「全国に約2万人」と聞いて、どれだけ希少な存在なのか想像がつくでしょうか。
この人数は、全国にいる医療的ケア児の数です。
現在日本の人口は、2025年5月時点で約1億千万人であり、 割合にしてみると、約0.016%というとてもマイノリティな存在です。
人工呼吸器や経管栄養などの医療的ケアを日常的に必要とする医療的ケア児の数は、医療の進歩で助かる命が増えたことに伴って増加していると言われています。
それでも、まだまだマイノリティな存在がゆえ、医療的ケア児とその家族が感じる「孤独感」が大きな問題となっています。
そこで、医療的ケア児がいる家族同士でのコミュニケーションを築けることが重要です。
本記事では、家族同士の繋がりを生むコミュニティについて徹底解説します。
参照:医療的ケア児等の支援に係る施策の動向|厚生労働省
参照:人口推計|総務省統計局|総務省統計局
目次
1.医療的ケア児のいる家族が抱える悩みとは?
「子育てに悩んだら、ママ友に相談する。」
そんな普通のことが、医療的ケア児の親にはできません。前述の通り、マイノリティな存在のため、周りに同じような子育てをしている人が見つからないのです。
その数の少なさゆえに、保健師、子育て支援センターなど、地域の子育て支援を担うプロでさえも接する機会が少なく、その悩みを理解して支援することが難しいようです。
では、孤独を抱えた医療的ケア児の親が、悩みを共有できる場はあるのでしょうか。
実際のオフラインの世界で見つけるのは難しくても、オンライン上にはあります。
2.似た悩みを持つ家族同士が繋がるコミュニティの紹介!
2-1.食事支援が必要な子供がいる家族のためのコミュニティ「スナック都ろ美」

特定の障害にフォーカスしたコミュニティもあります。
そのひとつである「スナック都ろ美」は、食事をうまく食べられない、飲み込めないといった嚥下障害のある子供を持つ親たちが作ったオンラインコミュニティです。
ホームページを覗いてみると、少しレトロな雰囲気を感じるデザインに、スナックらしく「あら、いらっしゃい」の文字が出迎えてくれます。
ページではママたちが写真付きで紹介されていて、それらを見るだけでもとっても親しみを感じることができます。
申し込みをして「常連」になれば、ざっくばらんにお話しする場やセミナーなどのzoomイベントに参加できるそうです。
仮想だからこそ、実際にスナックの扉を開けるよりも気軽に訪れることができそうですね。
「アカデミックトロミ」というコンテンツでは、有益な情報もたくさん掲載されています。
さらに、嚥下障害を持つ親御さんがおすすめする市販の食品やレシピの紹介は必見です。
参照:スナック都ろ美|一般社団法人mogmog engine
2-2.アンリーシュ
「アンリーシュ」は、医療的ケア児の家族や支援者向けの情報が満載のWebサイトです。
医療的ケアを必要としている児童や家族、支援者が暮らしやすい社会を作ることをビジョンとして掲げています。
医ケア児ママの体験談では、実際に医療的ケア児の日常生活に関して、リアルな声を紹介すると同時に、日常生活を快適に過ごすための情報が提供されています。
ファッションを楽しみたい医療的ケア児に向けてのコンテンツもあり、参考になりますよ!
お役立ち資料では、様々な困りごとや疑問に答えるコンテンツを無料で閲覧できます。
画像や動画を適度に使用しているので、内容を理解しやすい点も魅力です。
2-3.東京おでかけプロジェクト
「東京お出かけプロジェクト」は、「行ける場所より行きたい場所」を目指して、様々なイベントを提供しています。
医療機器を身につけていたり、突然大きな声が出てしまったりする場合でも、周りの目を気にせず家族一緒に楽しい時間を過ごせるイベントを開催しているのが特徴です。
過去、家族のはじめてのおでかけ体験を提供するイベントを神保町ブックハウスカフェで開催した実績があります。
絵本のおはなし会を開催したり、カレーパン付き交流会により家族同士でのコミュニケーションを取る機会が提供されました。
さらに、医療的ケア児を育てる親が”〝わたし〟”に戻ることができるイベントがROSEGALLERY銀座・資生堂パーラーで行われました。
プロによるヘアメイク指導、ポートレート撮影や、アフタヌーンティーといった体験を楽しみ、〝親〟ではなく〝わたし〟の時間を過ごします。同じような悩みを抱えるひとたちと交流を持つことができ、罪悪感を感じる親でも参加しやすいイベントとなっています。
誰もが自然体で一緒にいられる社会を目指す、温かい取り組みであり、是非参加したいですね!
