【レンタルアートで障害者の才能を社会へ】一般社団法人みろくゆがふ 澤田代表が創る新たな自立支援とは?

一般社団法人みろくゆがふのロゴ

アートには、障害があっても才能を発揮できる可能性が大いにあります。

それを証明するのが、一般社団法人みろくゆがふの代表・澤田 友紀(さわだ ゆき)さんが始めたレンタルアート事業です。

澤田さんは 、障害のあるアーティストたちの才能を社会に広く知らせることで、彼らの自立支援に繋げようと奮闘しています。その想いを実現すべく、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

本記事では、一般社団法人みろくゆがふと澤田 友紀さんの活動に迫り、彼らが描く未来について探っていきます。

1.一般社団法人みろくゆがふって何?

一般社団法人みろくゆがふは、障害者のアート作品をレンタルするサービスを提供することで、障害者の自立支援や社会参加を促進することを目的として活動しています。

みろくゆがふの由来は、沖縄の民謡グループ「うないぐみ」さんと坂本龍一さんのコラボレーションソング「みろくゆがふ」から来ており、弥勒(みろく)信仰を背景にした唄の世界観に共感し、この名前をつけました。

ロゴには「変幻自在に形を変えて、地球上のすべてのものを繋ぐ」という水のイメージが込められています。

アートを通した障害者の自立支援事業の他にも、地域貢献活動や、障害者のアート作品を紹介する展示会も開催しています。

1-1.障害者のアート作品が持つ魅力とは?

障害者が描いた動物や楽器のアート5枚

【インタビュアー(ライター):福岡/インタビュイー:澤田さん】

福岡:障害者アートは、どのように描かれているのでしょうか?

澤田:多くのアーティストたちは、自分が好きなものや表現したいことをそのまま描いています。中には、絵を描く時にサポートが必要な方たちもいらっしゃるため、施設のサポートスタッフと共に作品を制作することもあります。

社会福祉法人等で生まれるアートには「アートを通じて楽しい時間を過ごし、共同作業やその空間だからこそ生まれるアートである」という、一つの魅力があります。

1-2.アートを通した社会貢献活動

福岡:障害者アートの活動は、どのような社会貢献に繋がると考えていますか?

澤田:私たちは、レンタルアートサービスをご利用いただくことが、企業の社会貢献やCSRの貢献に繋がる一つの選択肢になると考えています。

企業は、自社ビジネスに関連したものを提供するという社会貢献だけでなく、地域社会や障害者の支援にも取り組む等の広い意味での社会貢献を担っています。しかし、社会貢献のアイデアを考えることは、企業の社員や従業員の方達にとっては簡単なことではありません。

そこで、障害者アートを通じて地域の社会福祉を知ってもらえる機会が、アートを飾る以上の意味合いを持つことがあるということに、ご利用者の声から気づきました。

それは、新たな視点を知ることによる社員の視野の広がりや、目の前のお客様に対する想像力や応対の向上等です。

自分たちの知らない世界を知り、想像する幅を広げることが、アイディアや企画のヒントとなり、思考力や行動力につながると思うので、そういったこともお話しさせていただいております。

1-3.レンタルアートの利用方法

福岡:具体的にどのような活動をして、多くの人に障害者アート作品を紹介していますか?

澤田:現時点では、主に企業向けのレンタルアート事業を展開しています。具体的には、月額制のサブスクリプション形式で、毎月企業のオフィス等にアート作品を提供し、飾っていただくというサービスです。

商談会やイベント等の一定期間、アート作品をコーディネートから展示まで一連のサービスとして提供させて頂くこともあります。

レンタルアートの作品は、アーティストや社会福祉法人からご提供いただいたものであり、月額料金の5,500円のうち、1,500円が社会福祉法人を通して作家さんに還元される仕組みです。

企画展の場合は、企業からのオーダーに応じたオリジナルの作品を制作することもあり、月額制の場合は、3ヶ月に1枚のペースで作品を提供させて頂いております。

ご要望があれば、提供する作品の中からお好きなものを選択できる場合もありますが、基本的にはこちらにお任せ頂くスタイルで、偏りが出ないように全体調整をお任せ頂くようにお願いしております。

2.澤田友紀さんってどんな人?

一般社団法人みろくゆがふ代表の澤田さん

澤田さんは、子どもの頃から絵を描くことが好きで、感性や想像力を大切にしていました。しかし、言葉を使ったコミュニケーションは苦手で、社会生活で困難を感じることもあったそうです。

