NPO法人「ぱれっと」は、障がいがある方達を対象とした社会参画への支援と自立を目的に活動している特定非営利活動法人(NPO法人)です。
今回は、NPO法人「ぱれっと」の概要と活動や取り組みについてご紹介します。
目次
1.NPO法人「ぱれっと」とは?
NPO法人「ぱれっと」は、1983年から今年で設立40年周年を迎えた特定非営利活動法人です。
東京の恵比寿を拠点に「障がいのあるなしに関わらず、すべての人たちが当たり前に暮らせる社会の実現」を目指してさまざまな活動を行っています。
「ぱれっと」という名前の由来は、その名の通り絵を描く道具の「パレット」からきており、さまざまな色が出会い新しい色を生み出せるパレットのように交流できる場所という意味です。
NPO法人ぱれっとの活動理念として、次のように目的と理念を掲げています。
ぱれっとは、就労・暮らし・余暇などの生活場面において障がいのある人たちが直面する問題の解決を通して、すべての人たちが当たり前に暮らせる社会の実現に寄与します。
引用元:NPOぱれっとの概要|NPO法人ぱれっと
ぱれっとは、障がいのある人が抱える問題を解決していく中で福祉サービスの改善だけでなく、その先にある「すべての人の暮らしやすさ」を求めて活動していることがうかがえます。
2.NPO法人ぱれっとの活動や取り組みをご紹介
NPO法人ぱれっとは、障がいのある人たちが当たり前に暮らせる社会を実現させるために、さまざまな活動や取り組みを行っています。
ここでは、具体的なぱれっとの活動や取り組みを4つご紹介していきましょう。
2-1.新しい仲間と可能性を見つける「たまり場ぱれっと」
「たまり場ぱれっと」とは、障がいのある人もない人も関係なく誰もが自由に参加できる場所です。
たまり場ぱれっとは、ぱれっとの原点でありぱれっとが創設された年の1983年7月に活動を開始しました。
これまで、仕事場と家の往復しかなかった障がいのある方がもう一つ自分の居場所を作り、地域に溶け込んでより人生を楽しんでほしいというのがたまり場ぱれっとの狙いです。
この考え方は、NPO法人ぱれっとのどの活動においてもベースとなっている考え方であり、障がいのある方の生活圏をさらに広げています。
たまり場ぱれっとの具体的な活動としては、月に一回程度以下のようなイベントを参加者やボランティアの方達が中心になって企画・運営しています。
- ゲーム
- スポーツ
- PC教室
- 外出
- 宿泊行事
- 季節イベント(クリスマス会・お花見など)
たまり場ぱれっとの最大の特徴は、上記のイベントに「誰もが参加できる」という点です。
誰もが参加できるようにすることで新しい仲間や可能性を発見できる場になっています。
2-2.就労支援「おかし屋ぱれっと・工房ぱれっと」
ぱれっとの就労支援の一環である「おかし屋ぱれっと」は、1985年4月に障がいのある方が働ける場として東京恵比寿に開設されました。
また2013年には多様な働き方ができる場として「工房ぱれっと」をオープン。同年には、就労継続支援B型事業所として運営を開始しました。
就労継続支援B型の詳しい概要については、こちらの記事をご覧ください。
おかし屋ぱれっとではクッキーやパウンドケーキ、工房ぱれっとでは手作りのぬいぐるみや雑貨などを中心に販売しています。
ぱれっとが設立された当時の障がいのある人の就労支援というと、企業の下請けや清掃などの受注作業が多く、作業の選択肢が少ないのが大きな課題でした。
そこで、ぱれっとで作業所を立ち上げる時に「障がいのある人が一から十まで関われる仕事を作りたい」という想いから、当時の作業所では珍しかったオリジナルのおかしを作る決意をしました。
現在では、クッキーがおかし屋ぱれっとの看板商品となり、個人の方から団体・企業まで、多くのリピーターの方々に購入されています。
おかし屋ぱれっと・工房ぱれっとで作られた商品は、オンラインショップから購入することも可能です。
2-3.障がいのある人が安心して暮らせるための生活支援「ぱれっとホーム」
渋谷と恵比寿にある「えびす・ぱれっとホーム」は、障がいのある人が安心して生活するためのグループホームとして1993年8月に設立されました。2016年には近隣に「しぶや・ぱれっとホーム」も開設しました。
ぱれっとホームでは、暮らしの場を安らぎの空間にすると同時に、地域の中で当たり前に生活できることを目指しています。
また、家庭内で一時的に障がいのある人の方を介護できない状況になった時の預かり所である「緊急一時保護事業」としての役割も果たしています。
さらに、恵比寿にある「ぱれっとの家 いこっと」は、障がいの有無に関係なく多様な人が入居できるシェアハウスです。
入居者同士でコミュニケーションをとり合いながら、共同生活を送ることで自立した生活を目指せます。
2-4.国を超えて障がいのある人を支援「ぱれっとインターナショナル・ジャパン」
「ぱれっとインターナショナル・ジャパン」は、アジアを中心に諸外国との交流を深めるための活動です。
常設の拠点はありませんが具体的な活動としては、隔年開催されているアジア知的障害会議への参加と当事者会議のプレゼンテーションなどをサポートします。
また、おかし屋ぱれっとでの技術を活かしてスリランカでは、現地の障がいのある人が働ける場所「Sri Lanka Palette」を立ち上げ、クッキーを生産する工場を約10年間運営してきました。
このプロジェクトでは、日本から障がいのある人2名を派遣し、クッキーの作り方を指導しています。
その後、国情により工場は閉鎖してしまいましたが、現地のNPO法人が新たな雇用を作り働く場所を確保してくれました。
このように、NPO法人ぱれっとでは、日本だけでなく海外でも多くの支援事業を積極的に行っています。
3. 見学はできる?
NPO法人ぱれっとの見学は、火曜日と金曜日の隔週にて行っています。
また、見学の基本スケジュールは、以下の通りです。
- 【10:00~10:15】 えびす・ぱれっとホーム(暮らし)
- 【10:20~10:35】 ぱれっとの家 いこっと(暮らし)
- 【10:45~11:15】 しぶや・ぱれっとホーム(暮らし)
- 【11:20~11:50】 おかし屋ぱれっと/工房ぱれっと(就労)
- 【11:55~12:15】 たまり場ぱれっと(余暇)
一回の見学で、さまざまな場所を回れるのでぱれっとの活動全体が把握できます。
見学には、以下のフォームから事前の申し込み予約が必要です。詳しい日程も、確認できますのでぜひご覧ください。
4.最後に
今回は、NPO法人ぱれっとの概要と取り組みについてご紹介してきました。
ぱれっとは、障がいのある人のサポートだけでなく地域や社会と関わり合いながら幅広い活動をしています。
障がいの有無に関わらず多くの人々がぱれっとで交流する中で、新しい可能性や自分の存在価値を見出せるのではないでしょうか。
ぱれっとは、文字通りさまざまな色が混ざり合うパレットのように、新しい出会いが生まれる場所なのだと感じました。