2-4.医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会
「医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会」は、ウイングスが提供しているサービスです。
ウイングスでは、医療的ケア児であってもあたりまえに仕事や趣味、地域生活を送れる、インクルーシブな社会を実現するための活動を展開しています。
「医療的ケア児など家族会全国マップ作成プロジェクト」がメインコンテンツとなっており、身近に気軽に相談できる仲間を見つけるためのマップを提供しています。
登録している団体数は、2025年4月時点で64団体、28都道府県となっており個人単位での登録も可能です。
また、ウイングス・カフェと呼ばれるイベントを開催しており、保護者が集まるためのコミュニティも提供されていますよ。
単純にイベントを開催するだけでなく、イベント時に寄せられた当事者の声を行政や世間一般に広める活動を展開されている点も魅力です。
参照:医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会|ウィングス
2-5.つばめの会
「つばめの会」は、摂食嚥下障害や経管栄養などの医療情報や、子育ての情報を提供しているWebサイトです。
不安を少しでも軽減するため、学会出展や外部機関の研修などを開催しています。
また、つばめの会に加入することで、メールなどで利用会員同士で悩みごとの相談をしたりといった交流を図ることができます。
定期的に開催されている交流会では、家族同士でのコミュニケーションを図る貴重な場として活用可能です。
受診・ケアに役立つ情報として、摂食嚥下障害のこどもを診察してもらえる病院を紹介している点も便利です。
参照:つばめの会|つばめの会
2-6.医ケアkidsルーム
「医ケアkidsルーム」は、医療的ケア児の家族同⼠が交流する場を提供したり、経験豊富な⽀援者からのアドバイスを届けたりするために立ち上がったサービスです。
周囲に医療的ケア児がおらず、孤独を感じている際に是非参加したいコミュニティとなっています。
医ケアkidsルームのサイト上では、以下のコミュニティやトピックが存在し、ユーザー登録するだけで気軽に参加可能です。
- 病気
- 医療的ケア
- 医療福祉サービス
- 制度手当
- 療育・遊び
- 災害対策
- 食事
- お出かけ
- 通園・就学
- 医療機器・福祉用具
- 家族の部屋
- 支援者の部屋
- 地域の部屋
- その他の部屋
- 暮らし
コミュニティの参加者が多く、活発にコミュニケーションが取られていますよ。
2-7.かけはしねっと
「かけはしねっと」は、医療的ケアのある子を育てる親の会として2020年12月に特定非営利活動法人になりました。
茨城県つくば市を中心に活動しており、楽しいイベントを開催したり自治体への要望を行ったりしています。
定期的なイベントとして夏祭りを開催しており、2025年は210人を超える方が参加され大盛況でした。
また、つくば市肢体不自由児者父母の会との共催で座談会を開催を予定しているなど、気軽にコミュニケーションを取れるイベントが満載です。
さらに、季節毎のイベントを随時開催しており、年間を通じて参加できる特徴があります。
かけはしねっとの活動は各方面で注目されており、各種メディアでも取り上げられています。
2-8.バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~
「バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~」は、人工呼吸器をつけて生きる人や、その人たちと共に生きる人に向けたコミュニティを提供しているサービスです。
1989年5月、長期に渡って人工呼吸器を付けているこどもたちに対して、安全で快適な入院生活と生きる喜びを願って淀川キリスト教病院の院内家族の会として発足したのが前身であり、すでに35年以上の歴史があります。
2015年に会の名称を「バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる」とし、2019年8月段階では全国に500名程度の会員がいました。
大阪を拠点とする団体であるものの、全国に15支部を構えて幅広い範囲をサポートしているのが特徴です。
毎年8月には定期総会・講演会・交流会を開催、会員相互の交流は随時行われています。
また、各支部単位での交流会が開催されており、医療的ケア児がいる家族同士のコミュニケーションを図る場が提供されています。
賛助会員は年会費3,000円から参加できるので、興味がある人はぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
参照:バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~|バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~
3.医療的ケア児とその家族が生きやすい社会にするためには?

オンラインコミュニティは、ここで紹介したもの以外にもたくさんあります。
法人や団体が行っているものをはじめ、個人がボランティアでやっているものも少なくありません。
個人の場合、運営者の事情や何らかの理由で開催・継続が難しいこともあります。
もしあなたが出会ったコミュニティが個人運営だった場合、継続のためにもぜひ周りに広める活動をしてみてください。 X(旧Twitter)でリポストをしたり、それ以外の自分のSNSで紹介したり、お友達に紹介したり、手軽にできる方法でよいのです。
参加し、広めて、継続の力になる。
一人ひとりの小さな行動から、社会により浸透して輪が広がることによって、少しずつ医療的ケア児の認知度が上がるかもしれません。
そこから問題が認識されやすくなれば、医療的ケア児やその家族が生きやすい社会作りにも繋がるのではないでしょうか。
4.最後に
困ったことがあったら「誰かに話したい」「相談したい」と思うのは当然の欲求だと思います。マイノリティな存在でもそれは同じ。むしろ身近に同じ境遇の人がいないからこそ、人との繋がりや情報をより切実に望むこともあるかもしれません。
難病児・障害児の親の会がある場合もありますが、地域によっては存在しないこともありますし、すでに構築されたコミュニティに入るのは勇気がいるときもありますよね。
「私が参加して大丈夫なのかな?」「人見知りだから会話ができるか心配…」など人付き合いに不安を覚える方も、オンラインで、匿名なら、ハードルが下がるのではないでしょうか?
少しでも興味をお持ちになったら、まずは覗いてみることから始めてみてください。「悩んでるのは自分だけじゃない」という気持ちになれるはずです。














