旅行/観光 車椅子利用者とこどもが安心して泊まれる全国ホテル8選!

車椅子利用者とこどもが安心して泊まれる全国ホテル8選!

全国ホテル8選

車椅子を利用する方や幼児・未就学児を連れての家族旅行は、ホテル選びが旅の満足度を左右する決め手です。

バリアフリー対応の有無や客室の広さ、こども向けのアメニティや貸出品など、確認すべき項目は多岐にわたります。

本記事では、「車椅子とこども、バリアフリー」を意識した視点で、安心して宿泊先を選ぶためのチェックポイントと全国の主要ホテルチェーンを紹介します。

旅行の計画を立てる際の参考にしてください。

1.車椅子利用者と幼児・未就学児が安心して泊まれるホテルを探すための情報収集のポイント

訪問客を案内するホテルの従業員

家族全員が快適に過ごすためには、バリアフリーと幼児や未就学児、へ対応した環境が整っていること
の条件を満たしているか事前チェックが欠かせません。片方の環境だけが整っていても、もう一方への配慮が不足していればストレスの多い滞在になってしまいます。

ここでは、チェックすべき具体的な項目を整理しました。

【車椅子利用者が確認したいポイント】

  • 客室とバスルームの広さ
    車椅子でスムーズに動けるか、入口の幅は80cm以上あるかをチェック。スライド式や自動ドアであれば移動がさらに快適です。
  • ベッドの使いやすさ
    移乗しやすい高さか、リクライニング機能の有無を確認しましょう。
  • バスルーム設備
    段差の有無、手すりの配置、シャワーチェアの貸出、緊急呼び出しボタンの設置は必須です。必ずチェックしておきましょう。
  • トイレ環境
    客室内だけでなく館内のバリアフリートイレの数と場所を把握しておくと安心です。
  • 館内移動のしやすさ
    エレベーターやスロープ、廊下幅など、館内全体で段差が解消されているか事前に知っておきましょう。
  • 貸出備品
    車椅子、シャワーチェア、ポータブルスロープが予約で借りられるかをチェックしましょう。
  • スタッフ対応
    バリアフリーや介助の知識があるスタッフがいるかも大切な判断材料です。

【幼児・未就学児がいる場合に連れで確認したいポイント】

  • 添い寝の条件
    何歳まで無料かはホテルごとに異なります。
  • ベビー用品
    ベビーベッドやベッドガードの貸出可否、予約の必要性を確認しましょう。
  • こども用アメニティ
    パジャマ、歯ブラシ、スリッパなどの用意があると荷物が減らせます。
  • 食事対応
    離乳食の持ち込みや温め対応、こども用メニュー、レストランでのベビーチェア設置を事前に把握しておきましょう。
  • 館内設備
    キッズスペースやプレイルームの有無、長期滞在向けのコインランドリーもあると便利です。大浴場ではベビーバスやベビーチェアの貸出もチェックポイントです。

【医療的ケア児と宿泊する際に確認したいポイント】

  • 電源の数と位置
    医療機器の利用や充電に十分対応できるか知っ調べておきましょう。
  • 部屋の広さ
    医療機器や荷物を置いても余裕を持って移動できるかチェックしてください。
  • 防音性
    医療機器のアラーム音を気にせず過ごせるかあらかじめホテルへ確認しておきましょう。
  • 駐車場の利便性
    玄関近くに屋根付きの障害者専用スペースがあるか調べておくと安心です。
  • 事前相談の必要性
    人工呼吸器や特殊寝具、ケア食などが必要な場合は、必ず予約前にホテルへ相談してください。

ホテル選びでは「公式サイトの情報を確認するだけでなく、電話で直接問い合わせること」が安心につながります。写真や間取り図で客室やバリアフリー設備を把握し、疑問点は事前に解消してから予約すると、家族全員にとって快適な旅行が実現するでしょう。

バリアフリーのホテルを探すのは大変ですよね。そんな時は下記の記事も参考になります。

参照:バリアフリーなホテル・旅館34選!おすすめの情報掲載サイトやサイトの調べ方まで徹底解説


2.車椅子利用者とこどもが安心して泊まれる全国ホテルチェーン8選!

