旅行/観光 車椅子で旅行を楽しむために知っておきたいこと|移動時の注意点や予約方法など徹底解説

車椅子で旅行を楽しむために知っておきたいこと|移動時の注意点や予約方法など徹底解説

車椅子で旅行を楽しむ

車椅子での旅行は、ハードルが高いと諦めてはいませんか?事前の情報収集や準備をしておけば、車椅子でも快適なバリアフリー旅行が実現できます。

この記事では、

  • 移動手段がわからない
  • 乗り方がわからない
  • 予約の取り方がわからない
  • 宿の探し方がわからない

など様々な理由で、旅行や遠出を諦めている又は諦めかけている人達に向けて、車椅子でのバリアフリー旅行に役立つ情報を解説していきます。計画の立て方から移動手段、利用できるサポートサービスまで、あなたの車椅子旅を快適にする情報が詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.車椅子旅行の計画の立て方

手帳を広げて計画を立ている人

1-1.宿泊先を決める

車椅子旅行で宿泊先を決める際には、以下のチェック項目を基準にホテル選びをしてみましょう。

チェックしたい項目チェックポイント備考
バリアフリー設備車椅子が通れる幅のエントランスや廊下があるか(最低90cm、理想は120cm以上)スロープの勾配は安全か(1/12の勾配以下が理想)エレベーターがある場合、内部が140cm×110cm以上か実際の幅や勾配を事前に写真や問い合わせで確認
客室車椅子で移動できるスペースが十分あるか(回転スペースとして150cmの円形が確保できるのが理想)ベッドの高さが40~50cmで、移乗しやすい構造か室内で車椅子が自由に動ける経路が確保されているか予約時に車椅子対応の部屋の設備を確認
バスルーム車椅子対応バスルームがあるかシャワーチェア、手すりなどの設備があるか床が滑りにくい素材で作られているか動線や設備の配置も写真で確認
トイレスペース車椅子がトイレにスムーズに入れる幅(90cm以上)が確保されているか手すりが適切な位置に設置されているか(壁から30~35cm、床から70~75cm)トイレの前方または横に十分なスペース(最低90cm×120cm以上)があるか実際のトイレ配置や手すり位置を確認
食事レストランや食事会場に段差がないか車椅子が入れる座席の配置がされているか部屋食やアレルギー対応、食事内容への柔軟な対応が可能か必要に応じて食事会場の混雑具合も確認
施設内移動館内の主要ルートに段差がないか(段差がある場合はスロープが設置されているか)自動ドアや広い回転スペースのあるエレベーターがあるか通路や廊下の幅が90cm以上確保されているか館内マップの確認やスタッフへの事前相談
アクセス最寄り駅やバス停から宿泊施設までバリアフリー対応のルートがあるか車椅子で利用可能なタクシーや送迎車の手配が可能か駐車場から宿泊施設まで段差なしでアクセスできるか公共交通機関のアクセス状況や乗車設備も確認
スタッフの対応車椅子利用者に慣れたスタッフがいるか事前連絡時に設備や対応についての正確な情報を提供してくれるか緊急時(設備の故障や体調不良)のサポート体制が整っているか口コミやレビューで対応力の確認が可能
周辺環境宿泊施設周辺の観光地や施設にバリアフリー対応がされているか周辺道路や歩道の幅が広く、段差が少ないか公園や散策路が車椅子で快適に利用できる仕様になっているか宿泊施設近隣のバリアフリーマップを確認
その他電動車椅子の充電に対応しているか補助器具や医療機器の持ち込みに制限がないか宿泊者レビューに車椅子利用者のコメントがあり、実際の使い勝手が確認できるか充電対応や特別な器具利用の場合は事前相談

参照:車いすの幅はどれくらい?通るのに必要な道幅についても解説!|シティーリフト株式会社
参照:2.9 客室|国土交通省


1-2.行き先の予約をとる

宿泊先の予約をとる際は、公式サイトよりも大手予約サイトを利用するのがおすすめです。理由としては、大手予約サイトの独自のキャンペーンや割引でお得に宿泊できるからです。また、ポイントも貯まりやすく、次回別の宿を予約する時もポイントを利用することでお得に泊まれるというメリットがあります。

おすすめの大手予約サイトは、以下の5つです。

  • じゃらん
  • 楽天トラベル
  • Yahoo!トラベル
  • agoda
  • ユニップ

キーワード検索で「バリアフリー」や「ユニバーサル」を入力して検索するのがおすすめです。ユニップは、バリアフリー・ユニバーサルルームがある宿を専門に3,000軒以上掲載しています。一方で、公式サイトから予約すると料金面では劣るかもしれませんが、大手予約サイトにはない独自のプランや割引を実施している場合もあるでしょう。

