており、視線入力装置は意思伝達装置の一種となります。

ここでは、視線入力装置と合わせて使用したい意思伝達装置の中でも特におすすめの2種と、ソフトウェア1種を紹介します。

4-1.​miyasuku EyeConSW

miyasuku EyeConSWは、文字等走査入力方式がベースとなっている、意思伝達装置です。

文字等走査入力方式とは、ひらがななどの文字綴り選択によって、文章の表示や発声、シンボルなどの選択で伝言の表示や発声などがおこなえるソフトウェアのことです。

スイッチを使用した文字入力だけでなく、メールや環境制御などをmiyasuku EyeConSWだけで対応可能です。

本体の電源を入れると意思伝達機能が自動的にスタートして、終了時は自動でシャットダウンされるので利便性が高いデバイスとなっています。

また、ユーザーのスキルにマッチしたキーボードやパネルが用意されており、自分好みにカスタマイズ可能です。

基本は文字等走査方式による操作となりますが、視線入力装置を接続すれば視線による操作も可能となります。
スイッチと視線を組み合わせて使用することも可能であり、シーンなどに応じて使い分けることができます。

参照:miyasuku EyeConSW|株式会社ユニコーン


4-2.オリヒメアイ+スイッチ

オリヒメアイ+スイッチは、視線入力やスイッチ入力により障害者でも容易に意思表示できるようにサポートしてもらえる装置です。

オリヒメアイ+スイッチは、シンプルでわかりやすさを重視しています。

視線入力モードでは、通常の固定画面モードだけでなく、デジタル透明文字盤モードにより文字盤の端まで見やすく利用できます。

予測変換もあるので、入力をより簡単におこなうことが可能です。

また、オリヒメアイ+スイッチは以下の音声合成テクノロジーと連動できるので、言語障害がある方でも容易に意思表示できます。

  • コエステーション
  • ボイスター
  • マイボイス


音声合成とともに、分身ロボットであるOriHimeと組み合わせて使用することで、身振り手振りのコミュニケーションを取ることもできます。

トライアル使用も受け付けているので、事前に試した上で導入できる点も良いですね。

参照:オリヒメアイ+スイッチ|オリィ研究所


4-3.EyeMoT(アイモット)

EyeMoT(アイモット)は、視線でパソコンを操作する訓練用ソフトウェアです。

多くの個人や支援学校などで利用されており、日本賞2017でグランプリを受賞するなどの実績もあります。

フルHDでSSDを搭載したWindowsOSのパソコンにインストールすることで利用でき、以下の視線入力装置に対応しています。

  • Tobii PCEye 5
  • Tobii Eye Tracker 5
  • Tobii PCEye mini
  • Tobii Eye Tracker 4C
  • Tobii PCEye えくすぷろあ
  • Tobii EyeX Controller
  • eyetech TM5 MINI


EyeMoT(アイモット)のメインコンテンツは、視線入力訓練ゲーム EyeMoT 3Dシリーズであり、以下のようなゲームで遊びながら入力スキルを高められます。

ゲーム名概要
Sensory(センサリー)視線のアセスメントができ、視線だけでお絵かきできる
Game_00「風船割り」導入時のアセスメントや訓練に最適な風船割ゲームが遊べる
Game_01「ブロックくずし」ルールがわからなくても遊べるブロックくずしで、高得点を競えて成功体験を得られる
Game_02「アステロイド」認知面をアセスメントでき、眼球運動の訓練をおこなえる
Game_03「パネルはがし」注視や微細な動きを訓練できる
Game_04「セレクション」ワーキングメモリやすばやい動き・識別能力を訓練できる
Game_05「射的」画像や動画への視線行動を可視化でき、教材としても使用可
Game_07「もぐらたたき」指定のものや順番どおりに選択する練習をおこなえる
Game_10「ひらがな表」神経衰弱・しりとり・カルタを通じて、ひらがなを学んだり読み上げ機能により意思伝達装置の練習ができる

視線入力スキルは統合スコアで評価され、自分のスキルがどの程度向上したのかを容易に把握できます。

ほかにも、インクルーシブゲーム EyeMoT 3DXシリーズでも多くのゲームを遊ぶことが可能です。

参照:視線入力訓練ゲーム EyeMoT 3D シリーズ|福祉情報工学と市民活動


5.視線入力に必要な環境

ワイヤレススピーカー

言語障害がある方などが視線入力で意思表示するためには、以下のような装置などを準備する必要があります。

  • 視線入力装置
  • パソコンやタブレット端末
  • 視線入力用ソフト 視線入力学習ソフト
  • 固定具(モニタ―アームなど)


上記で、必須な環境となるのが視線入力装置とパソコンやタブレット端末、視線ソフトです。

また、視線入力学習ソフトがあるとさらに使いやすくなるため準備しましょう。

ほかにも、利用環境によっては視線入力装置やパソコン・タブレット端末を固定してより使いやすくするため、モニタ―アームやスタンドなどの固定具があると便利です。

6.最後に

視線入力装置は、年々技術的に進化しており、誰でも容易にさまざまな表現ができるようになっています。

また、バリエーションが豊富で高額な装置の場合は、補助金によって補助を受けた上で購入できるので手が届きやすくなっています。

さらに、ゲームなどを遊びながら視線入力スキルを高められる装置やソフトが増えている点も魅力的ですね。

視線入力装置をうまく活用して、普段の生活においてコミュニケーションを取ることを楽しみましょう。

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