ホテルに到着

2-1.星野リゾート

ここからは、バリアフリー設備とこども向けサービスに配慮した国内主要ホテルチェーンを8つ紹介します。各ホテルの具体的な取り組みや注意点を把握すれば、自分たちのニーズに合った宿泊先を見つけやすくなるでしょう。

【車椅子利用者向け情報】

星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」では、建物の構造上すべての段差を解消するのが難しいことから、完全なバリアフリーではなく「バリアレス」という方針を掲げています。

これは利用者の負担を少しでも軽くすることを目的に、2019年から取り組みを開始し、2023年までに全施設での導入を目指して展開されてきました。

具体的には、モデル施設の「界 伊東」で木目調やブラウン系の落ち着いた色合いの手すりやシャワーチェアなどを設置し、客室の雰囲気になじむよう配慮しています。

さらに、公式サイトで客室の見取り図や段差情報を公開しているため、予約前に移動動線を把握できるのも安心材料です。

一方、「界 アルプス」ではフロントや食事処、大浴場が別棟にあり、エレベーターがないため、入浴には階段を利用する必要があります。足腰に不安がある方は、1階の温泉内風呂付き客室を選ぶと快適に過ごせるでしょう。

【こども向けサービス情報】

「界 アルプス」ではこども向けの会席料理が提供され、お風呂上がりにはアイスキャンディーの無料サービスがあり、こどもから高い人気を集めています。旅行中にこうしたちょっとした楽しみがあると、家族の思い出もより豊かになるでしょう。

ただし、食事対応については施設ごとに差があります。例えば「界 アルプス」の場合ペースト食は市販の離乳食のみでの対応となり、本格的な加工調理には対応できません。離乳食や特別食が必要な場合は、予約時に必ず相談しておくと安心です。

参照:星野リゾート公式サイト


2-2.オリエンタルホテルズ&リゾーツ

【車椅子利用者向け情報】

「オリエンタルホテル 東京ベイ」には、広さ32㎡で定員3名のアクセシブルルームがあります。バスルームとトイレには手すりが設置してあり、安心して滞在できるでしょう。館内には2階と3階にバリアフリートイレがあり、移動の不便を最小限に抑えています。

アクセス面も魅力的です。JR新浦安駅からホテルまではスロープ付きの歩行者専用デッキで直結しており、段差なく徒歩約1分で到着可能です。さらに、館内利用限定で車椅子の貸し出しも受けられるため、移動の負担を軽減できます。

【こども向けサービス情報】

子連れファミリーに向けたサービスが充実しているのも特徴です。ロビーにはキッズスペースがあり、すべり台や柔らかい積み木、触れると反応するプロジェクションが設置され、チェックインの待ち時間も楽しく過ごせます。

さらに、アメニティバー「TIROIR(ティロワール)」では、こども用歯ブラシやスリッパ、おむつ(M/Lサイズ)、おしりふき、ベビー用綿棒、使い捨て食器などを自由に選べます。こども用パジャマは80cmから140cmまで7サイズ展開され、日本国内でもトップクラスの充実度です。

ベビーベッドはつかまり立ちをしない0歳児向けに無料で貸し出し可能(予約制)。ベッドガードは無料で年齢制限なく利用できます。

食事面では、館内レストラン「グランサンク」でこども向けメニューを提供。特定原材料7品目(卵・小麦・そば・乳・落花生・エビ・カニ)の表示があり、予約すれば特別メニューも準備してもらえます。朝食ビュッフェはデザートが豊富で、こどもに人気です。

そのほか、館内1階にはローソンがあり、おむつやベビーフードの購入も可能。東京ディズニーリゾートへは無料送迎バスが最大1日69便運行しており、移動の利便性も高く評価できます。

参照:オリエンタルホテルズ&リゾーツ


2-3.三井ガーデンホテルズ

【車椅子利用者向け情報】

「三井ガーデンホテルプラナ東京ベイ」には、広さ30.4㎡・定員3名のアクセシブルツインが3室用意されています。

バスルームは他の客室と異なり、バストイレが同室のユニットタイプで、車椅子でも使いやすい設計です。希望すればシャワーチェアも借りられるため、安心して入浴できます。

また、系列の「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」では、客室にケアスタッフを呼び出せる緊急ボタンを設置するなど、チェーン全体で安全面を強化しています。こうした工夫は、車椅子利用者や付き添い家族にとって心強いポイントといえるでしょう。

