あなたは、人生の最期に何をしたいですか?
思い出の場所に行きたい。慣れ親しんだ自宅で過ごしたい。外の空気を思いっきり吸いたい。
寝たきりになった方や医療的ケアが必要な方でも、安心して「したい」を叶えられるサービスがあります。
今回は、外出・旅行支援サービスを提供する株式会社Gritを紹介します。
高度救命救急センターでの経験を持った看護師だからこそ提供できる、利用者やご家族に最も寄り添った外出・旅行支援サービス。
当記事を通して、少しでも外出するきっかけになれば嬉しい限りです。
目次
1.株式会社Gritの創業の想い
2023年4月に開業した株式会社Grit。
共同代表である中山隼輔さんと内田祐介さんは、高度救命救急センターの看護師として、命と向き合う日々を送っていました。
たくさんの命が救われる一方で、下半身の麻痺や四肢の欠損といった障害を負う方、中には助からない命もたくさん目の当たりにしてきました。
「最後に〇〇がしたかった」
患者さんやご家族の多くが、人生の最期に直面して初めて後悔の念に駆られる声を耳にして、できなくなる前に想いを叶えられるサービスを模索するようになったとのこと。
日本では、病気や障害を理由に外出を諦めている方が、まだまだ多くいることを知り、高度救命救急センターで培った経験を活かし、後悔のない人生を送ってもらいたいとの想いで株式会社Gritは始まりました。
「Grit」とは、やり抜く力という意味です。看護師として新たなキャリアを踏み出し、困難に直面しても、最後までしっかりと向き合いたいという2人の想いが込められています。
ロゴは窓をイメージしていて、自宅や病院の窓からでも星が見えるように、外の世界と触れていられるようなサービスを提供し続ける強い気持ちを表しているとのことです。
2.共同創業者のハイクラスキャリアからなるサービス
高度救命救急センターで働く以前は、神経難病の病棟での経験もあるため、高齢者や障害者だけでなく、医療的ケア児などの難病疾患の方を含めて、すべての方へのサービス提供が可能です。
そんな経験豊富な2人が提供するサービスは、2つあります。
1つは「外出・旅行同行サービス」です。
障害や病気によって外出が困難な方に対し、看護師である2人が付き添うことで、安心して外出を楽しめるサービスです。
通常の旅行支援とは異なり、看護師が車の運転から容態管理、必要なケアを施しながら付き添ってもらうことができます。
人工呼吸器や酸素吸入器といった生命維持装置を熟知した2人だからこそ、医療依存度の高い方でも、不安なく特別な1日を過ごすことができるのです。
1日のプランニングは自分で行う必要がありますが、看護師の視点から旅先や宿泊地へのアドバイスを受けられたり、必要に応じて障害者旅行を手がける旅行代理店への紹介も受けることもできます。
一人ひとりに合わせたサービス提供を行うため、料金は決まっていません。
近くのスーパーへ一緒に買い出しに行ったり、医療的ケア児の家族の負担を軽減するために、数時間外出したりといった利用も可能です。
あなたの大切な思い出作りに、一緒に向き合ってくれるサービスなのです。
もう一つのサービスは「民間救急事業」。
こちらは介護タクシーとは異なり、医療従事者が医療的依存度の高い方の容態管理をしながら運搬するサービスです。
移動には株式会社Gritが保有する救急車を使用します。ストレッチャーで利用できるため、身体が不自由な方でも、安心して目的地まで移動が可能です。
「行きたい、見たい、やりたい」を叶えてくれる。それが、株式会社Gritのサービスです。
3.救急車も保持している?株式会社Gritが障害者や医療的ケア児のいる家族に選ばれる理由
株式会社Gritでは「その人らしい人生を歩んで欲しい」という想いから「行ける」ではなく「行きたい」という、本当に望んでいることの実現を大切にされています。
だからこそ、誰ひとり同じサービス内容ではなく、一人ひとりに適切なプランを提案しています。