そんな中で、さまざまな分野の友人たちと交流を深めていくと、感覚に頼ったコミュニケーションだけでは自分の想いを伝えきれないことを感じ始めました。

言葉だけではなく、ある意味補足するようなカタチで、、自分自身のアートを通じて表現することも、コミュニケーションの一つであると気づいたのです。

澤田さんは、自分の心が動くものを組み合わせることによって、自分が見たい景色を創造できることがアートの魅力だと語っています。

ここからは、そんな澤田さんのルーツに迫っていきます。

2-1.経歴と実績

【経歴】

  • 新潟県出身。澤田 友紀(さわだ ゆき)
  • 高校2年生の時にアメリカ オハイオ州へ留学
  • 立命館大学経営学部国際マーケティング専攻、卒業
  • 卒業後、造船やプラント関連の商社、シーリングメーカー勤務
  • 2018年NPO活動から社会活動に興味が芽生え、「みろくゆがふ」の代表に
  • 障害者アートから個性ある感性を学び、人と人との関係を結ぶ深める活動を行う
  • 2023/4/18~5/28まで源吉兆庵 銀座本店にて「ボーダーレスアート展」開催

2-2.障害者の感覚や特性を価値に変えたきっかけ

福岡:澤田さんが障害者アートに着目したきっかけについて教えてください。

澤田:いくつかきっかけがありますが、まず彼らのアートを見たときに、非常に斬新で意外性があると感じたんですよね。市場に出ている作品もあるものの、まだ狭い範囲でしか認知・展開されていないので、将来的な可能性を感じたのがきっかけの一つです。

それから、先駆者として一般のアーティスト作品を、レンタルアートとして展開している企業がいることにも着目しました。この事業が伸びていることから、障害者アートを手軽に楽しめるレンタルアートの魅力も発信していきたいなと思いました。

日本の美術館の入場料は海外の美術館に比べて高いことからもわかるように、諸外国に比べるとアートに触れる機会が多いとは言えません。

そこで、レンタルアート事業を通じて、気軽にアートに触れる機会を提供することで、より多くの人がアートに親しめる社会になることを目指しています。

最初に述べたように、障害者のアートは意外性があり、誰にも教えられたわけではない自由さがあります。今までの通例、既存の決まりも問い直すようなパワーも障害者アートの価値だと思いますので、そういった魅力も発信していきたいです。

2-3.レンタルアート事業でアーティストの自立支援を

障害者が描いたアートを展示している様子

福岡:作品がレンタルされることで、アーティストはどのような支援を受けることができるのでしょうか?

澤田:アート作品のレンタルによって、一作品あたりのレンタル料がアーティストに還元される自立支援が一つです。

また、アーティストたちにとっては、自分たちのアート作品を多くの人に見てもらえる機会が創出されるため、社会との接点、自己表現の場をさらに広げる活動支援がもう一つです。

障害の程度によって、生活保護等の福祉制度を受けている人や、社会との繋がりが欲しいけれども一人では困難な人等、さまざまな状況が混在しています。

今後の課題として、レンタルアート事業では、自立支援、または活動支援等、さまざまなご要望にも対応できるように、レンタルアート事業によって得た資金を有効活用出来る仕組みを整え、多様な支援を行えるよう準備を進めていきたいと考えています。

福岡:活動支援によって、アーティストと社会にどんな影響や変化を起こしたいですか?

澤田:アート作品は、その性質上、アーティストたちの内面や感情、つまり個性が作品に色濃く表現されることがあります。アート作品を通じて、障害を持つ方々の感情や想いを身近に感じることができると感じています。

アートという表現方法だからこそ、あらゆる壁を超えて気持ちを共有することも可能だと思っているので、アーティストやご利用者の方々とともに、私たちの目指す社会に向けて前進していきたいです。

また、アーティストにとっては、自分たちのアイディアや感情をありのままにアート作品に形にしていく過程が、彼らにとっての楽しみや自己表現の場になっているのかなと感じています。

その作品がさまざまな場所で展示され、共感や賞賛を受けることで、彼らの自信やアイデンティティの確立に繋がればいいなと思います。

3.みろくゆがふの今後の展望に迫る!

障害者が描いたアートを机に飾っている様子

福岡:今後は、どのような活動をしていきたいですか?

澤田:障害者アートを、今以上にたくさんの方に知ってもらう機会を作りたいなと思います。

法人向けだけではなく、一般家庭にもレンタルアートサービスを利用してもらうべく、仕組み作りを進めているところです。

障害者アートのレンタル事業は、商業的な部分での売上を第一に考えているわけではないのですが、継続的な活動には、アート事業サービスを利用していただく数を増やしていくことは大切です。

そのため、社会福祉法人の方や企業の方だけではなく、多種多様な方々に「顔の見える地域社会への貢献として、障害者アート作品をレンタルすることが出来ます」と知ってもらう機会を増やしていきたいと思います。

4.最後に

インタビューを通して、澤田さんは社会的な視点やアートの力を活かした個々の創造性を重視しているのだなと筆者は感じました。

レンタルアートビジネスを展開することで、アートと社会を繋ぎ、より豊かで魅力的な社会を実現することができる。

そのような未来を想像させてくれるのも「みろくゆがふ」の魅力の一つだと思います。

レンタルアートを利用してみたい方は、公式ホームページからぜひお問い合わせください。

公式ホームページ:https://mirokuyugafu.org/
Instagram:https://www.instagram.com/mirokuyugafu/

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