【こども向けサービス情報】

「三井ガーデンホテルプラナ東京ベイ」は、ミキハウス子育て総研の認定を受けた「ウェルカムベビーのお宿」です。広さ45.4㎡の「プラナフォースルーム」は靴を脱いでくつろげる仕様になっており、家具の角を丸く加工するなど、幼児の安全に配慮したつくりになっています。

さらに驚くのは、全客室にベッドガード1台・補助便座1台・踏み台1台を標準装備している点です。0歳児用のベビーベッド(要予約)や哺乳瓶消毒器もレンタル可能で、持ち物を減らせるのも大きな魅力です。

朝食ビュッフェにはキッズコーナーや市販の離乳食が用意されており、未就学児は無料で利用できます。ファミリー旅行にうれしいサービスがそろっており、子連れで安心して滞在できるホテルといえるでしょう。

参照:【公式】三井ガーデンホテルズ


2-4.ドーミーイン

【車椅子利用者向け情報】

全国に展開するドーミーインでは、多くの施設にユニバーサルルームやハンディキャップルームが設けられています。

これらの客室は、車椅子での移動を妨げないようスライド式ドアを採用しているのが特徴です。さらに、バスルームやトイレには手すりを設置し、安心して利用できる環境を整えています。

ただし、ユニバーサルルームは公式サイトから予約できない場合もあるため、各施設へ直接問い合わせるのが確実です。車椅子の貸し出しをする施設もあるため、必要な場合はあわせて確認しておきましょう。

【こども向けサービス情報】

ドーミーインは、料金体系が明確で添い寝ルールの分かりやすさが、家族旅行に適しています。添い寝の場合、0〜2歳は無料、3歳〜小学生は1人3,000円です。

全施設に天然温泉の大浴場があり、湯上がりにはアイスキャンディー、翌朝には乳酸菌飲料が無料で提供されています。21:30~23:00には名物の夜鳴きそば(あっさり醤油ラーメン)が振る舞われ、添い寝のこどもも対象となるため、旅の思い出作りにぴったりです。

客室のテレビでYouTubeが視聴できる施設も多く、滞在中にこどもが退屈せず過ごせる工夫がなされています。施設によっては無料漫画コーナーを備えるところもあり、家族みんなで快適に過ごせる環境です。

2-5.ベッセルホテルズ

【車椅子利用者向け情報】

「レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ」では、415号室をアクセシブルルームとして提供しています。

浴室のドアは幅86cmのスライド式で、室内には車椅子が回転できるスペースを確保。トイレにはL字固定とU字型可動式の手すり、背もたれを備え、さらに緊急ボタンを3ヶ所に設置するなど、細部まで利用者に配慮しています。

館内2階のフロントそばにはオストメイト対応のバリアフリートイレがあります。車椅子が回転できる広さを持ち、ベビーシートも完備されており移動や衛生面での負担を軽減できる点が特徴です。

【こども向けサービス情報】

ベッセルホテルズの最大の特徴は、18歳以下の添い寝が無料という全国チェーンの中でも特に柔軟な対応です。

子連れ旅行では宿泊費を大きく抑えられるため、ファミリー層から高い支持を得ています。
さらにサポート面も充実しており、ベビーベッドやベビーカーの貸し出しに加え、紙おむつ(S/M/Lサイズ)とおしりふきが無料・必要な枚数分提供されるため、荷物がかさばりやすい乳幼児連れにとって非常に助かるでしょう。

このほか、ベッドガードやこども用スリッパ・歯ブラシ、哺乳瓶消毒セットなどの貸出品も充実。旅行中でも普段に近い環境を整えられるため、安心して宿泊できます。

参照:【公式】ベッセルホテルルズ】


2-6.コンフォートホテル

【車椅子利用者向け情報】

コンフォートホテルでは、全国の施設でユニバーサルルームの導入を進めています。これらの客室は、備品を手に取りやすい高さに配置し、ドアスコープも低い位置に設置しています。

