新年最初のイベントとして、多くの人が「新年会」を思い浮かべるのではないでしょうか。新しい年の始まりをお祝いする会ですから、誰もが気兼ねなく参加できる場であるべきです。しかしながら、車椅子利用者にとっては、多くの飲食店で参加ハードルの高さを感じています。
今回は、車椅子利用者が飲食店で直面する課題と、バリアフリーな飲食店の探し方について解説します。すぐに使えるバリアフリー飲食店の掲載サイトも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.今「バリアフリー飲食店」が求められる理由

今「バリアフリー飲食店」が求められている理由として、バリアフリーを必要とする人が増加していることがあります。
現在、国内には車椅子利用者を含む肢体不自由者が250万人程度おり、さらに高齢者の数も人口の29%を超えたのだとか。
多くの人が建物や移動に不安を感じているわけですから、バリアフリー飲食店の需要も増加していて当然。食事をする店舗がバリアフリーであることは、物理的にも心理的にも安心感が持てるものです。新年会のお店選びの際は、ぜひ店舗のバリアフリーにも注目してみてください。
1-1. 車椅子利用者が飲食店で直面しがちな4つの課題
車椅子利用者が飲食店へ出向いた際、よく直面する課題は次の4つです。
- ①出入口の段差やスロープの傾斜

「バリアフリー」と聞いて多くの人がまずイメージするであろう、出入り口の段差。飲食店を探すうえで最初の難関とも言えるでしょう。
もちろん、出入り口や店内には段差がないのが理想です。フラットな造りは、車椅子利用者だけでなく、足腰の弱い高齢者や、ベビーカーを使う子育て世代にも安心だと言えるでしょう。
しかしここで注意したいのは、ごく小さな段差やスロープの傾斜です。立っている人にとっては大きな段差に感じられなくとも、車椅子利用者にとっては乗り越えるのが困難な場合があります。さらに、段差解消のスロープが用意されている場合でも、その傾斜が急なら車椅子利用者は自力で入店できません。
このように、双方の視点の高さなどの違いによって、“認識のズレ”が生じることもしばしばあります。入口の写真等を用いるなどして、事前に参加者やお店側に確認できると安心ですね。
- ②店内の通路幅
車椅子利用者が食事をするお店には、充分な通路幅も必要です。
入退店時の移動はもちろんですが、トイレに立つ時や会計の際にも、180度方向転換が必要になる場合もあります。他の来店客含め全員が気持ちよくお店を利用できるよう、レジ前やテーブル間にはしっかりと余裕があるかを確認しましょう。
- ③机や椅子の高さや形状

意外にも、机や椅子が障壁となる場合もあります。
車椅子利用者にとって優しいのは、やはり座敷よりもテーブル席です。さらには、テーブル席であっても、車椅子の膝が机の下に収まる高さでなければなりません。膝が入らないほど机が低いと、車椅子と机の距離は大きく開いてしまい、食事がしづらくなってしまいます。
また、店舗によっては椅子が床に固定されていたり、背の高いハイテーブル・ハイチェアのみの飲食店もありますよね。この場合、車椅子のままでは食事ができません。事前に座席まで確認できると、より丁寧な準備だと言えるでしょう。
- ④バリアフリートイレの有無

多くの人が見落としがちですが、お店選びの際はトイレの状況も確認しておかなければなりません。
車椅子のまま入れるバリアフリートイレが設置されている飲食店は、まだまだ非常に少ないです。店内にバリアフリートイレがない場合は、少なくとも付近にバリアフリートイレのある施設やコンビニ等がないか確認しておくのが理想です。
- ⑤最寄り駅からのアクセス
あまり知られていませんが、お店までのアクセスが課題となることもあります。
お店自体がバリアフリーだったとしても、お店周辺の地面がデコボコしていたり、傾斜が急な坂道ばかりでは、車椅子利用者は移動が困難になってしまいます。さらに、最寄り駅にエレベーターがなくほかの路線でのアクセスも難しいなどのケースも考えられます。この場合、他のお店を選ぶかタクシーを手配するなど、何らかの配慮が除地用でしょう。
2. 失敗しない「バリアフリーな飲食店」の選び方

2-1. お店を選ぶときに確認したいチェックリスト
先にも記述したように、車椅子利用者との食事会でお店を選ぶときは確認項目が多いです。特に、以下の5つの項目は、事前にしっかり確認しておきたいもの。お店選びの際は、ぜひ忘れずにチェックしてくださいね。
- 入り口や店内に段差がないか
- 車椅子でも十分に通行できる通路幅があるか
- 座席は車椅子のまま着ける状態か
- バリアフリートイレの有無
- 周辺の道路情報やアクセス
2-2. 予約前に問い合わせるのがベスト
とはいえ、自身でそこまで詳細に調べるのは、なかなか難しいものですよね。ここまで詳しい情報は、そもそも店舗側が公開していないことも多いので、事前にお店へ直接確認するのがベストでしょう。
直接問い合わせた情報なら確実ですし、車椅子利用者にとっても安心材料になります。
3. 【幹事必見】車椅子利用者が安心して楽しめる会場づくり

