障害者にとって、外出や観光はハードルが高く、思い通りに楽しめない場面も少なくありません。
そこで注目されているのが「ユニバーサルツーリズム」です。誰でも気軽に旅行を楽しむための取り組みが全国で広がりを見せています。
本記事では、ユニバーサルツーリズムについて、国内外の具体的な事例をわかりやすく解説します。
「観光をもっと安心して楽しみたい」と考えている方に必見の内容です。ぜひ参考にしてください!
1.ユニバーサルツーリズムとは?
1-1. ユニバーサルツーリズムの定義と目的
ユニバーサルツーリズムとは、高齢や障害の有無、年齢・国籍・言語に関係なく、すべての人が安心して楽しめるように設計された旅行を指します。
国土交通省が定めた「観光立国推進基本計画」においても、ユニバーサルツーリズムは「誰もが気兼ねなく参加できる旅行」と位置づけられています。
日本では高齢化が進む中で、増加する高齢者などの旅行需要を喚起するため、ユニバーサルツーリズムが推奨されているのです。
観光庁でも、ユニバーサルツーリズムの推進を地方自治体やNPOなどと協力して進めています。
具体的には、次の3点が満たされているかチェックすると、ユニバーサルツーリズムの水準を把握しやすくなります。
- 情報の透明性
エレベーターの有無、段差やスロープ勾配、トイレや客室の寸法、浴室・動線の写真、貸出備品(シャワーチェア・筆談ボード等)の掲載があるか。 - 人的サポート
館内誘導、移乗・入浴介助、手話・筆談への対応、アレルギーや嚥下配慮食など、個々のニーズに応じた合理的配慮が用意されているか。 - 緊急時の対応
夜間を含む連絡体制、医療機関連携、避難導線・集合場所の案内が明確か。
ちなみにユニバーサルツーリズムとは「ユニバーサルデザイン」と「ツーリズム」を組み合わせた日本語の造語で、海外ではAccessible TourismやTourism for Allと表現されるケースが多く、目的は「行きたい人が行きたいときに行ける環境を整える」です。
1-2.通常の観光とユニバーサルツーリズムの違い
通常の観光とユニバーサルツーリズムとの明確な違いは、すべての人が安心して旅行を楽しめるかどうかです。
通常の旅行では、基本的に障害を持つ方に対する配慮はされておらず、あくまでも健常者目線で考えられているケースが大半です。
一方で、ユニバーサルツーリズムは障害や体力面の制約があっても、安心して旅行を楽しめる配慮がされているという違いがあります。
通常観光とユニバーサルツーリズムの違いについては、一例として、次の3つのポイントを確認してみてください。
- 予約時
電話・メール・チャット・店舗相談・手話付きのリモート対応などがあるか。 - 移動時
バリアフリー化されているか。またはエレベーターの有無・ドアの幅・浴室の写真などの情報を発信しているか。 - 宿泊
ユニバーサルルームが設置されているか。
利用する施設や移動手段など、だれでも快適に旅行を楽しめる配慮をされているかどうかが重要な選定ポイントとなります。
1-3. ユニバーサルツーリズムが日本で重要な理由
日本でユニバーサルツーリズムが重要とされている背景には、大きく2つ理由があります。1つ目は後期高齢者の増加により、経済的に余裕がある層の国内旅行の需要増加が見込まれるためです。
日本は2025年に、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、総人口に占める65歳以上人口の割合となる高齢化率が30%を超える見込みです。
いわば、市場としては大きなパイがある状況であるため、ユニバーサルツーリズムの推進により旅行の不安を取り除くことで、時間と経済的に余裕があり旅行意欲が高い高齢者を集客して経済を活性化したいという思惑があるのです。
2つ目は、インバウンド需要の増加です。訪日観光客に安心して旅行できる体験を提供すれば、満足度向上やリピーター獲得につながるためです。満足度向上の対応としてユニバーサルツーリズムが推進されている側面もあります。
海外の主要な観光地ではバリアフリーは当たり前となっており、特別な配慮が無くても旅行を楽しめるケースが多数です。
一方で、日本はバリアフリー対応しているか事前リサーチしないと、旅行のプランを立てられません。
以上から、日本はユニバーサルツーリズムを推進し、誰でも気軽に旅行できる環境整備が求められているのです。
日本では、2021年5月に可決された「改正障害者差別解消法」で、障害者の合理的配慮の提供が民間事業者に義務づけられました。
国や自治体レベルのみならず、民間事業者に対しても合理的配慮に関する考え方の周知や具体的な対応が重要となっているため、ユニバーサルツーリズムがよりいっそう注目されています。
合理的配慮については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参照:【2024年4月から義務化】合理的配慮とは?具体例を交えて分かりやすく解説!