大手予約サイトと公式サイトのプランや料金を比較しながら、慎重に検討するのがおすすめです。

予約の際には、宿泊先に車椅子ユーザーであることを伝えて事前に必要なサポートを依頼しておくと安心です。

1-3.行き先に到着するまでのコースを決める

宿泊先が決まったら、次は到着するまでのコースを決めます。

移動手段は、おもに以下の4つです。

  • 新幹線
  • 飛行機
  • 電車

公共交通機関を利用する場合は、事前に予約やチケットを購入しておく必要があります。また、車であっても自家用車以外のレンタカーやタクシーの場合も事前予約が必要です。

詳しい予約方法は「2.公共交通機関や移動サポートサービスを使う上での予約方法や注意点」で紹介しています。

1-4.周辺の観光地を調べて観光プランを立てる

周辺の観光地のバリアフリー情報を調べて、観光のプランを立ててみましょう。観光地のバリアフリー情報は公式サイトで調べられるほか、全国のバリアフリー情報をまとめたサイトなどでも確認できます。

参照:バリアフリー情報サイトまとめ-全国版


観光地までの移動手段や所要時間を検討しながら、効率よく回れるプランを計画するのがおすすめです。

また、観光地では障害者専用駐車場や多目的トイレなどがあるかどうかも、チェックしておきましょう。

2.公共交通機関や移動サポートサービスの予約方法や注意点

多数の切符を持った手

2-1.車椅子旅行で新幹線を利用する場合

車椅子で新幹線を利用する場合は、まず指定席の予約を行います。予約方法は、みどりの窓口・電話・WEBの3つで、いずれも乗車日の1ヵ月前(午前10時)から2日前まで予約が可能です。車椅子席は数に限りがあるので、早めに予約しておきましょう。

乗降駅でサポートが必要な場合は、以下の3つの予約方法があります。

  • みどりの窓口で直接申し込む
  • 電話での予約
  • WEB予約

みどりの窓口で直接申し込む場合は、乗車駅でサポートの予約をします。電話での予約の場合はJR各社のサポートダイヤルに問い合わせての予約が可能です。

  • JR東日本:050-2016-1600
  • JR西日本:0570-00-8989
  • JR九州:0570-07-8787

WEB予約の場合は、以下のサイトから切符の申し込みとサポートが予約できます。

参照:車いす対応座席WEBお申し込み|北海道旅客鉄道株式会社
参照:新幹線車いす対応座席WEB申込み|東日本旅客鉄道株式会社
参照:車いす対応座席受付フォームの利用について|東海旅客鉄道株式会社
参照:車いす対応座席のご案内について|西日本旅客鉄道株式会社
参照:車いす対応座席WEB申込みページ|四国旅客鉄道株式会社
参照:九州新幹線 車いす対応座席WEB申込のご利用案内|九州旅客鉄道株式会社


切符の受け取りでは、障害者手帳の提示を求められるので、忘れずに持参するようにしましょう。その他新幹線についての詳しい乗降方法については、以下の体験記事が参考になりますのでご覧ください。

参照:【新幹線で車椅子旅行】車椅子席や多目的室の予約方法を体験談を交えて詳しく解説!


2-2.車椅子旅行で飛行機を利用する場合

空を飛んでいる飛行機

車椅子で飛行機を利用する場合のサポートは、航空会社によって異なります。まずは、チケットの購入時に車椅子ユーザーであることを伝え、受けられるサポートについて相談しましょう。

また、出発当日にサポートが必要な場合は、予約した航空会社のカウンターでチェックイン時に伝えます。基本的に、普段使っている車椅子は預けて、専用の車椅子に乗り換えての搭乗となります。

注意点としては、時間に余裕をもって行動することです。空港は規模にもよりますが、広く、移動にも時間がかかるので、早めに手続きを済ませておくようにしましょう。また、車椅子以外に医療機器や酸素ボンベを利用している方は、医師の診断書が必要な場合があるので、航空会社に事前に問い合わせておくのがベストです。

車椅子での飛行機の乗り方についてより詳しい情報を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

参照:車椅子での飛行機の搭乗手続きや航空券の予約方法を解説!受けられるサポートもご紹介


2-3.車椅子旅行で電車を利用する場合

車椅子で電車を利用する場合は、乗降駅のバリアフリー情報の確認と、駅係員にサポートを依頼するのがポイントです。

駅のバリアフリー情報については、以下の設備について確認します。

  • スロープ
  • エレベーター
  • 車椅子用階段昇降機・リフト
  • 車椅子対応トイレ

確認方法は、各駅のバリアフリー情報が検索できる「らくらくおでかけネット」が便利です。駅名を入力するだけで簡単に、スロープやエレベーターなどのバリアフリー情報が調べられます。

