「補装具費支給制度」を利用している障害者や家族は多いのではないでしょうか。実は、この制度は2025年4月に大幅に改正され、対象の物品などが大きく変わりました。
そこで今回は、この「補装具費支給制度」がどのように改正されたのか、細かい変更点について詳しく解説します。申請をする上での注意事項なども併せてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.補装具費支給制度とは?

補装具費支給制度とは、障害者が日常生活や就労を行う上で(障害児に関しては将来、社会の中で自立生活を送るための育成を目的として)、移動等の確保や能力の向上を補うために必要な補装具の費用を、国が支給する制度です。
支給対象の補装具は義手・義足、車椅子、上下肢装具、義眼、人工内耳など多岐にわたり、障害者の生活を支えています。
2. 2025年度の補装具費支給制度改正で何が変わった?

2025年度の改正では、補装具を作成するうえで必要な「完成用部品」のリストが大幅に見直されました。完成用部品の対象は833件から350件へと減少し、実に483件もの部品が支給対象から外れてしまいました。これにより、制度を利用している障害者や補装具を作成する業者が大きな打撃を受けているのです。
参照:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準に係る完成用部品の指定について|厚生労働省
3.制度改正による障害者とその家族への影響
補装具費支給制度の改正によって、実際に影響を受けている障害者やその家族は多いのではないでしょうか。
補装具を作成する為の物品が制度の対象から外れたわけですから、今まで使用していた補装具の申請が今年度から急に通らなくなる、といったトラブルが頻発しています。
ですので、今回の改正によって、自分にはどのような影響があるのか、事前にしっかりと確認しておく必要があるというわけです。
4.完成用部品から削除の意味

2025年度の改正によって削除された完成用部品の中には、機能性や安全性の確保に欠かせない重要なものも多く含まれていました。そのため今回の改正に、肩を落としている人は少なくないでしょう。
しかし今回の改正は、限られた財源の中で公平性・合理性をより明確にすることができるようになったとも言えます。「必要な人に必要なものを届ける」という、制度の本質を示す改正でもあるのではないでしょうか。
5.補装具の申請・修理前に必ず確認すること【要注意】

先にも書いたとおり、2025年度の制度改正によって、今までと同じ補装具でも申請が通らないというケースが相次いでいます。
今後、申請や修理の依頼をスムーズに行うためにも、一人ひとりが制度改正の内容をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
5-1.業者や自治体窓口での事前確認

とはいえ、すべてを自分だけで確認することは難しいですよね。
自分の使用している補装具が支給の対象になるかどうかや、特例で対応可能なのか、などの情報は、利用している補装具の業者や居住地の自治体で相談することもできます。
まずは、補装具の作成や修理に必要な部品が、現在も支給対象のままなのかはしっかり確認しておかなければなりません。もし、必要な部品が支給対象外となっていた場合、自己負担額はどのように変化するのかも確認しておいたほうが良いでしょう。
5-2.特例補装具費の対象になるかどうかを確認
仮に、補装具の作成や修理に必要な部品が対象外となっていた場合でも、絶対に申請が通らないわけではありません。障害の状況や生活環境などを加味したうえで「この部品でなければならない」というやむを得ない事情がある場合、特例補装具として支給対象にできる特例もあります。
この場合、更生相談所による判定を受ける必要があるので、まずは医師や補装具作成業者などに相談してみましょう。
5-3.自治体毎で対応・内容が違う!
制度が改正されて間もないこともあり、各自治体ではまだまだ運用のばらつきがあるようです。本来は、どこの自治体でも対応が統一されていることが望ましいですが、現状は、同じ補装具であっても自治体によって判断や対応が異なることも多いのだとか。
そのため、居住地の自治体での制度運用をしっかりと確認しておくことが重要です。必要に応じて担当者に話を聞くなど、より確実な情報を得るようにしましょう。
6.補装具費支給制度の情報はどこで得られる?

補装具費支給制度についてさらに詳しく知りたいときは、公的な情報、医療者、補装具業者などを頼るのが良いでしょう。
6-1. 公的な情報
制度の最新情報や詳細については、厚生労働省や各自治体の公式サイトで確認することができます。最新の情報がいち早く得られるので、詳細な情報や正確性を求める場合にはおすすめです。
参照:福祉用具 |厚生労働省
6-2.医療者による情報
特例補装具を申請する場合などは特に、現在の身体状況をしっかりと把握しておかなければなりません。その際、医師やリハビリスタッフなどの医療者の意見は非常に役に立ちます。行政機関や業者などにパイプを持つ医療者も多いので、まずは相談してみて損はないでしょう。
6-3.補装具業者による情報
普段利用している補装具業者による情報も有効です。業者がHPやSNSなどで情報公開している場合もありますし、必要に応じて直接問い合わせてみるのも良いでしょう。
実際の申請経験や対応事例など、実務に基づいた具体的なアドバイスを得られますし、その地域での制度運用に関しても熟知しているはずです。
7.補装具費支給制度以外の制度に関わる情報はどこで得られる?
補装具費支給制度以外にも、障害のある人の暮らしを良くする制度は数多く存在します。しかしながら、情報を得られずに知らないまま損をしてしまっているケースは少なくありません。
公的な情報機関をはじめ、福祉やバリアフリーに関わる民間の公式サイトやSNSなども頼りながら、賢く制度を活用していきたいですね。
7-1. 公的な情報機関
居住地の市町村に設けられている障害福祉課や福祉事務所は、障害福祉サービスや各種制度の総合的な窓口です。各制度の詳細や手続きの方法などを相談できる、一番身近な公的機関でもあるので、ぜひ活用したいものです。
また、 厚生労働省の公式サイトでは、各制度の概要や運用・予算などについても詳しく知ることができます。公的な情報源は正確性にも優れているため、安心して情報が得られるメリットがあります。
参照:障害者福祉 |厚生労働省
7-2. 民間の公式サイトやSNS
障害のある人のための制度などについては、福祉用具を取り扱う業者や、障害福祉に関する事業を行う民間会社が、公式サイトやSNSで情報発信している場合があります。
当サイト「バリアフリー情報サイト ふらっと。」でも、障害のある人の暮らしを格上げする便利な情報を集約しています。気になる方は、こちらもぜひご活用ください。
参照:【2025年最新版】バリアフリーリフォームの改修事例や補助金・減税制度を徹底解説!
参照:障害者手帳を使った高速道路や有料道路の割引制度を申請方法含めて解説
8.まとめ

補装具費支給制度の改正について、押さえておきたいポイントは以下です。
- 補装具費支給制度とは、補装具の作成や修理の費用を国が支給する制度
- 2025年4月の改正で、制度の対象となる「完成用部品」が大幅に見直された
- 使用している補装具が支給対象外となった場合でも、特例補装具として支給対象にできる特例もある
- 各自治体で対応が異なるので事前確認しておくのが安心
日常的に補装具を使用している障害者は、これを機に自身への影響を確認してみてはいかがでしょうか。