2.ユニバーサルツーリズムの具体例と実践例

2-1.ユニバーサルツーリズムを導入している国内の観光地
ユニバーサルツーリズムの導入は、日本の各観光地でも進んでいます。
ここでは、観光地におけるユニバーサルツーリズムの導入事例を紹介します。
2-1-1.奄美大島(鹿児島県)
鹿児島県では、情報誌「ユニバーサルツーリズム観光地情報(指宿・奄美地区)」を作成し、同時に「介助者マニュアル」を提供しています。
さらに、情報誌「鹿児島県ユニバーサルツーリズム」を作成し、各エリアの観光情報を紹介しています。
より自然を感じられる動画で「YouTube鹿児島県公式チャンネル」で車椅子や小さいこども連れでも楽しめる、奄美大島の旅が紹介されているため、ぜひご覧ください。
あやまる岬観光公園では、車椅子のままサンゴ礁の海を一望できるスポットまで行けます。
また、奄美の自然や文化を学べる奄美パークは、館内がバリアフリー対応しており、ゆっくりと時間をかけて観光を楽しめます。
鹿児島県観光サイト「かごしまの旅」では、1泊2日で奄美大島を観光できるユニバーサルツーリズムモデルコースの情報を提供しています。
参照:ユニバーサルツーリズムモデルコース 4)奄美大島コース|かごしまの旅
2-1-2.三重県
ユニバーサルツーリズム先進都市として知られている三重県では、2013年6月に開催された「第3回バリアフリー観光全国フォーラム 伊勢大会」において、鈴木英敬知事(当時)が「日本一のバリアフリー観光県推進宣言」を表明しました。
2015年には三重県バリアフリー観光ガイド「みえバリ」を発行する取り組みを行うなど、積極的な姿勢を示しています。
さらに、NPO法人 伊勢志摩バリアフリーツアーセンターでは、「行けるところ」より「行きたいところへ」をコンセプトとして、バリアフリーに対応した宿泊施設や観光施設の案内や、旅行アドバイスをしています。
具体的なサービスとして次のようなものがあります。
- 車椅子やシャワーチェアなどのレンタル
- 伊勢おもてなしヘルパーによる伊勢神宮参拝の有償サポート
- 福祉タクシーや入浴ヘルパー・旅行ヘルパーの紹介
- バリアフリー対応のモデルコースやアクティビティ情報の提供
- 視覚障害 がい者向けのサポートや点字シールの印字サービス
さまざまなサービスでユニバーサルツーリズム先進都市としての役割を果たしているのです。
2023年11月から12月にかけて、1泊2日で伊勢神宮を含めた伊勢志摩の観光スポットを楽しめる伊勢志摩モデルツアーが開催され、好評を博しました。
2-1-3.天童市(山形県)
山形県天童市にある天童温泉において、2021年に株式会社DMC天童温泉が中心となった地域一体ユニバーサルデザイン化がスタートしました。
地域の参加事業者と一緒に、障害の有無に関係なく国内外の誰もが気兼ねなく温泉旅行を楽しめる観光地を目指しているのです。
そのため、ソフト面での取り組みも画期的です。
- 地域の介護事業者と連携し、安心して温泉に入れる仕組みの構築や人材の育成
- 天童温泉のスタッフを対象としたケアサービス研修の開催
- 天童温泉入浴介助サービスの申し込みページの提供
さらに、各ホテルや旅館で続々とユニバーサルデザインの部屋や入浴施設が誕生し、誰でも利用しやすいように工夫されています。
ハード、ソフトの両面からユニバーサルツーリズムの取り組みを盛り上げているのです。
2-1-4.長野市(長野県)
長野県長野市にある戸隠では、戸隠観光協会が中心となってデュアルスキーを導入したことが話題となりました。
戸隠と言えば、戸隠そばが有名な観光地であり、夏の山岳観光が人気を博しています。
冬場は気温がマイナス15℃近くまで気温が下がり、パウダースノーを楽しめることから、ウィンタースポーツが盛んで多くの愛好家が訪れています。
