夏が近づくと、海やビーチで思いきり過ごしたくなる方も多いのではないでしょうか。一方で、車椅子を利用していると「砂浜は移動しづらそう」「そもそも海に入れるのだろうか」と、あきらめてしまう方も少なくありません。
砂浜は車輪が沈みやすく、実際に外出をためらった経験がある方も多いはずです。「せっかくの夏なのに、また今年も諦めるのか」と感じてしまうのも無理はありません。
でも実は、バリアフリー対応の専門施設や工夫された乗り物、スタッフのサポートがあれば、車椅子の方でも海やビーチを十分に楽しめます。
今年こそ海で夏を満喫したいという方に向けて、車椅子の方でも楽しめるバリアフリーなマリンスポーツ・ビーチ・海のレジャーを厳選してご紹介していきます。気になる場所が見つかったら、ぜひ今年の夏の計画に加えてみてください。
Ayumiでは、過去の記事でも車椅子でも楽しめる全国のユニバーサルビーチをテーマに紹介しているので、気になる方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
参照:【2026年版】車椅子でも楽しめる全国のユニバーサルビーチ11選
車椅子でもマリンスポーツを楽しめるの?

全国では車椅子でも、マリンスポーツやビーチ遊びを楽しめる場所はたくさんあります。どの施設も、様々な工夫やアイディアで、障害者でも安心して楽しめるような空間です。夏になると、全国から障害を持った方がその施設に訪れ、リピーターも含め多くの利用者に喜ばれています。
マリンスポーツを楽しめるバリアフリーな専門施設「ゼログラヴィティ」
ゼログラヴィティは、鹿児島県奄美大島にある障害者が安心してマリンスポーツを楽しめる専門施設です。
この施設のいちばんの価値は、体験の質の高さだけでなく、「そもそも参加できる」機会そのものを用意していることにあります。海の楽しさを紹介する施設は各地にありますが、車椅子の方や高齢の方がいると、旅行そのものを諦めてしまう家族や友人は少なくありません。
ゼログラヴィティは、宿泊施設・自社船・プールのすべてがバリアフリー設計で、同行するご家族や友人も含めて全員が一緒に海に入れます。「誰か一人が諦めなくていい」ことが、家族全員での奄美旅行を成立させてくれます。
アクティビティは、体験ダイビングやシュノーケリング、カヤック、SUP、ウェイクボード、クルージングなど幅広くそろっています。施設のプールは車椅子のまま入水でき、海に行く前の練習にも使えます。
海に出る際は専門知識を持ったインストラクターがマンツーマンで付き添うので、泳ぎに自信がない方や初めての方でも安心です。ダイビング上級者に囲まれて気後れするようなこともなく、一人ひとりのペースに合わせて楽しめる雰囲気があります。
利用した方からは、脚の不自由な78歳の母親と一緒に海のカヌーを楽しめた、古希を迎えてから初めてシュノーケリングに挑戦できたといった声が寄せられています。船酔いが心配な方には酔い止めや専用の眼鏡を用意するなど、細やかな配慮も評判です。
少人数でアットホームな運営で、受付やテラスに自然と人が集まり、スタッフやお客様同士の会話が生まれるのも、この施設ならではの魅力です。
立地も大きな魅力です。目の前には加計呂麻島との間に広がる大島海峡があり、雨や風に強く一年を通して海が穏やかなので、安定して海遊びができます。ビーチまでは徒歩30秒ほどで、テラスからは波の音を聞きながらゆっくりと過ごせます。
夏の海遊びだけでなく、冬(例年1月から3月ごろ)にはホエールウォッチングも楽しめ、船の上からクジラやイルカを間近に見られることもあります。宿泊施設が併設されているため、朝から晩まで海遊びを満喫できるのもうれしいところです。
無料のコインランドリーや器材の乾燥スペースなど設備も整っており、サポートを希望する方には奄美空港まで車椅子対応車での送迎もあります。奄美大島の豊かな自然の中で、家族みんなで思い出をつくれる施設です。
参照:ゼログラヴィティ
車椅子で楽しめるバリアフリーなマリンスポーツ3選

1. 海釣り
海釣りは、堤防や専用の釣り場から海に竿を垂らして魚を狙うアクティビティです。
激しい動きが少なく、自分のペースでゆったりと長く楽しめるため、車椅子の方にも向いています。最近は、駐車場から釣り場までの通路をバリアフリー化し、車椅子のまま釣り座まで移動できる施設が増えてきました。
バリアフリートイレを備えていたり、竿や仕掛け、餌をレンタル・販売していたりする施設も多く、道具がなくても手ぶらで挑戦できます。釣り方をスタッフが教えてくれる施設もあるので、初めての方でも安心です。
兵庫県西宮市の鳴尾浜臨海公園 海づり広場は、約300mの堤防でスズキやチヌ、タチウオなどが狙える施設です。
場内はバリアフリー化されていて車椅子の方も釣りができ、車椅子で利用できるお手洗いも備えています。竿や仕掛けはレンタル・販売があり、西宮市民で障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は、証明書の提示で使用料が無料になります。
静岡県熱海市の熱海港海釣り施設は、長さ260mの堤防を利用した施設で、季節によってアジやカワハギ、アオリイカなどが釣れます。
