車椅子のまま乗れる福祉車両おすすめ13選!選び方や購入時の減免制度についても解説

高齢者や身体障害者が使いやすいよう、改造や工夫が施されている車である福祉車両。近年、さまざまな自動車メーカーからそれぞれ工夫を凝らした福祉車両が発売されています。

今回は、おすすめの福祉車両を紹介するとともに、選ぶ際の注意点や減免税制度・助成金について解説します。

1.車椅子で乗れる福祉車両には2種類ある

福祉車両には、大きく分けて「自操車」と「介護車」の2つの種類があります。

自操車は、手や足が不自由な方でも運転できるよう、運転補助装置を取り付けた車です。

介護車は、車の乗り降りに負担を感じている方をサポートするもので、介護される方だけでなく、サポートする方にも優しい車です。

今回は、介護車の中でも車椅子ユーザーが乗り降りできる福祉車両について紹介していきます。

1-1.車椅子から座席シートへの「移乗タイプ」

1つ目は、車椅子から座席シートへ移乗するタイプです。

助手席が回転して車外へスライド&リフトアップすることで車椅子ユーザーの乗降を簡単にしてくれます。

1-2.車椅子のままの乗れる「乗り入れタイプ」

2つ目は、車椅子のまま車に乗ることができる乗り入れタイプです。

車両後方にある扉(車両リアハッチゲート)に設けられたスロープやリフトを使って、車椅子ごと乗り降りできます。

今回は、車椅子のまま乗れる「乗り入れタイプ」のおすすめ福祉車両を、車種別に紹介します!

2.【普通車】車椅子のまま乗れるおすすめの福祉車両7選

2-1.トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタは、コンパクトなボディに3列シートを備えたミニバンです。

仕様は3タイプあり、もっともスタンダードなものがタイプⅠです。リアに手動式のスロープを備え、車椅子ユーザーは助手席後ろの2列目部分に乗車します。介助者も隣の席に座ることができ、車椅子ユーザーも安心して乗車することができますよ。

タイプⅡは、1.5列目に車椅子を固定でき、運転席から手が届くため、お子様の車椅子ユーザーに向いています。親御さんも安心して運転することができますね。

タイプⅢは、バックドアを開けると同時に車高が降下し、ショートスロープが展開します。省スペース&短時間での乗降を実現する法人向け仕様※です。
※車椅子の利用に慣れているデイサービスや介護施設などの法人。

参照:シエンタ|トヨタ


2-2.トヨタ ヴォクシー

2022年にデビューした新型ヴォクシーのウェルキャブ。タイプⅠとタイプⅡの2種類の仕様が用意されています。

新型ヴォクシーの特徴は、車椅子ユーザーの乗り降り時に車高を下げることができることと、前倒しスロープがついていることです。

リアの車高を下げることで、スロープの角度を車椅子利用者が自走でも登れる9.5°に設定。

また、スロープを前に倒し床面に収納できる前倒しスロープとすることで、車椅子を載せた状態でもラゲージスペースが有効に使えます。

タイプⅠには「車いす1名仕様」と「車いす2名仕様」があり、2名仕様ではシート2列目と3列目にそれぞれ車椅子ユーザーが乗ることができます。

タイプⅡはシート3列目に車椅子ユーザーが乗車するレイアウトです。

乗車定員は、タイプⅠの「車いす1名仕様」が6名+車椅子1名。「車いす2名仕様」は、3名+車椅子2名もしくは「車いす1名仕様」と同じように使うこともできます。

タイプⅡは、通常のヴォクシー同様、2列目がキャプテンシートの7人乗りと、ベンチシートの8人乗りがあり、車椅子利用者が乗車する際はサードシートが使えなくなります。

参照:ヴォクシー|トヨタ


2-3.トヨタ ノア

ミニバン車であるトヨタ ノア。ヴォクシーと同じく、タイプⅠとタイプⅡの2仕様があり、タイプⅠは「車いす1名仕様」と「車いす2名仕様」が用意されています。

タイプⅡもヴォクシーと同じくシート3列目に車椅子ユーザーが乗車するレイアウトです。

参照:ノア|トヨタ


2-4.ホンダ フリード+

ホンダ フリードの車椅子仕様車は、5名乗りの「フリード+」がベースとなっており、車椅子ユーザーが乗車する場合は、5名+車椅子1名の6名乗りとなります。

シート3列目の車椅子スペースには足もとヒーターを備えており、冬でも快適に乗車できます。また、他社ではオプションとなることも多い電動ウインチを標準装備するなど、利用者ファーストの仕様が魅力的です。