参照:らくらくおでかけネット|公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団


駅係員にサポートを依頼する場合は、各鉄道会社に電話で問い合わせをして伝えておくか、改札口で駅係員に声をかける必要があります。出発時刻の30分前には駅に到着し、係員に声をかけておくのがベストです。

また、無人駅の場合は人員を確保するためにも、事前に電話での問い合わせが必須です。乗降駅が有人駅なのか無人駅なのかも確認しておくようにしましょう。電車には、車椅子専用スペースがある車両やスロープがなくても乗り降りできる専用扉など、車椅子ユーザーが利用しやすい工夫がされているところも増えてきています。

2-4.車椅子旅行でレンタカー(福祉車両)を利用する場合

旅行先で福祉車両をレンタカーする場合は、事前予約が必要です。福祉車両は台数も少なく取り扱っている会社も限られています。事前にどのような設備や機能がついた福祉車両をレンタルしたいのかを確認しておきましょう。

例えば、福祉車両にはスロープや乗降リフトがついたもの、シートが回転するものなど様々なタイプがあります。ご自身の障害状況に応じて車両タイプを選ぶことが大切です。

また、福祉車両をレンタルするには運転免許証やマイナンバーカードと障害者手帳、高速道路を利用する際にはETCカードが必要になるので忘れずにもっていくようにしましょう。レンタカーの予約方法は、電話かWEBの2通りであることがほとんどです。

予約時に福祉車両を利用したいことを伝えておくとスムーズです。福祉車両をレンタルする詳しい流れやおすすめのレンタカー会社については、以下の記事が参考になるのでご覧ください。

参照:車椅子で福祉車両をレンタルする方法!全国展開する福祉車両のレンタカー会社も紹介します


2-5.車椅子旅行を自家用車で楽しむ場合

自家用車での車椅子旅行は、乗り慣れた車で一番楽に移動できる手段です。自家用車なら公共交通機関のように予約の必要もありませんし、時間を気にせず移動できます。

車椅子を積み込むには、ハッチバックスペースが広く高さがある自家用車がおすすめです。最近では軽自動車でも、車椅子を楽に積み込める車種もあります。

参照:車椅子のまま乗れる福祉車両おすすめ13選!選び方や購入時の減免制度についても解説


また、障害者手帳を使って申請すると高速道路の料金やガソリン代の一部を補助してくれる制度をご存じですか?高速道路料金の割引は1人1台まで自家用車の事前登録が可能で、オンラインと市町村窓口での申請が必要です。ガソリンの補助については、各自治体によって制度内容や申請方法が異なるので、お住まいの市町村の規定によります。

詳しい内容や申請方法については、以下の記事を参考にしてみてください。

参照:障害者手帳を使った高速道路や有料道路の割引制度や申請方法含めて徹底解説!
参照:自動車燃料費助成とは? 障害者手帳でガソリン代が補助される対象者や申請方法


3.医療的ケア児の家族は何に気をつけるといい?

ハートのクッションを抱いた子ども

医療ケア児を抱えるご家族であっても注意点をしっかりと押さえておけば、旅行を諦める必要はありません。例えば、酸素ボンベなどを提供している酸素業者には、「旅行支援サービス」というものがあります。

このサービスは、宿泊先に酸素濃縮器を事前に設置してくれたり、替えの酸素ボンベやカニューレを準備してくれたりします。利用の際には、在宅酸素の業者に問い合わせてみましょう。

また、医療ケア児との旅行ではなにかと荷物が多くなりがちなので、あらかじめ宿泊先に荷物を送っておくのもひとつの方法です。他にも、電源を必要とする医療機器を使用する場合は、移動先でコンセントが確保できるかどうかもチェックしておきましょう。

お子さんの体調の急変などに備えて、医療機関の近くのホテルを予約しておくと安心です。さらに、医療ケア児とのおでかけで気をつけることを知りたいという方は、こちらの記事が役立ちます。

参照:【医療的ケア児・障害児のいるママを応援!】おでかけ事情と工夫を解説します。


4.車椅子旅行をより楽しむための準備

荷物を詰め込んだスーツケース

4-1.車椅子旅行に欠かせない持ち物と注意点

車椅子旅行を楽しむためには、普段使っている日用品から旅行先で使える便利アイテムまで持ち物でも工夫できます。まず、絶対忘れてはいけないのが普段服用している薬です。薬は忘れたからといってコンビニで手軽に調達できるものではないので、必ず忘れないようにしましょう。