戸隠では、2020年にデュアルスキーを導入し、専用機材の操縦に必要となる資格を保有しているパイロットと一緒に滑走できると好評です。
デュアルスキーには利用制限が設けられていないため、障害を持つ人でも楽しめるアクティビティです。機材には安全ベルトやサスペンションが付いており、安全性が高く体への負担が軽減されるようになっています。リフトの乗降も機材に乗ったまま可能です。
現在、信州大学開発のプログラムを修了した「インクルーシブ野外活動上級指導員」が戸隠スキー場に在籍し、個人の状態に合わせた体験や学習をサポートしています
さらに、戸隠では夏場の山岳観光でアウトドア用の車椅子を導入しました。
自身で運転するタイプと介助者が押すタイプがあり、いずれもタイヤが太いため悪路でも操縦しやすくクッション性が高いと好評を博しています。
参照:ユニバーサルなアクティビティ体験『デュアルスキー』。観光のさらなる可能性を求めて。|長野県公式観光サイト
2-1-5.箱根町(神奈川県)
箱根と言えば、都心からのアクセスが良く、豊かな自然や豊富な温泉が存在する魅力的なスポットです。
その箱根で車椅子で巡ることができるスポットを紹介しているのが、箱根DMO(一般財団法人箱根町観光協会)です。
箱根DMOでは、「車いすで巡る箱根観光MAP」を提供しており、観光プランを含めた紹介を行っています。
登山電車を利用するプランや、自家用車を利用するプランなど状態に応じて自分に合ったプランを見つけやすいのが特徴です。
箱根DMOが提供されている情報には、当事者からのアドバイスが強く反映されており、より分かりやすくなっています。
車椅子で巡る箱根観光MAPは1万部制作・配布されたことが話題となり、さらに利用者のSNS投稿に対してさまざまな反響が生まれました。
2024年10月から「はこねOnsen‐Helper」と呼ばれる新たなサービスを開始し、温泉地の入浴介助を行うサービスなど、箱根エリアでは、よりユニバーサルツーリズムに対応したサービスも登場しています。
さらに、「ピンクリボンの宿 in 箱根」も展開中です。
乳がん患者の方など、湯浴み着を利用したい方が安心して温泉を楽しめるよう、湯浴み着のレンタルや使用が可能な宿泊施設を「ピンクリボンの宿」として登録・紹介しています。
バリアフリー観光セミナー2025など、観光事業者向けの研修会やセミナーを実施し、おもてなしの心の向上とユニバーサルツーリズムへの理解促進を図っています。
参照:箱根ユニバーサルツーリズム|箱根DMO(一般財団法人箱根町観光協会)
2-2.国と地域、自治体のユニバーサルツーリズムの取り組みを紹介
日本国では、国土交通省が中心となりユニバーサルツーリズムの推進を進めています。観光立国推進基本法に基づき、2012年3月30日に閣議決定された「観光立国推進基本計画」に従い、持続可能な観光地域づくり・インバウンド回復・国内交流拡大といった戦略を柱に据えています。
特に強く推進しているのが「観光施設における心のバリアフリー認定制度」です。認定基準を満たした観光施設を登録・情報発信し、より多くの施設が高齢者や障害者にとって安全・快適に利用できる環境を整備することを目指しています。
2025年4月には制度が拡充され、優れた取り組みを行う施設を重点的に紹介する仕組みも整えられました。
加えて、観光庁では旅行業者向けにモデルツアー事例集を作成し、商品造成手法や配慮すべきポイントを提供するなど、現場で活用できるガイドライン整備も進めています。
2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化され、ハード(施設整備)とソフト(情報提供・人材育成)の両面で環境改善が求められるようになりました。