浴室は段差のない入口で、浴槽は通常の客室よりも低めに設計されており、車椅子利用者でも使いやすい環境です。

バスルームや客室には手すりとフロント直通の緊急ボタンを完備。特に「ERA」ブランドのホテル(伊勢、東京東神田、京都東寺、神戸三宮など)では、全施設にユニバーサルルームを設置しています。予約は電話のみで受け付けているため、希望する場合は早めの連絡がおすすめです。

【こども向けサービス情報】

ファミリー層にとって魅力的なのが、小学6年生まで添い寝無料という点です。小学生のこどもがいる家庭では宿泊費を抑えられます。添い寝のこどもが無料の朝食サービスを利用できるのも特徴です。

ただし、一部ホテルでは添い寝のこどもの朝食が有料(例:別途500円)となる場合があるため、予約前の確認が必要です。

ベビーベッドは1泊1,100円(要予約)で貸し出し可能です。赤ちゃん連れの場合は事前にリクエストしておきましょう。

参照:【公式】コンフォートホテル


2-7.ルートインホテルズ

【車椅子利用者向け情報】

ルートインホテルズでは、一部の店舗を除きほとんどの施設に「バリアフリールーム」が設置されています。玄関に近い専用駐車場、段差のないスロープ付きの入口、低い位置にもボタンがあるエレベーター、スライドドアで段差のない浴室など、利用しやすい設備が標準的に整っています。

さらに、身体障害者手帳を提示してバリアフリールームを利用する場合、スタンダードプラン料金から20%の割引が適用される独自の制度を設けています。

【こども向けサービス情報】

こども連れの旅行にも対応できるサービスがそろっており、こども用アメニティセットが無料です。客室ではWOWOWを無料で視聴できます。

各施設によって異なるサービスも見逃せません。たとえば「ホテルルートイン高松屋島」では、絵本を借りられるキッズライブラリーを用意し、親子でくつろげる環境を整えています。大浴場にはこども用の桶や椅子、シャンプー類がそろっており、家族で一緒に入浴しやすい点も注目です。

参照:【公式】ルートインホテルズ


2-8.ダイワロイヤルホテルズ

【車椅子利用者向け情報】

ダイワロイネットホテルズでは、多くの施設にユニバーサルルームやアクセシブルルームを完備しています。

たとえば「ダイワロイネットホテル銀座 PREMIER」には広さ23㎡のアクセシブル ダブルルームがあり、「ダイワロイネットホテル新横浜」ではバリアフリー対応のツインルームを2室提供しています。

事前に連絡すれば客室内の家具や備品の配置替えについて相談できるケースもあり、利用者一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応が期待できます。

【こども向けサービス情報】

子連れファミリーにもうれしいサービスがあります。

小学生以下はベッド1台につき1名まで添い寝無料サービスがあるため、宿泊費を抑えられます。

フロントでは、こども用の歯ブラシやスリッパをプレゼントしてくれるのも嬉しいポイントです。

1歳未満を対象にベビーベッドの無料貸し出しもあります。ただし、安全上の理由からつかまり立ちをするこどもには貸し出しできないため、予約時に必ず確認しておきましょう。

参照:ダイワロイヤルホテルズ


3.車椅子利用者とこどもが安心して泊まる上での注意点

注意点

3-1.「バリアフリー」の確認は具体的に行い、スタッフへの事前に状況を共有する

多くの宿泊施設は「バリアフリー対応」と掲げていますが、内容は施設によって異なります。必ずユニバーサルルームやアクセシブルルームを指定して予約し、次のような項目をチェックしましょう。

  • 客室内の広さ
    車椅子が150cm程度の円を描いて回転できるスペースがあるか。
  • ドア幅
    入口が85cm以上、理想は90〜120cmあるか。
  • ベッド高さ
    40〜50cmで移乗しやすいか。
  • 浴室・トイレ
    段差がなく、手すり(壁から30〜35cm、床から70〜75cm)が適切な位置にあるか。
    シャワーの形式は固定式か可動式か。
  • 動線の安全性
    玄関から客室まで段差がないか、スロープ勾配は緩やかか(1/12以下が理想)。