利用した方の1人は、末期癌だったとのこと。「病院から自宅に帰りたい」という強い要望を受け、株式会社Gritを利用して一時帰宅をされたそうです。
久しぶりに自宅に帰ると「家のベッドはやっぱりいいなぁ」と言い、その数日後に天国に行かれました。
「今だからできることを実現していただき、お父さんも喜んでいると思います」
亡くなったご家族のこのお言葉からも分かるとおり、外出・旅行支援は、本人だけでなく家族にとっての大切な思い出を作ることができるサービスなのです。
また、別の末期癌の方は、愛媛の小さな島から横浜にいる娘夫婦に会いにいくために利用されたとのこと。
中山さんが新幹線から同行し、一緒に新横浜駅まで移動。駅からは、内田さんが救急車で利用者の方をお迎えし、高速道路を使ってご家族のもとへ向かわれました。
窓から見える景色に「こんな景色を見たのは何年振りだろう」と、本当に喜ばれていたそうです。
その人の想いを実現する。それが困難な要望だとしても全力で叶える。
こうした2人の想いが、障害者や医療的ケア児にとって安心して依頼できる要因なのではないでしょうか。
4.サービスにかける想いとこれからのGritについて
開業から約半年が経過した今、依頼も増え始め、「できなくなる前に想いを叶えたい」という当初の目標が少しづつ叶えられているとのこと。
実際に利用者の声を聞いていると、外出・旅行支援のニーズはたくさんあり、今後も広がっていくと確信を持てたそうです。
今後は、車両を増やすと同時に看護師や理学療法士も採用し、さらに安定したサービス提供を実現していきたいといいます。いずれは全国、さらには海外にも支社を構え、地域に左右されずにすべての人が「行きたい」を叶えられるよう事業展開を考えられているそうです。
また、医療従事者のキャリアを広げ、働きやすい環境も作っていきたいといいます。
障害や病気に左右されずに、外出や旅行をもっと身近に感じてもらえるよう、2人は今日も誰かの想いを叶えています。
5.能登半島の災害支援も行う
2024年1月1日、能登半島を中心とした地域に地震災害が発生しました。
多くの方が犠牲になり、道路が寸断されるなど被災地を巡る状況が中山さんたちは早速災害対策チームを発足させ、災害支援員の募集を始めました。
また、一般社団法人Nurse-Menなどいくつかの団体と共同で義援金を募り、被災地の医療従事者の支援をサポートする活動を行っています。
参考:災害対策チームがスタート
また、被災状況視察、現地医療ニーズと情報収集のため七尾市内訪問看護ステーションを訪れ、今後どのような災害支援を行っていくかを模索しているところです。
参考:中山隼輔(@grit___inc) • Instagram写真と動画
道路などのインフラが徐々に整備され、ボランティアの方々が現地に入れるようになってきました。
2024年2月12日時点で、七尾市、穴水町で活動しており、支援者であり被災者である医療従事者への支援をしている最中です。医療の手が届いていない避難所・施設などへの支援を、現地災害対策本部、DHEAT、DMAT本部との調整をしながら行っています。
株式会社Gritの特徴である救急車を出したり、看護師としてプロジェクト立ち上げから参画したり、一般社団法人Nurse-Menという法人の協力のもと精力的に今も活動しています。
6.最後に
今回は、株式会社Gritの外出・旅行支援サービスを紹介しました。
どんな病気があっても、最期まであなたらしい在り方を実現できるサービスです。
筆者は、幼少期から10年間入院生活を送ってきました。介護・医療体制により、外出が叶わず亡くなった友人もたくさんいます。
株式会社Gritは、このような方々が希望を持てるサービスを提供しているのです。
相談だけでも可能なので、気になった方は下記ホームページからお問い合わせください。
公式ホームページ:https://www.nurse-grit.co.jp/
Ayumiでは、バリアフリーな外出先も紹介していますので、ぜひ下記記事もご覧ください。