参照:フリード+|ホンダ


2-5.ホンダ ​​ステップワゴン 車いす仕様車

ホンダのミドルクラスミニバン、ステップワゴン。

特徴は以下6つとなっています。

  • 車椅子固定点1点追加(2列目乗車タイプ)
    車椅子の固定点を1点追加することで、リクライニング車椅子の固定がよりスムーズになり、安心して乗車できます。
  • 3列目に介助者の乗車可能(3列目乗車タイプ/2列目&3列目乗車タイプ)
    車椅子ユーザーが乗車した隣にも人が座ることができるため、介助者が乗ることが可能です。
  • 3列目分割床下格納シート(マジックシート)
    3列目シートを簡単に床下に収納することができます。
  • フローリングフロア
    フラットで乗りやすく、掃除もしやすいフローリングフロアを、車椅子仕様車専用装備として採用しています。
  • トリプルゾーンコントロール・フルオートエアコンディショナー(プラズマクラスター技術搭載)
    運転席、助手席、後席の3つのゾーンそれぞれで、好みの温度設定ができるトリプルゾーンコントロール・フルオートエアコンディショナーを標準仕様として搭載しています。
  • パワーテールゲート(メモリー機能付)
    扉を電動で開閉することができるパワーテールゲートを採用。電動開閉機能により、負担なく使用できます。後方に障害物がある場合などでは、任意の位置で止められ、また、開度を記憶※することも可能です。
    ※テールゲート先端が地上から約1.5m以上で設定可能となります。

    ユーザー目線に立った魅力的な仕様が標準装備として搭載されており、痒い所に手が届く車となっています。

参照:ステップワゴン|ホンダ


2-6.日産 セレナ

日産 セレナには、2種類の車椅子乗降車が用意されています。

1つ目は、スロープを使って乗り降りする「スロープタイプ」。

室内は3列シートが基本となっており、4つのバリエーションが用意されています。

車椅子ユーザーが2列目に乗車してサードシートもある「車いす1名セカンド仕様」と、同じ構造ながら3列目にも車椅子ユーザーが乗車できる「車いす2名仕様」、2列目のシートはセレナの通常モデルのままで、3列目に車椅子ユーザーを乗せる「車いす1名サード仕様」。

さらには、2列目シートを右側に寄せることによって車椅子ユーザーを乗せる3列目にアクセスしやすくした「車いす1名送迎仕様」も用意するなど、豊富なバリエーションが魅力です。

2つ目は、電動リフターを使って乗り降りする「リフタータイプ」です。

電動リフターのため介助者の負荷も少なく車椅子ユーザーを乗せることができます。

室内は広々としており、大きな車椅子でも問題なく乗せられます。

車椅子乗車位置であるシート3列目の天井は専用形状となっており、頭上スペースが広くなっているので頭をぶつけずに乗ることが可能ですよ。

このように、セレナはラインナップが豊富なので、選択の幅が広がるでしょう。

参照:セレナ|日産


2-7.日産 NV200バネット

日産のNV200バネットの仕様は3タイプをラインナップ。

2列目と3列目に車椅子ユーザーが乗る「車いす2名仕様」、3列目に車椅子ユーザーが乗る「車いす1名仕様」、さらには3列目の車椅子ユーザー乗車位置の隣がレスされ手荷物などを置けるスペースができる「車いす1名仕様専用サードシートレス」があります。

車椅子ユーザー2人が乗れる車では「日本でいちばん小さい※車いす2名仕様」とされており、小回りがきく車となっていますよ。
※2023年4月現在 日産調べ。

参照:NV200バネット|日産ト


3.【軽自動車】車椅子のまま乗れるおすすめの福祉車両4選

3-1.ホンダ N-BOX スロープ仕様

2011年の発売から現行の2代目モデルまで、軽自動車市場のトップを牽引し続けている人気車種であるホンダ N-BOX。

通常使用時は大人4人が快適に過ごすことができ、リアシートもリクライニングが可能です。車椅子ユーザースペースには3点式ELRシートベルトが装備されており、安全に乗ることができます。また、サイドポケット、ドリンクホルダーなど細かい部分まで配慮が行き届いています。

