近年、障害のある方々がサーフィンを楽しむ「アダプティブサーフィン」が世界的に注目を集めています。
日本国内でも国際大会が開催されるなど、その認知度は年々高まっているのをご存じでしょうか?
本記事では、アダプティブサーフィンの基礎知識から国際大会の実績などを紹介します。
また、注目される理由、そして障害があっても楽しめる仕組みまで、その魅力を詳しくご紹介します。
ぜひアダプティブサーフィンを見て楽しむだけでなく実践してみてはいかがでしょうか?
障害者でも楽しめるバリアフリーなマリンスポーツやビーチは、以下の記事でも詳しく解説しています。
参照:障害者でも楽しめるバリアフリーなマリンスポーツ・ビーチ・海のレジャーを紹介
目次
1.アダプティブサーフィンとは?

「アダプティブサーフィン」とは、身体障害や視覚障害、知的障害など、さまざまな障害を持つ方々がサーフィンを楽しむために考案されたスポーツです。
アダプティブ((Adaptive))」は「適応する」という意味で、それぞれの障害特性に合わせた方法でサーフィンを実践できる点が大きな特徴となっています。
アダプティブサーフィンでは、参加者の障害の種類や程度に応じて、専用のサーフボードや補助器具を使用します。
例えば、下肢に障害がある方は座位や膝立ち姿勢でサーフィンを行い、視覚障害のある方はサポートスタッフの声かけを頼りに波に乗ることが可能です。
このスポーツの素晴らしさは、障害の有無に関わらず、誰もが海と一体になる感覚を味わえることです。
パラサーフィンは単なるレクリエーションではなく、参加者に自信と達成感をもたらす競技スポーツとして行われてます。
国際的には、障害の種類や程度によってクラス分けされており、公平な競技環境が整備されています。主なクラスには以下のようなものがあります。
| クラス | 対象となる障害 |
| AS-1 | 重度の身体障害(座位でのサーフィン) |
| AS-2 | 中度の身体障害(膝立ち姿勢でのサーフィン) |
| AS-3 | 軽度の身体障害(立位でのサーフィン) |
| AS-VI | 視覚障害 |
| AS-5 | 上肢障害 |
2. 国際大会が過去行われてきた!「JAPAN OPEN」とは?
日本におけるアダプティブサーフィンの発展を語る上で欠かせないのが、国際大会「JAPAN OPEN」の存在です。
この大会は、日本アダプティブサーフィン協会(JASA)が主催する国際的なイベントで、世界各国からアダプティブサーファーが集結します。
JAPAN OPENは、千葉県をはじめとする日本各地の海岸で開催されています。
大会では、国内外のトップアダプティブサーファーたちが技術を競い合い、観客に感動を届けています。
この国際大会の開催により、日本国内でのアダプティブサーフィンの認知度は飛躍的に向上しました。
大会の特徴として、競技性の高さと同時に、参加者同士の交流を重視している点が挙げられます。
アダプティブサーフィンの国際大会は、単なる競技の場ではなく、世界中のアダプティブサーファーが経験や知識を共有し、互いに刺激し合う貴重な機会となっているのです。
JAPAN OPENでは、以下のような取り組みが行われています。
- 国際基準に則ったクラス別競技の実施
- ボランティアスタッフによる手厚いサポート体制
- 地域住民との交流イベント
- アダプティブサーフィンの体験会やデモンストレーション
これらの活動を通じて、JAPAN OPENは日本におけるパラサーフィンの普及に大きく貢献してきました。
参照:Japan Adaptive Surfing Association|Japan Adaptive Surfing Association
3.アダプティブサーフィンが注目されるワケ

アダプティブサーフィンが世界的に注目を集めている理由は、主に以下になります。
- インクルーシブスポーツとしての価値が高く評価されている
- パラスポーツとしての競技性が高い
- メンタルヘルスやリハビリテーション効果が期待されている
最も大きな理由は、インクルーシブスポーツとしての価値が高く評価されている点です。
アダプティブサーフィンは、障害者と健常者が同じフィールドでスポーツを楽しむバリアフリーな環境を創出しています。
また、パラスポーツとしての競技性の高さが挙げられます。
2028年に開催されるロサンゼルスパラリンピックへの採用を目指す動きもあり、パラサーフィンは国際的な競技スポーツとして認知されつつある状況です。
トップアスリートたちの技術レベルは年々向上しており、その迫力あるパフォーマンスは多くの人々を魅了しています。
海という自然環境の中で行うアダプティブサーフィンは、参加者に以下のような効果をもたらします。
- 身体機能の向上とバランス感覚の養成
- 自信と自己肯定感の向上
- ストレス軽減とメンタルヘルスの改善
- 社会参加の機会拡大
アダプティブサーフィンのコミュニティは世界中に広がっており、SNSを通じた情報交換や交流が活発に行われています。
この国際的なネットワークが、アダプティブサーフィンの認知度向上と普及に大きく貢献しているのです。
日本国内でも、海辺の地域を中心にアダプティブサーフィンのプログラムが増えてきています。
これは、地域の観光振興やバリアフリー化推進にも寄与しており、自治体からの支援も徐々に拡大しています。
4.障害があってもサーフィンを楽しめる!
