現役車椅子大学生 加藤みのりさんが目指す、誰もが安心して外出できるバリアフリーな社会とは

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「私は理想の障害者になろうとしていました」

現役大学生の加藤みのりさんは、そう言います。

加藤さんは、骨が折れやすい難病の骨形成不全症を患っており、自宅での生活のほとんどに介助を必要としています。

障害があることにより、周囲に挑戦する機会を奪われ続けたことで、自分の気持ちを押し殺すようになったそうです。

そんな加藤さんが変わるきっかけとなったのは一つの挑戦でした。

障害を理由に挑戦を悩んでいる方へ届けたい記事となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.加藤みのりさんってどんな人?

1-1.特別支援学級で感じた同級生との壁

【インタビュアー(ライター):赤石/インタビュイー:加藤さん

赤石:幼少期はどんな性格でしたか?

加藤さん:超負けず嫌いで、我が道を行く性格だったと思います。

小学2年生までは、運動会の応援団長に率先して手を挙げたり、同級生にも負けたくない気持ちで張り合ったりもしていました。

赤石:小学2年生までというと?

加藤さん:小学3年生から周りに勧められて特別支援学級に変わったんです

私が通った小学校は1学年が1クラスしかなく、私だけ別のクラスになったことで、帰属意識から外れた対象と見られるようになりました。

もちろん直ぐに性格が変わったわけではありません。

班長など、前に出る役割に手を挙げるも「加藤さんには難しいからね……」と同級生や先生に言われ続けるうちに壁を感じて、段々と静かに過ごすようになりました。

赤石:特別支援学校に転校する選択肢はなかったのですか?

加藤さん:私も中学生になるときに、普通学級か特別支援学校に行きたいと伝えたんです。

しかし両親の気持ちとしては、特別支援学校に行くと社会から切り離される不安と、活発な普通学級だと骨折の不安があり、中学生になっても特別支援学級に在籍していました。

1-2.在宅でアルバイトに挑戦

赤石:高校は普通学級ですよね?特別支援学級から普通学級に移る不安はなかったのですか?

加藤さん:全然、むしろ逆です。本当に嬉しかったですね。

少し離れた高校だったので、新しく友達を作ったり、中学校では止められた生徒会副会長や部活動、アルバイトにも挑戦し、1から再スタートを切った感じです。

赤石:障害があるとアルバイトを諦めてしまう方も多いと思うのですが、なぜアルバイトに挑戦したのですか?

加藤さん:みんなと同じようにお金を稼ぎたかったからです。

高校1年生の時に、売上管理表などもインターネットで調べて、フリマサイトでネイルチップの販売を始めました。

その経験から、調べて行動すれば在宅でもお金を稼げると自信が持てるようになったんです。

アルバイトも、自分ができそうな仕事をたくさん調べて、クラウドソーシングを利用しながら仕事をしていました。

赤石:それほどまでに行動できるようになったのは、何が大きいですか?

加藤さん:やはり周りの環境だと思います

これまでは邪魔者扱いされていると感じることが多かったですが、高校からは友達に迷惑をかけることはあっても、嫌な顔をせず手伝ってくれたので、少しずつ元の自分を取り戻せたのだと思います。

1-3.行動したことで自分を取り戻せた

赤石:現在大学3年生ですが、これまでの人生においてターニングポイントとなったのはいつでしょうか?

加藤さん:大学2年生の時にボランティア団体に参加したことが、私のターニングポイントだと思います。

入学直後はコロナ禍ということもあり、講義だけ受けに行き、家に帰るとスマホを眺めるような生活を送っていました。

そんな毎日がすごく不安になっていたとき、友達に誘われたことがきっかけで、ボランティア団体に参加することになりました。

そこで情報誌を作成するプロジェクトがあり、現地に赴いて私が取材をすることになったんです。

初めて、家族以外の車でみんなと一緒に色んなところを回って、段差があれば車椅子を持ち上げてくれるなど、メンバーとの日々を過ごす中で、人の優しさを素直に感じられるようになりました。

これまでは常に完璧を目指していましたが、行き当たりばったりでも行動すれば変わることに気づき、考え方が180度変わるきっかけになりました。

ボランティア団体に所属したからこそ、本来の私を取り戻すことができたのだと思います。

2.ユニバーサルシート調査隊「ゆにぃんくる」って?