通路から釣り場までバリアフリー化されているため車椅子の方も釣りを楽しむことができ、管理棟内にはバリアフリートイレも備えられています。貸し竿や餌のセットの販売があり、手ぶらで訪れても大丈夫です。
参照:熱海港海釣り施設|熱海市
長崎県佐世保市の海馬瑞蜂丸(かいばずいほうまる)は、車椅子の方や身体の不自由な方に特化した、バリアフリー仕様の遊漁船です。
デッキはフラットに改造され、専用の車止めや滑り止めマット、ベルトで車椅子を固定し、最大3台まで乗船できます。船内には水洗トイレも備えられており、九十九島の景色を眺めながら船釣りとクルージングを一緒に楽しめます。
参照:海馬瑞蜂丸
2. セーリング
セーリングは、風の力を受けて水面を進むヨットのマリンスポーツです。エンジンを使わず、風と波を感じながら進む解放感が魅力で、近年は障害の有無を問わず楽しめる「インクルーシブセーリング」が各地に広がっています。
その中心となっているのが「ハンザ」と呼ばれるヨットです。大きく傾いても転覆しにくい構造で、こどもから高齢者、障害者まで、誰もが簡単に操作できるように考案されています。乗り降りはスタッフがサポートし、基本的な操作を覚えれば自分でヨットを動かす感覚を味わえます。体験会を開いている団体も多く、比較的手軽に挑戦できるスポーツです。
三重県伊勢市に拠点を置く一般社団法人ハンザセイリングジャパンは、「Sailing for Everyone」をモットーにインクルーシブセーリングを全国へ広めている団体です。伊勢市では定期的に体験乗船会を開催しており、体験会は無料、または保険料だけの低料金で参加できるものが多く、濡れてもよい服装と着替えがあれば気軽に参加できます。障害者も、基本的な操作を覚えてハンザを楽しんでいます。
香川県高松市のセイラビリティ高松は、高松市のヨットハーバーを拠点にハンザの体験セーリングを行っている団体で、例年4月から11月の日曜日に開催されています。ただし2026年8月時点では新規の体験セーリングの申し込みが一時中止されていますので、参加を検討される場合は公式サイトで最新の状況をご確認ください。
参照:セイラビリティ高松
高知県では、全盲のご夫妻(お一人は車椅子を利用)が盲導犬と一緒にYASU海の駅クラブでハンザを体験した事例があります。乗降場所のすぐ近くまで舗装されており、車椅子の方はビーチ用車椅子(無料貸出)に乗り換えて移動でき、乗降はスタッフがサポートします。施設内には車椅子で使えるシャワーやバリアフリートイレ多目的トイレも整っているので安心ですね。
参照:高知のバリアフリー観光 体験事例|高知県バリアフリー観光相談窓口
3. 海馬遊び
海馬遊び(うみうまあそび)は、暖かい時期の沖縄で、海の中に入って馬と一緒に遊ぶ珍しいアクティビティとして知られています。使われるのは、沖縄の希少な在来馬であるヨナグニウマです。小柄ながら足腰が丈夫で水の中でもスイスイと進み、頭が良く温厚で人懐っこい性格から、急に暴れ出す心配が少ない馬です。
基本は2名がペアとなって1頭の馬に付き、一人が背に乗り、もう一人は尻尾につかまって泳ぎます。海に入るといっても水深は馬の腰(大人の腰からお腹あたり)までで、ライフジャケットの貸し出しもあります。乗り方やふれあい方はインストラクターが付き添って教えてくれるので、馬が初めての方でも安心です。
実施時期は例年4月末から10月下旬ごろまでで、水温が低い時期は浜辺で楽しむビーチライドに切り替わることもあります。
なお、海に腰の深さまで入ることや馬に乗るという体験の性質上、車椅子での参加の可否は牧場によって異なりますので、希望される場合は事前に各牧場へご相談ください。海馬遊びは、ヨナグニウマ保護活用協会に属する各牧場で体験でき、予約は各牧場へ直接行います。
沖縄本島・南城市のうみかぜホースファームは、那覇空港から車で30分から50分、ユインチホテル南城の敷地内にあり、沖縄本島で海馬遊びを楽しめる牧場です。久米島馬牧場は、ヨナグニウマのほか、そのほかの日本在来種や在来種ミックスとも遊べます。
海馬遊び発祥の与那国島にあるちまんま広場では、海馬遊びのほか体験乗馬やトレッキングも楽しめます。
参加前に確認しておきたいこと
車椅子でマリンスポーツ・ビーチを楽しむ際には、いくつか注意点があります。
・事前に施設に確認する
・体調を整える
・日焼け対策をする
・無理をしない
マリンスポーツ・ビーチは、楽しいですが危険も伴います。事前に車椅子での利用が可能か施設に確認し、体調を整えてから楽しむようにしましょう。
また、日焼け対策を行い、少しでも体調が悪い場合は無理をしないようにしましょう。
まとめ
これから夏本番を迎え、暑さをしのげる海やビーチを本格的に楽しめる時期が到来します。
海遊びを楽しめる専門施設「ゼログラヴィティ」や、車椅子でも海水浴ができるユニバーサルビーチ、さらに堤防や遊漁船からの海釣り、転覆しにくいハンザヨットでのセーリング、沖縄の海で馬とふれあう海馬遊びまで、車椅子の方でも楽しめる海の遊び方は年々広がっています。
ぜひあなたも、海やビーチで思い切り遊んで、楽しい思い出を作ってください。