施設によってはバリアを完全に取り除くのではなく、「バリアレス」という障害を軽減する工夫にとどまるケースもあります。必ずホテルに問い合わせ、必要であれば写真や図面を送ってもらいましょう。

予約時に車椅子を利用していることを伝えましょう。事前に必要なサポートを依頼しておくと安心です。

公式サイトの割引特典を利用したい場合、まずは通常プランをネット予約し、その後電話でバリアフリールームへの変更を相談する方法もあります。

3-2.貸し出し備品の確認

宿泊施設が提供する貸出品を活用すると、滞在の快適さが格段に上がります。必要なものがあるか事前に確認し、数に限りがある備品は早めに予約しましょう。

【車椅子利用者向け】

  • 介助式車椅子(館内移動用)
  • シャワーチェア、浴槽台、滑り止めマット
  • 介護用椅子や入浴補助具
  • 家具やベッドの配置変更(ホテルによって対応可)

【こども向け】

  • ベビーベッド(0歳児用が中心、要予約)
  • ベッドガードやおねしょパッド
  • ベビーソープ、ベビーバス、哺乳瓶消毒器
  • こども用パジャマ(サイズは施設ごとに異なる)
  • 紙おむつ・おしりふき(ベッセルホテルズでは無制限提供の例あり)
  • 絵本やおもちゃ、ベビーカー

車椅子で旅行する際の注意点をもっと詳しく知りたい人は下記の記事もおすすめです。

参照:車椅子で旅行を楽しむために知っておきたいこと|移動時の注意点や予約方法など徹底解説


3-3.食事に関する確認

食事は旅行中の楽しみであると同時に、安心して過ごすための大切な要素です。

【介護食・医療食】
・嚥下機能に不安がある場合、ペースト加工やきざみ加工の可否を確認する。
・旅館によっては離乳食対応にとどまるケースもあるため、事前に必ず相談する。

【アレルギー対応】
・特定原材料7品目(卵、小麦、乳、そば、落花生、エビ、カニ)の表示があるかチェックする。
・予約で特別メニューを用意できるか確認する。

【こども向けサービス】
・添い寝無料でも朝食が有料になる場合もあり(例:コンフォートホテルの一部)。
・キッズ用食器やベビーチェアの有無をチェックする。
・離乳食やキッズメニューの提供があるか調べておく。

3-4.滞在中の注意点

快適な宿泊体験を実現するためには、チェックイン後も安全やマナーへの配慮が大切です。ここでは、車椅子利用者とこども連れの家族が安心して過ごすための具体的なポイントを紹介します。

【車椅子利用者が注意する点】

  • 館内の移動経路
    客室や館内には思わぬ段差や傾斜があるケースも考えられます。厚手のカーペットも走行を妨げる場合があるため注意が必要です。
  • 非常口の確認
    緊急の際、避難経路に移動の障害になるものがないか事前にチェックしておきましょう。
  • 医療機器の持ち込み
    電動車椅子や吸引器など、電源が必要な機器を利用する場合はあらかじめホテルに相談しておきましょう。
  • 大浴場の利用
    温泉旅館では、浴場から客室へ戻る際に屋外を通るケースもあります。体を冷やさないよう、上着を用意しておきましょう。

【こども連れの家族が注意する点】

  • コンセント
    感電防止カバーがあるか確認し、ない場合は持参して対策しましょう。
  • 家具の角
    頭をぶつけないよう、可能であれば簡易クッションを使いましょう。事前の注意喚起もかかせません。
  • 窓からの転落防止
    高層階では窓がロックされているかチェックしましょう。家具を窓際に置かないよう注意してください。
  • 小さな備品
    誤飲の可能性がある装飾品やリモコン電池などは、こどもの手の届かない場所に移動させてください。
  • 添い寝のルール
    ホテルごとに年齢や人数制限があるため、規定を守りましょう。
  • 騒音への配慮
    廊下やレストランでは静かに行動するようこどもに伝えておきましょう。
  • 共用施設の利用
    大浴場やプールには年齢制限が設けられている場合があります。利用前に必ずチェックし、ルールを守って使いましょう。
  • 大浴場
    「おむつが外れたこどもから利用可」とするホテルが一般的です。混浴は6歳までといった年齢制限もあるため、事前に確認しましょう。
  • 朝食会場
    混雑が予想されるため、早めの時間帯を選ぶとスムーズです。
  • 緊急時への備え
    常備薬は必ず持参し、アレルギーや持病などの医療情報を紙にまとめておくと安心できます。
    ホテルのフロント連絡先や最寄り病院の情報はチェックイン時に確認しておきましょう。
  • 周辺環境の把握
    医療的ケア児と宿泊する場合は、近隣の病院の場所も確認しておくと安心です。