赤石:ユニバーサルシートの普及活動をするきっかけについて教えてください。

加藤さん:重度心身障害児のお母さんとお話しさせていただいた時に、ユニバーサルシートを設置している多目的トイレを探すことに苦労し、外出のハードルが高いと聞いたことがきっかけです。

私自身、自分でトイレに行くことが難しく、1人では外出ができない苦しみをたくさん感じてきました。

同じ悩みを抱える人を知り、私がやらなきゃと思い、ユニバーサルシート調査隊「ゆにぃんくる」を立ち上げました。

赤石:どのような活動をされる予定ですか?

加藤さん:まずはGoogleマップを利用して、私が住む岐阜県を中心にユニバーサルシートがある場所やトイレの写真などをまとめて、今あるユニバーサルシートを活用してもらえるよう動いていきます。

一緒に調査をしてくれるメンバーも募集しており、継続的に活動ができるよう今年7月には補助金獲得のためのプレゼンテーションも行いました。

将来的には、私たちの活動が必要ないような、当たり前にユニバーサルシートが設置してあり、トイレを探すことのない社会を目指して活動しています。


ゆにぃんくる公式HP:https://yunincl.com/

3.障害の枠を超え挑戦する加藤みのりさんが目指す未来とは

赤石:加藤さんの夢は何ですか?

加藤さん:誰もが安心して外出ができるような社会です。

障害者は全員が努力家でもなければ、聖人でもないと思っています。みんな同じ人間なんです。

だから、苦手なことは得意な人が助けて、障害の有無に限らずお互いが協力し合える、共生社会を目指しています。

物理的なバリアフリーも目指すとともに心のバリアフリーも届けられるような社会を創れたら嬉しいですね。

赤石:挑戦の原動力となっているものはありますか?

加藤さん:たくさんの人からの応援の声が私の原動力です。

Instagramでバリアフリーな飲食店の発信も行っているのですが、DMで応援のコメントをいただいたり、同じ障害を持つ当事者の方から参考になったと言われることもあり、その度に私が勇気付けられています。

加えて、Ayumiさんのように似た想いを持って活動される姿を見ると、私も行動することでより良い社会に貢献できると思い、ワクワクするんです。

周囲の繋がりと、自分が心から楽しんでいることが、活動につながっているのだと思います。

4.暗い過去があるからこそ届けたい言葉

赤石:一歩踏み出すことに悩んでいる方へ向けてメッセージをお願いします。

加藤さん:挑戦を必ずする必要はありません。

「挑戦」ではなくても、幸せなこと、楽しいことがあるなら、素敵です。

でも、少しでも挑戦したいという気持ちがどこかにあるなら、挑戦してほしいです。

私も大学に入ったばかりは挑戦できない日々を過ごしていました。友達がボランティア団体に誘ってくれなければ今の私はありません。

だから誰かの力を借りて挑戦するのも一つの方法だと思います。まずは自分らしい方法で挑戦してほしいと思います。

私は挑戦しなかった、できなかったことを今でも後悔しています。

挑戦したことは決して無駄になりません。もし挑戦が失敗に終わっても、その経験は次の挑戦に必ず活かすことができます。

毎日がむしゃらに動き続けて大変なことももちろんありますが、最後には毎回楽しかったと思うんです。自分自身が楽しんでいることで、同じ志を持った仲間が集まり、人生がより一層明るくなるはずです。

不安症で理想の障害者を演じていた私が、挑戦したらこんなに変われたのだから。

5.最後に

筆者も、障害を理由に諦めてしまうことがありました。加藤さんは決して障害を理由にせず、自分ができる最大限の活動を日々送られています。

それは、負けず嫌いな性格に加えて、思いやりの気持ちが強いからだと感じました。心のバリアフリーを体現する加藤さんのこれからを読者の皆さんとともに注目したいと思います。

加藤さんと同じ骨形成不全症の吉次まりさんにもインタビューさせていただきました。興味がある方はぜひこちらの記事をご覧ください。

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