参照:N-BOX スロープ|ホンダ


3-2.スズキ スペーシア

2013年に初代が発売されたスズキを代表するトールワゴン「スペーシア」。

車椅子を載せるためのスロープをワンアクションで開閉できるテールゲート一体型スロープを採用するとともに、乗り降りをアシストする電動ウインチと、ワイヤレスリモコンをなんと全車に標準装備!

後席は折りたたみ式とすることにより、通常時は4人乗車も可能としています。

参照:スペーシア|スズキ


3-3.スズキ エブリイワゴン

エブリイワゴン福祉車両は、車椅子利用者を含めて最大4名乗車が可能なところが最大のポイントです。

運転席側リアシートをたたんで車椅子を乗せることで、フロント2名と助手席側リアシート1名、車椅子の合計4名での乗車が可能となります。

さらに、車椅子固定用のウインチベルトや、3点式シートベルト、手すりを採用することで、安心安全なドライブを実現しています。

参照:エブリイワゴン|スズキ


3-4.日産 NV100クリッパー リオ

日産 NV100クリッパー リオは、先ほど紹介した「スズキ エブリイワゴン」のOEM商品です。

OEM商品とは、メーカーが自社ではないブランドの製品を製造することを指します。

OEM商品のメリットとして、委託側は設備投資、人材投資をせずに増産できることが挙げられます。増産するということは、それだけ売れているということです。スズキ エブリイワゴンがいかに人気商品かがわかりますね。

参照:NV100クリッパー リオ|日産


4.【ワンボックス車】車椅子のまま乗れるおすすめの福祉車両2選

4-1.トヨタ ハイエース

ワンボックスカーであるトヨタ ハイエースも、車椅子ユーザーが乗車できるモデルがあります。

ワンボックス型の特長は、フロアがミニバンにくらべて高い位置にあるので、電動式のリフトが装備されていることです。また、広い室内を活かして最大で10名の乗車が可能です。

ボディサイズは標準タイプと、ロングタイプの2種類が用意されており、大家族でも使えます。

ボディ標準タイプの中にもさらに5つの仕様があり、ロングタイプにも2つの仕様が用意されているので、ご自身の用途にぴったりのタイプを見つけられるでしょう。

詳細はぜひHPを見てみてくださいね。

参照:ハイエース|トヨタ


4-2.日産 キャラバン

日産 キャラバンには、リモコン操作で昇降する全自動リフター付の「チェアキャブ」、乗り降りをサポートする専用装備が満載の「送迎タイプ」があります。

チェアキャブはクラストップレベル※の室内長と大開口スライドドアを誇っており、快適に過ごすことができます。
※全幅1,700mm 以下(5ナンバー幅)の車椅子仕様車(2022年6月現在 日産調べ)

車椅子ユーザーが4名乗車できる仕様もあり、選択の幅が広がるでしょう。

送迎タイプは、子供からお年寄りまでが快適に乗車できるよう設計されています。

ステップは乗り降りしやすいオートステップとなっていたり、乗り降りをサポートする手すりが多く取り付けられたりしています。

トヨタ ハイエースと同じくボディは標準タイプとロングタイプの2種類あり、ロングタイプにはさらにハイルーフを採用したタイプも用意されています。

参照:キャラバン|日産


5.後悔しない福祉車両の選び方

さまざまな福祉車両を紹介してきましたが、選ぶ際はどのようなことに気をつければいいのでしょうか?以下を参考に、ご自身に合った車種を選んでみてくださいね。

5-1.シートベルトが使えるか

車椅子のままの乗車の際、既存のシートベルトが使えない場合もあります。

ですので、車椅子の固定器具がきちんと備わっているか、車椅子ユーザー用のシートベルトが装備されているかをチェックしましょう。

ご自身の安全のため、必ず確認してくださいね。

5-2.頭上に余裕があるか

車椅子のまま乗車する際は、頭上に余裕があるかどうかが見極めのポイントとなってきます。大きい車椅子を使用しているユーザーはハイル―フになっているか、天井に特別な専用スペースが設けられているかなどをチェックしましょう。