4.これがあれば安心!確認事項のチェックリスト

ここでは、今までの気をつけてほしい項目をリストにまとめました。
旅行前の計画にお役立てください。

利用確認が必要な備品/設備
チェック内容対応可否補足
バリアフリールーム・アクセシブルルーム・ユニバーサルルームといった部屋を設けているか?
部屋の開閉扉がスライドか形式か?室内の扉はスライド形式か?引き戸と押し戸だと入室困難な方がいます
クローゼットの開閉や洋服掛けの位置・高さ洋服がけを置く位置が高いと結局使えません
リモコンや内線電話の位置
室温の調整方法
シャワーの位置・高さシャワーを置く位置が高いと結局使えません
洗面台の高さ
コンセント類設置高さ(20~50cm程度の範囲内)
スイッチ類設置高さ (90~130cm程度の範囲内)
足もとにまくらを追加で準備してくれるか足を高くして寝ないといけない人がいるため
寝返りをうっても大丈夫なスペースがあるか褥瘡を気にしている人がいるため
タオルを置く位置お風呂場のタオルを置く位置が高いと結局使えません
トイレへのアクセス車椅子対応=段差のないトイレかどうかは重要
音声式デジタル時計目が見えない人にとっての音声で知らせる時計です
UDトーク or yyprobe(参照資料はこちら
滑り止めマットオーバルリンク・おく楽すべり止めマットARがおすすめです
あとづけシャワーフックユニバーサルシャワーフック(増田樹脂化学工業)シャワーホルダー(レバー式吸盤)などがあります
シャワーチェアー
シャワーキャリー
滑り止めマット
入浴用スポンジマット
簡易設置式手すり
延長コード
点字表記での「ホテルご利用案内」
筆談ボード / コミュニケーションボード / 電子パッド
使い勝手・導線
チェック内容対応可否補足
露天風呂までの導線上に段差の有無
段差の高さ
着脱室に入る前の段差の有無
手すりの設置有無
お風呂場に入る前の段差の有無
家族や介助者と利用可能な貸切風呂の有無(予約の可否、利用可能な時間帯 等)
表面は滑りにくい仕上げになっている
ベビーチェアーの貸し出しはあるか
オムツ替えベッドはあるか
フラッシュベルはあるか音が聞き取りにくい環境や大きな音を鳴らせない環境の際に最適です。特に災害時に役立ちます。
駐車場
チェック内容対応可否補足
専用スペースの有無
駐車場スペースの幅は350cmあるか
駐車場に砂利道など移動を阻害する物はあるか
ストッパーが無いか(※例:TIMESのストッパー)
施設になかったとしても近くに車椅子用駐車場はあるか。その案内をしているか(チラシを作成して車椅子利用者や高齢者にご案内するなどの対策状況)
コーンの有無(車椅子用駐車場を使わなくて良い人が使えないようにする)※理想は予約者が施設に着いたら、コーンを事前にどかしておく専用駐車場の予約又はそのような方の利用がわかっている上で、一般客が利用した場合、車移動を依頼するなどの柔軟な対応が必要になります
店舗外環境
チェック内容対応可否補足
出入り口段差の有無
出入り口ドアはスライド式かどうか
出入り口付近に点字ブロックは存在するか
階段の有無
階段の手すりの設置有無
エレベーターの有無
ビル・施設出入り口の段差の有無(つまづきの原因となるものがないか)
ビル・商業施設に入っている飲食店やホテルの場合のチェック事項
ビル・施設の出入り口ドアはスライド式かどうか
ビル・施設入口のドアの幅は80cm以上はあるか
店内環境(飲食店)
チェック内容対応可否
店内段差の有無
店内出入り口スロープの有無(段差がある場合)
店内のドアの幅は80cm以上あるか(店内と店舗に入るためのドアが2つあった場合はどちらも記入)
店内通路(テーブルとテーブルの幅)は80cm以上あるか
店内通路(店内カウンターとテーブルの幅)は80cm以上あるか
店内に車椅子が転回可能な場所があるか
店内にテーブルはあるか
動かせる椅子が利用されているか
店内に荷物置きや荷物掛けは、車椅子に乗る人が届きやすい位置にあるか
車椅子を置くスペースが確保されているか
点字メニューはあるか
外国語メニューはあるか(車椅子に乗っている外国人のため)
筆談対応しているか
食材の切り分けに対応可能か
嚥下(トロミ・刻み)食などが対応可能か
車椅子が入れる個室があるか
盲導犬と一緒で大丈夫か
トイレ環境
チェック内容対応可否
店舗内に車椅子用トイレがあるか
水洗器具(オストメイト対応)を設けているか
トイレ出入り口の段差の有無※つまずきの原因となるものがないか
ドアはスライド式かどうか
ドアの幅は80cm以上あるか
トイレスペースは幅160cm✖︎奥行き160cmあるか
洗面器(手洗い場)の有無
ユニバーサルシートは設置されてるか
店舗内トイレにゴミ箱があるか
便座に背もたれがあるか(重度障害者には姿勢の保持が難しい人もいため)
手すり配置が右側にあるトイレか(片麻痺当事者はこれを自分が使えるか判断可能)
手すり配置が左側にあるトイレか
緊急呼び出しボタンが、車椅子の方が倒れた時に、手が届く距離にあるか
呼び出しボタンが、ボタン式ではなく、握力のない人でも呼べる設計になっているか