2025年度予算でも前年度比1.2倍の627億円が計上され、ユニバーサルツーリズム関連事業の強化が図られています。
自治体の取り組みでは、兵庫県が先進事例として注目されています。全国初となる「ユニバーサルツーリズム推進条例」を施行し、ユニバーサルツーリズムUTを「誰もが行きたくなる観光地」の基盤と位置付けています。
地域資源を活かした高齢者・障害者向けツアーを実施し、観光案内所や宿泊施設ではNPOや旅行業者と連携したバリアフリー情報の提供を強化。ガイドブック発行などを通じて、旅行者の不安解消と地域経済の活性化につなげています。
また、東京都では国際都市としての特性を活かし、研究機関や大学と連携して「アクセシブルツーリズム」の研究を進めています。ISO21902(国際バリアフリー基準)を参照し、多言語対応や物理的アクセシビリティの改善策を検討中です。
観光施設・宿泊施設への導入を進めることで、訪日外国人を含む誰もが安心して観光できる国際水準の環境整備を目指しています。
心のバリアフリーについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
参照:心のバリアフリーとは? 事例を交えてわかりやすく紹介!
2-3.企業のユニバーサルツーリズムの取り組みを紹介
国レベルではなく、企業レベルでもユニバーサルツーリズムに対する取り組みを行っています。
総合旅行会社として有名なHISでは、2002年にユニバーサル・ツーリズムデスクを設置しました。
ユニバーサル・ツーリズムデスクでは、介護や福祉関連の専門知識を持ち合わせたスタッフや、手話対応できるスタッフが旅行の相談や手配などを担当しているのが特徴です。
また、車椅子や杖が必要な人に向けて、添乗員付きの団体ツアーである「バリアフリーたびのわ」などのツアーを提供しています。
近畿日本ツーリストでは、医療機器や用具メーカーとの連携によって、独自性の強いユニバーサルツーリズムへの取り組みを行っています。
ストーマ装具メーカーであるアルケア株式会社との連携によって実施したオストメイトツアーでは、ストーマ装具工場見学や温泉入浴体験会を日帰りで実施しました。
意見交換によってストーマ装具メーカーに対して直接要望を伝える体験や、参加者専用の着替えスペースが確保された温泉施設で、周りの目を気にせず楽しめたとの声が多数寄せられ、好評を博しました。
参照:近畿日本ツーリストが実践するユニバーサルツーリズム推進活動の取り組み|近畿日本ツーリスト
JTBもユニバーサルツーリズムの推進に積極的に取り組んでいます。
旅行中のサービスとして、人力車観光や貸切観光タクシー、介護タクシー(車椅子対応車両・有資格ドライバーによる対応)を提供しており、移動に不安を抱える方でも安心して観光を楽しめる仕組みを整えています。
また、介護技術と旅行知識を持つトラベルヘルパーが同行し、移動や入浴介助をサポートするサービスや、ハワイ・グアムでの透析治療手配サービスなど、医療面を考えた支援も特徴です。
さらに、「山梨県の富士レークホテル」や「神奈川県のはつはな」、「東京都の京王プラザホテル新宿」といったバリアフリー対応宿泊施設の紹介もしており、旅行者が安心して宿泊先を選べるよう配慮されています。
相談方法もさまざまで、全国の店舗での対面相談(聴覚障害者向けコミュニケーションツールあり)、オンラインでの手話通訳付き相談、電話や24時間対応のインターネット予約など、利用者に合わせた申し込み窓口を用意しています。
ほかにも、東京での観光情報や交通、宿泊などの手配サービスを提供している東京シティアイでは、観光情報センターでのユニバーサルツーリズムへの取り組みを行っています。
東京オリンピックを契機として、東京都のバリアフリー専門家派遣事業を活用しアドバイザーに施設のチェックを受け、バリアフリー化を推進しました。