5-3.車椅子の乗り入れ位置はどうか

車椅子ユーザーの乗車位置も確認が必要です。

介助が必要な場合は、隣に介助者が座れるかどうか、運転席から手が届く位置かどうかなどをきちんと確認しておきましょう。

介助のほかにも、隣に人がいるとドライブ中の会話がはずみ楽しく過ごすことができます。

ドライブが単なる移動手段ではなく、楽しいものとなるためには、乗車位置も重要なポイントとなりますね。

5-4.試乗できるか

HPで仕様を確認したり、ネットで口コミを確認するのもとても大切ですが、やはり実際に試乗してみることを強くおすすめします。

室内の広さや視界の開け具合など、実際に乗ってみなければわからないことがたくさんあるからです。

ぜひお店に出向き、試乗してご自身に合った車をみつけてくださいね!

6.福祉車両の減免税制度や助成金について

福祉車両を購入する際や乗車する際には、減免税制度や助成金制度が適用される場合があります。
(自治体によっては制度がない場合もあります。)

大きく以下の6つが存在します。

①自動車税環境性能割・種別割の減免
②消費税非課税
③市町村の補助金
④社会福祉協議会の低金利融資
⑤高速道路料金の割引
⑥その他

それぞれ簡単に解説していきます。

①自動車税環境性能割・種別割の減免

障害者等の方のために使用する自動車が減免や免除となる制度です。

[減免・免除の対象]

1.障害者手帳を持っており障害者認定等級が一定以上の方で、車の所有者は本人(手帳減免)
2.社会福祉法人やNPO法人が障害者等の送迎で使用する8ナンバーの福祉車両(構造減免)

申請は最寄りの運輸支局内の県税事務所にて行うことができます。

都道府県ごとに細かな条件などが違いますので、必ずお住まいの都道府県のHPを見たり問い合わせて内容をご確認くださいね。

②消費税非課税

多くの車種の福祉車両で、車両本体およびオプション品や修理費の消費税が非課税になります。

ただし、一部の福祉車両は非課税にならないので必ず非課税対象かどうか確認しましょう。

参照:身体障害者用物品に該当する自動車|国税庁


③市町村の補助金

福祉車両に改造する場合や、改造した福祉車両を購入する場合に、お住まいの市町村によっては補助金や助成金を受けられる場合があります。

障害者手帳の等級や所得に制限がある場合、前回申請してから数年経過しないと申請ができない場合がありますので注意しましょう。

多くの自治体で、10~30万円の補助金が受けられる可能性があります。

自治体によって条件などが違いますので、必ず確認しましょう。

④社会福祉協議会の低金利融資

各都道府県の社会福祉協議会では福祉車両への改造や福祉車両の購入にかかる費用の貸付制度があります。

お住まいの都道府県の貸付制度をぜひ一度確認してみてくださいね。

⑤高速道路料金の割引

障害者本人が運転する場合や、介助者が障害者を乗せて運転する場合に有料道路の割引を受けることができます。ETCでももちろん使うことができます。

有料道路割引を受ける場合は、事前の申請が必要です。

参照:障がい者割引(ETC車・現金車)|首都高


Ayumiの記事でも制度内容や申請方法について詳しく解説しているので、参考になさってくださいね。

詳しくはこちら

⑥その他

上記のほかにも、さまざまな優遇措置を受けることができます。

駐車禁止規定の適用除外、自動車用燃料費の助成、カーフェリー旅客運賃の割引などがあります。

こちらの記事では自動車燃料費助成の対象者や申請方法について解説しているので、ぜひご覧ください。

参照:「自動車燃料費助成」とは?障害者手帳でガソリン代が補助される対象者や申請方法について解説!

参照:駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の申請手続き及び使用方法について|警視庁


7.最後に

今回は、車椅子のまま乗ることができるおすすめの福祉車両や減免税制度、助成金制度について紹介しました。

車は大きな買い物となりますので、じっくり吟味して、自分に合った車を見つけてくださいね!

購入の際は、忘れずに助成制度などを利用しましょう。

ぜひ本記事を参考に、快適なマイカーライフを手に入れてください!

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