次に、電動車椅子の場合、充電器や予備バッテリーが必要です。バッテリーの種類によっては、飛行機に持ち込めないものもあるので事前に確認しておきましょう。

また、長時間車椅子に座っているとお尻や腰に負担がかかるので、クッションを用意しておくのも快適に旅するための工夫です。

観光地に行く際には、障害者手帳で受けられる割引サービスがあるので忘れずに持参します。

参照:障害者手帳で受けられる割引・サービス20選!上手く活用するポイントも解説


車での移動をする場合には、障害者用駐車場利用証があればスムーズに身障者用スペースに駐車できます。他にも、車椅子旅行で使える便利グッズを知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

参照:【車椅子ユーザー必見】旅行前に用意しておきたい便利グッズ5選!日常生活でも使えます!


4-2.車椅子旅行に適した服装と注意点

車椅子旅行に適した服装は、以下の3つを意識して選ぶのがポイントです。

  • 動きやすさ
  • 着脱のしやすさ
  • 安全性

旅行では、つい着慣れない服を着たくなるものですが、動きにくい服装だと思わぬ事故につながる可能性があります。例えば、袖口の広いトップスは車椅子のタイヤに巻き込まれたり、裾がタイヤに擦れて汚れやすかったりするので控えたほうがいいでしょう。

また、寒暖差で体に負担をかけないために簡単に着脱できるような衣服を心がけてください。特に、体温調節の障害をお持ちの方はコンパクトなブランケットがあると便利です。

靴に関しては、車椅子のフットサポートから落ちないように滑り止めのついたスニーカーがおすすめです。脱げやすいサンダルや滑り止めのない靴は、避けるようにしましょう。

快適に過ごせるような工夫もしつつ、旅行ならではのお洒落も楽しみたいですね。

4-3.車椅子の旅行が便利になるサービスやアプリ

海辺にいる車椅子ユーザー

ここでは、車椅子の旅行が便利になるサービスやアプリを紹介します。まず、バリアフリー情報を投稿してユーザーと共有できる「WheeLog!」は、みんなで作るバリアフリーマップをテーマに開発されたアプリです。

Googleマップと連動させた地図上に利用者が投稿した道や建物、店などの情報が表示され、バリアフリー情報が写真やコメントで閲覧できます。

参照:WheeLog!|特定非営利活動法人ウィーログ


また、Google独自の車椅子対応場所を簡単に確認できる機能もあるので、ぜひ以下の投稿を参考に設定してみてください。


また、「ミライロID」という、障害者手帳をアプリに登録してスマホで提示できる便利なサービスもあります。お得なクーポンやユーザーに合わせた情報を配信してくれるサービスもあるので便利です。

宿泊サイトでの便利サービスでおすすめな「IKKEL(イッケル)」は、バリアフリーな宿泊施設の情報サイトです。目的地、宿泊施設タイプ、絞り込み条件など豊富な検索方法から宿泊施設を調べられるほか、3DCGで施設内を閲覧できる便利な機能があります。今までは宿泊先に問い合わせて確認していたバリアフリー情報も、自分の目で見て確かめられるのが嬉しいポイントです。

参照:IKKEL-バリアフリーな宿泊施設の情報サイト|一般社団法人 バリアフリー総合研究所


さて、ここまで車椅子旅行で役立つ便利なサービスや機能を紹介してきましたが、「調べている時間がない」「旅行の計画を立てるのが苦手」という方もいるでしょう。そんな方におすすめなのが、バリアフリー旅行をサポートしてくれる旅行会社に依頼する方法です。

旅行会社のノウハウを活かして、最適な旅のルートやバリアフリーホテルの手配など様々なサービスが受けられます。お得に行ける団体旅行から、自分だけのオーダーメイドプランまで、幅広い選択肢があるのも魅力です。

車椅子旅行におすすめの旅行会社は、以下の記事にまとめていますのでぜひご覧ください。

参照:車椅子旅行者のための究極旅行ガイド、旅行サポート会社と役立つサイト8選!


5.まとめ

今回は、バリアフリーな車椅子旅行を楽しむためのホテルの選び方から移動方法、便利なサービスまで解説してきました。車椅子での旅行を楽しむためには、事前準備と情報収集が不可欠です。

バリアフリー対応の施設や交通機関を選び、移動時のサポートを活用することで、快適な旅が実現できます。さまざまなツールやサービスを駆使しながら、自分らしい旅行体験を満喫してみてはいかがでしょうか?

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