さらに、コンシェルジュスタッフのほぼ半数が手話が可能であり、手話による対応が評価されて、観光庁の観光施設における心のバリアフリー認定制度への認定と東京都の心のバリアフリーサポート企業に認定されました。
2-4.海外における先進的なユニバーサルツーリズムの取り組み
海外では、ユニバーサルツーリズムではなくアクセシブル・ツーリズムと呼ばれています。
アクセシブル・ツーリズムを推進する組織として、以下が存在します。
- アクセシブルツーリズム欧州ネットワーク(ENAT 【European Network for Accessible Tourism】)
- アクセス・ザ・グローブ(access the globe)
- トラベル・フォー・オール(TRAVELL FOR ALL)
- デスティネーション・エブリウェア(Destination Everywhere)
特に、ENATはアクセシブル・ツーリズムへの取り組みを実践している観光関連事業に対して、認証を与えるなどの取り組みを行っていることで有名です。
企業単位でもアクセシブル・ツーリズムに対する取り組みが見られ、北欧を中心に展開しているスカンディック・ホテルでは、全てのホテルで101のアクセシビリティの共通基準を設定しています。
また、障害者に対するサービスについて、ホテルスタッフへの研修を実施しています。
さらに、スカンディック・ホテルのWebサイトでは、全てのアクセシビリティに関する情報を公開しており、利便性が高い点が魅力的です。
スカンディック・ホテルのような取り組みが日本でも広がって行くことで、もっとユニバーサルツーリズムが浸透するでしょう。
ただ、具体的にどのように取り組めばいいのかわからないという声もあるかと思います。
そんなときは下記の記事がおすすめです。
参照:ユニバーサルツーリズムで誰もが旅を楽しめる社会へ!ホテルに求められる具体的な対策
参照:ユニバーサルツーリズムで誰もが旅を楽しめる社会へ!ホテルに求められる具体的な対策
3.ユニバーサルツーリズムに対応した旅行会社の選び方
ユニバーサルツーリズムを実践するためには、個人でプランニングする方法以外にも旅行会社を利用する方法があります。
旅行会社を利用する場合、以下の観点でどの旅行会社を選ぶかが重要です。
- 付き添い(サポート)の充実度
- プランの充実度
- 料金
1つ目、付き添い(サポート)の充実度について解説します。
通常の旅行では、添乗員が各種サポートを行うのが一般的ですがユニバーサルツーリズムの場合は、付き添うサポートスタッフがいるか、チェックして選びましょう。
介護福祉士や看護師など有資格者が在籍している旅行会社の方が、安心してユニバーサルツーリズムを楽しめます。
2つ目、プランの充実度も、旅行会社を選ぶ際に重視したいポイントです。
自分が抱える障害に対応している旅行プランがあると、より自分に合った旅行を楽しめます。
旅行会社によっては完全オーダーメイドで旅行プランを立てられるプランが用意されていることもあるため、時間に追われることなくじっくりと観光したい場合は、クラブツーリズムが提供しているゆったり旅のようにニーズを満たしてくれる旅行会社を選ぶのが良いでしょう。
旅行支援サービスについては、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
参照:障害者が旅行を諦めなくていい!関東の観光人気エリアも対応している旅行支援サービス
最後に3つ目、料金も重要なポイントです。
国土交通省が実施したアンケートでは、ユニバーサルツーリズムが増加しない理由の1つとして費用の高さが挙げられており、それに対応した旅行も、どうしても費用が高くなりがちです。