3-1. 車椅子利用者の実体験「うれしかった配慮」
建物のバリアフリー以外にも、車椅子利用者が助かる配慮はたくさんあります。他の参加者やお店のスタッフから受けた「うれしかった配慮」には次のようなものがあります。
- 目線を合わせてくれた
車椅子利用者は立っている人に比べ視線が低いので、相手を見上げる形になってしまうことがほとんど。飲食店などへ入店したときに「自然にしゃがんで目線を合わせてくれた」という配慮は、さりげないながらも嬉しく感じる車椅子利用者は多いです。
- 介助の際に声かけがあった
車椅子利用者が飲食店を訪れた際、快く介助やサポートしてくれるスタッフは多いです。中でも、「少し前に進みます」「左へ曲がりますね」というように、細かな声かけがあると介助を受ける側も安心です。
3-2. 当日の席配置にも配慮を
どんなお店を選ぶかも大切ですが、当日の席配置にもぜひ気を配ってみてください。
たとえば、車椅子利用者のために、トイレの近くや広い席が確保してあると丁寧ですが、そればかりに気を取られてしまうと、他の参加者と距離があいてしまい、かえって会話の輪に入れないという場合があります。
そうなれば、せっかく参加した会でも楽しむことができませんよね。車椅子利用者の席の配置には、利便性と会話しやすさのバランスが求められるのです。
4. 飲食店タイプ別のメリット・デメリット

飲食店と一口に言っても、その種類はさまざまです。それぞれに魅力がある一方で、車椅子利用者にとっての利用しやすさには大きな違いがあります。ここでは、代表的な飲食店タイプごとに、メリット・デメリットを挙げていきます。
4-1. 居酒屋:バリアフリーは店舗ごとに大きな差があり
居酒屋は雰囲気も良く、夜間も営業していることが多いので、多くの人が交流の場として利用します。アルコールや食事もメニューが豊富なので、新年会の場としては人気が高いです。
メリット
- 個人経営店も多く、事前相談で柔軟に対応してもらえる場合も
- 個室がある店舗では、周囲を気にせず食事ができる
- 場合によっては、貸切対応が可能
- 商業施設内のお店なら、建物内にバリアフリートイレがあることが多い
- 夜遅くまで営業していることが多い
- フードやドリンクメニューが豊富
デメリット
- 段差が多い、入口が狭いなど、バリアフリー未対応の店舗も多い
- 車椅子利用者は掘りごたつ席への移乗が難しく、テーブル席がない場合は参加できないことがある
- トイレが和式・狭小であることがある
4-2. ホテルレストラン:コストとのバランスがポイント
ホテルレストランは、バリアフリー設備が整っていることが多く、スタッフの接遇レベルも高いので、車椅子利用者の安心感は格別だと言えるでしょう。
メリット
- スロープやエレベーター、多目的トイレなどバリアフリー設備が充実
- スタッフの接遇レベルが高く、配慮や介助を依頼しやすい
- 落ち着いた雰囲気で、ゆったり食事が楽しめる
デメリット
- 料金が比較的高めなので、日常使いには向かない
- フォーマルな雰囲気があり、気軽さに欠けると感じる人も
4-3. ファミリーレストラン:安定したバリアフリー環境が期待できる
全国展開しているファミリーレストランは、車椅子利用者にとって最も無難で利用しやすい存在と言えるでしょう。
メリット
- 段差などが少なく、通路や席が比較的広い
- バリアフリートイレが設置されている店舗もある
- 低コストで気軽に利用できる
デメリット
- 家族連れや学生の利用も多いので、落ち着いた雰囲気を求める場合は適さない
- 混雑時は席の選択肢が限られることがある
バリアフリーに取り組む飲食チェーンは他にもいくつかあります。安心感を優先にお店選びをしたい場合は、そういった店舗を選ぶのも良いでしょう。
参照:バリアフリーに取り組む飲食チェーン店4選!みんなが知ってるあのお店も対応している?|Ayumi
5. バリアフリー飲食店を探せるサイトやサービス

車椅子利用者が外出先でも安心して食事を楽しむには、事前にそのお店のバリアフリー情報を調べておくことが重要です。
近年は、公的機関や民間サービスによって、バリアフリー情報を分かりやすく提供する取り組みも進んでいます。
5-1. バリアフリーな飲食店の掲載情報
バリアフリーに力を入れている自治体は、自治体主導で飲食店がまとまっていることもあります。たとえば、東京都産業労働局が公開しているページ「東京都飲食店 バリアフリーガイド」では、店内の段差の有無や通路幅、バリアフリートイレの設置状況など、実用的な情報がエリアごとに整理されています。自治体主導で信頼性も高いので、こういったページからお店を選ぶのも良いでしょう。
5-2. グルメサイトのバリアフリー検索機能を活用
多くの大手グルメサイトには「車椅子で入店可」や「段差なし」「バリアフリー」**など、車椅子利用者が来店しやすいお店を絞り込める機能があります。エリアやジャンル検索も組み合わせながら、最適なお店を選びましょう。
ただし、注意したいのが**「情報の正確性は低い」**ということ。バリアフリーとの表記があっても、実際には、車椅子利用者が使いづらいお店である事例は少なくありません。
予約する際は事前に問い合わせるなどして、正確な情報を得ておくのがベストです。
5-3. Googleマップを活用
すでに、行きたいお店が決まっているなら、「店名 車椅子」などで検索するのも良いでしょう。また、Googleマップを使えば、マップ上でお店のバリアフリー情報を確認することもできます。詳しい設定方法などは、以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
参照:Googleマップで車椅子対応ルートやバリアフリーなお店が見られる!ベビーカー利用者にも嬉しい機能を紹介 |Ayumi
6.まとめ

新年会をはじめとした食事の場は本来、立場や身体状況に関係なく、誰もが楽しく参加できるものであるべきです。しかしながら、車椅子利用者にとって飲食店にはまだ多くの課題があります。
一方で、バリアフリーに配慮した飲食店は確実に増えてきていることも確か。公的機関の情報やグルメサイトの検索機能を活用すれば、選択肢は大きく広がることでしょう。
幹事や主催者が少し視点を変え、事前準備と配慮を心がけることで、その食事会は車椅子利用者にとって安心できる会になります。誰もが気軽に楽しめる場づくりこそが、これからの新年会や食事会に求められるのではないでしょうか。