5.事前に宿泊施設のバリアフリー情報を3Dで確認!「IKKEL」

宿泊施設を探す際に「本当に車椅子で移動できるか」「段差や浴室は利用しやすいか」といった不安を解消してくれるのが、バリアフリー宿泊情報サイト「IKKEL」です。

運営は一般社団法人バリアフリー総合研究所とUDラボ東海。障害者や高齢者、サポートが必要な人の目線に立った実用的な情報を提供しています。

【IKKELの主な特徴とメリット】

  1. 信頼性の高い情報
    「IKKEL」に掲載されている宿泊施設は、すべてサイト側の審査を経て登録されています。そのため、利用者が安心して参考にできる信頼性の高い情報収集が可能です。
  2. 3Dでの視覚的な確認
    最大の特徴は3D表示機能です。平面の図面や写真だけでは分かりづらい段差や通路の幅を、実際に現地を歩いているかのようにチェックできます。これまで電話やメールで宿に問い合わせていた不安を、自分の目で解消できる点が大きなメリットです。
  3. 詳細で実用的な情報
    「IKKEL」では、目的地や施設タイプ、条件を絞り込んで検索が可能です。段差やスロープ、トイレや浴室の広さ、補助器具の有無など、旅行者にとって必要なデータがまとめられています。
  4. 旅行計画の効率化
    旅行前に「IKKEL」を利用すれば、候補となる宿泊施設のバリアフリー対応を効率的に比較できます。現地でのトラブルを防ぎ、計画段階から安心して宿泊先を選べるのが大きな魅力です。

参照:「IKKEL」バリアフリーな宿泊施設の情報サイト|一般社団法人バリアフリー総合研究所 UDラボ東海

instagramでもIKKEL様の紹介をしています。


6.まとめ

車椅子利用者やこども連れの家族旅行では、ホテル選びが旅の快適さを左右します。事前にバリアフリー対応やこども向けサービスを具体的に確認し、必要な貸出備品や食事対応についても問い合わせておくことが安心につながります。

全国には星野リゾートやベッセルホテルズをはじめ、さまざまな設備やサービスを備えたホテルチェーンがあり、ニーズに合わせて選択肢が広がっています。

さらに、バリアフリー情報を3Dで確認できる「IKKEL」を活用すれば、宿泊前の不安を減らし、旅行計画をよりスムーズに進められるでしょう。

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