そこで、なるべく安く旅行できるプランが用意されているかどうかもチェックしてください。
特に、オプションを利用する際にはどの程度の費用がかかるのかを、他社と比較しながら確認しましょう。
4.ユニバーサルツーリズムの課題と克服への道筋

ユニバーサルツーリズムが普及する中で、以下の課題が表面化しています。
- バリアフリー対応した施設がまだ少ない
- ユニバーサルツーリズムを実践するための情報が少ない
- 対応スキルが不足している
1つ目は、バリアフリー対応した施設がまだ少ないため、ユニバーサルツーリズムがプランニングしにくいという課題です。
単純にバリアフリー化を推進するだけでなく、対応が難しい場合はエレベーターの有無や部屋や浴室の写真などの情報を積極的に公開するだけでも、ユニバーサルツーリズムを楽しむための利用者側にとっては有益な情報となるのです。
Ayumiでは、「Barrier-Free Partner」と呼ばれる店舗・施設のバリアフリー化・障害者受け入れ体制を作り他社との差別化を実現していく伴走支援サービスを提供しています。
これは、物理的バリアフリーや障害者への接客に関する調査や審査・認証を、障害者とともに行い、店舗のバリアフリー対策を中心とした認知向上及びリスク回避を総合支援するサービスです。
バリアフリー対応の妥当性を証明できるだけでなく、バリアフリー化における課題を発見して店舗の予算に合った最適な改善策を提案している特徴があります。
2つ目に、ユニバーサルツーリズムに対する課題として、情報が不足しているという点が挙げられます。
自分でプランを組んで旅行したくても、バリアフリーに関する情報が不足している場合が多いのです。
そこで、ユニバーサルツーリズムを楽しむための情報提供が、各施設や観光スポットに対しても求められます。
Ayumiが運営しているバリアフリー情報サイト「ふらっと。」では、全国版及び都道府県ごとにバリアフリーに関する情報サイトを紹介しています。
また、新幹線や飛行機の利用方法などに関する情報も提供しているので、以下の記事もぜひ参考にしてください。
参照:【新幹線で車椅子旅行】車椅子席や多目的室の予約方法を体験談を交えて詳しく解説!
参照:【車椅子での飛行機の搭乗手続きや航空券の予約方法を解説!受けられるサポートもご紹介
3つ目に、対応スキルが不足しているケースも見逃せません。
特に、合理的配慮に対して正しく理解したうえで、具体的にどのような行動を取れば良いのか悩んでいる組織が多いでしょう。
Ayumiでは、合理的配慮ワークショップの研修を提供しています。
バリアフリー対策だけでなく、障害者に対する接客まで含めた、合理的配慮の提供に関するアドバイスを実施しているので、気になる方はぜひお問い合わせください。
なお、合理的配慮以外にも、「物理的なバリアフリー対策の実施・ソフト面の接客力向上・障害者へのPR力をあげていきたい」「リスクマネジメントの強化をしていきたい」「インナーブランディングも意識して実践していきたい」と考えている方は無料相談45分を受け付けています。

5.まとめ
ユニバーサルツーリズムは、障害の有無に関係なく誰でも旅行を楽しむために欠かせない考え方です。
国内外でも、ユニバーサルツーリズムを推進するためのさまざまな取り組みがされています。
とはいえ日本では、海外に比べまだまだユニバーサルツーリズムを楽しむための環境が整っていないのが実情です。
今後さらに高齢化が進む日本にとって、ユニバーサルツーリズムの整備は待ったなしの課題です。自治体・事業者だけでなく、旅行者自身も正確な情報を選び、声を届けていくことが環境改善につながります。
ユニバーサルツーリズムの普及によって、こどもや高齢者、障害者、すべての人が安心できる観光立国日本を目指していきましょう。