アダプティブサーフィンの最大の魅力は、障害の種類や程度に関わらず、誰もがサーフィンの楽しさを体験できる点にあります。
この実現のために、以下のようなさまざまな工夫とサポート体制が整備されています。
4-1.専用器具と技術的サポート
アダプティブサーフィンでは、参加者の状態に合わせた専用サーフボードが用意されています。
幅広で安定性の高いボード、座位用の特殊なボード、補助ストラップ付きのボードなど、多様な選択肢があります。
これらの器具により、初心者でも安全にサーフィンを楽しむことが可能です。
日本アダプティブサーフィン協会のパラ/アダプティブサーファーである高尾 千香子さんは、「事故で足は動かなくなったけど、海の中では自由なんだよね」と語っています。
足の麻痺がある方は、フィンボックスの横にまな板を取り付けることで足がボードから落ちないように改造しているなどして、それぞれの障害に合わせて工夫しながらサーフィンを楽しんでいます。
参照:インタビュー企画「海と人」vol.5 日本アダプティブサーフィン協会 パラ/アダプティブサーファー 高尾 千香子氏|千葉県
4-2.トレーニングされたサポートスタッフ
アダプティブサーフィンのプログラムには、専門的なトレーニングを受けたインストラクターとボランティアスタッフが参加します。
スタッフは障害特性を理解し、適切なサポート方法を熟知しています。
海への入水から波に乗るまで、細やかなサポートが提供されるため初心者でも気軽にチャレンジ可能です。
4-3.安全管理体制
サーフィンを楽しむためには、安全性は最優先事項です。
アダプティブサーフィンでは、通常のサーフィンと同様に以下の安全対策が講じられるケースが多いです。
- 天候と波のコンディションの確認
- 経験豊富なスタッフやライフセーバーの配置
- 緊急時の連絡体制の確保
- 参加前の健康状態の確認
以上により、安心してサーフィンを楽しめる点も魅力です。
4-4.体験プログラムの充実
初めてアダプティブサーフィンに挑戦する方のために、各地で体験プログラムが実施されています。
日本アダプティブサーフィン協会をはじめとする団体が、定期的にイベントを開催しており、気軽に参加できる機会が増えています。
千葉県や神奈川県、静岡県などのサーフィンが盛んな地域では、アダプティブサーフィンの体験会が頻繁に行われています。
これらのプログラムでは、器具の使い方から基本的なテクニックまで、丁寧な指導が受けられます。
アダプティブサーフィンは、障害者のスポーツ参加を促進するだけでなく、社会全体のバリアフリー意識を高める役割も果たしています。
海という開放的な空間で、障害の有無を越えた交流が生まれることで、真のインクルーシブ社会の実現に貢献しているのです。
5.まとめ
アダプティブサーフィンは、障害のある方々に海でのスポーツ体験を提供する画期的な取り組みです。
国際大会「JAPAN OPEN」の開催により、日本でもアダプティブサーフィンの認知度が向上し、多くの人々がその魅力を知る機会が増えています。
アダプティブサーフィンは単なるレクリエーションを超え、参加者に自信と達成感をもたらし、社会参加の機会を広げているのです。
日本各地で体験プログラムが実施されており、誰でも気軽にアダプティブサーフィンに挑戦できる環境が整いつつあります。
アダプティブサーフィンは、バリアフリー社会の実現に向けた重要な一歩であり、今後さらなる発展が期待されています。
見るだけでなく実践しても楽しい、アダプティブサーフィンにチャレンジしてみましょう!












